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ムラヴィンスキー~レニングラード・フィル ブラームス:交響曲第2番(2)

2016年02月21日 | 名演奏を聴いて思ったこと


(つづき)

 ムラヴィンスキーの、ブラームスの2番の演奏は3種類聴きました。演奏された場所はそれぞれに違い、
 1:ウィーンでのライヴ
 2:本拠地レニングラードでのライヴ
 3:3回目の来日公演における東京でのライヴ です。
 中では1:が最も印象に残っています。
 第一楽章から、指揮者もオーケストラも絶好調の状態にあります。そして、彼らの意気込みがウィーンの楽友協会ホールの豊かな残響に包まれ、祝福が降り注ぐような名演が生まれたのです。
 (3:25)のような弦楽器の渾身の大合奏が、全曲を通して続出しています。
 (4:21)~ではわずかの揺るぎもないリズムの刻み!
 (7:55)~激しいティンパニーの打ち込み!ムラヴィンスキーは、時に打楽器を全面に出して絶妙な効果を発揮させる指揮者ですが、この演奏ではそういう場面がありません。しかし、第一楽章唯一の例外がここで、オーケストラ全体を支配するかのようにティンパニーを強く叩かせ、強烈な刻印を残しているのです。
 (10:57)~ (3:25)と同じ大合奏が再びやってきます。今度は打楽器も伴って、巨岩が動くような迫力が付け加わります。
 (12:57)~ 彫りの深い、味わいの深いトランペットの憧れの歌が長く長く続きます。(13:25)で遂に最高潮へ達しますが、楽器自体が絶叫することはなく、柔らかさを失うことはありません。


 中間の第二楽章・第三楽章は、押し寄せる波のような強い響きが印象的です。第二楽章の(3:22)では、ピチカートがホールの残響で大きく広がっています。場面が転換し、静寂なメロディーを打ち破る時の迫力も素晴らしいと思いますが、静けさを求める人には大味に感じられるかもしれません。

 最後の第四楽章では、第一楽章以上に意志の強さを感じ、緊張感に貫かれています。といっても、特定の楽器を際立たせたり、何というか変わったことは一切していません。テンポの設定も、速めとはいえ通常の範囲です。この曲でムラヴィンスキーは、弦楽器を中心に、譜面に書かれているすべての音を、情熱を切らさずに奏させることに徹しています。
 (2:35)~ 第一楽章でも聴かれたような全力の合奏に再び圧倒されます。
 (5:27)~ 地の底をえぐるような低弦のリズム!
 (7:49)~ これでもか、これでもかと畳みかける最高のクライマックスです。誰もが夢中になって、弾きまくっています。

 今までムラヴィンスキーの指揮は、繊細な弱音から迫力あるフォルテまで、振幅の広い緻密な演奏という印象を持っていました。
 このブラームスの2番は、とにかく強さが際立つ演奏で、大指揮者の別の一面を見た思いです。
 いくら緻密な演奏であっても、1つ1つの音符は、最大の自信を持って奏されているに違いないのです。

 ◆◆◆◆◆
 ブラームス 交響曲第2番の名演奏
 ・フルトヴェングラー~ベルリン・フィル(EMI(ブライトクランク盤) TOCE9086~9090)
 ・ワルター~ニューヨーク・フィル(ソニークラシカル SRCR8683)
 ・ヴァント~北ドイツ放送交響楽団(RCA BVCC-8161/62)
 ・朝比奈隆~大阪フィル(キャニオン・クラシックス PCCL-00499)



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