祖母山(1,756m) (つづき)
三合目に「標高1,000m」とあり、そこから100mおきに標高の標識が現れました。
原生林と笹の急坂を登り、「標高1,400m」の標識で稜線に出ました。
まだ4月初めで、ここまで登ってくると稜線上の木にはほとんど葉がありません。「日本百名山」に、
「帰途は尾平へ下った。その途中から見た祖母東面の眺めはすばらしかった。圏谷状の谷は岩壁で囲まれ、鬱蒼たる原始林がその下を埋め尽し、簇立する岩峰と黒々した森林の配合は全く天の工であった。」(深田久弥『日本百名山』(新潮社版))
と書かれているのはこのあたりの景色ではないかと思いますが、「黒々」していたのは森ではなく、地面そのものだったのではないかと思ったくらいでした。
渋い登山道でしたが、山頂の眺望は祖母山ならではのもので、初めての九州登山にこの山を選んでよかったと思わせるに十分でした。ニョキニョキと丸い岩峰が出ている大障子岩、なだらかな古祖母山、幾何的に本当に傾いて見える傾山。
個性的な山の数々が、パズルのピースのようにぴったり当てはまっています。丹沢に雰囲気が似ているようですが少し違います。稜線からは脈々と波打つ鼓動が聞こえてきそうでした。祖母山はその中心にそびえる、達成感を存分に感じられる名山だと思いました。
下りは国観峠から神原へ出る登山道を歩きましたが、登りの尾平コースよりもさらに急なところが多くて大変でした。五合目の小屋から先は、巨岩の多い渓谷沿いの道になりました。
(登頂:2013年4月上旬)