心が満ちる山歩き

美しい自然と、山に登れる健康な身体に感謝。2019年に日本百名山を完登しました。登山・街歩き・温泉・クラシック音楽‥‥

南アルプス・光岳(2)

2019年12月08日 | 中央アルプス・南アルプス


光岳(2,592m) (つづき)

 登山の前日は、飯田線平岡駅すぐ横の龍泉閣で泊まりました。
 4階には温泉があります。ここで湧き出ているわけではなく、タンクローリーで毎日運んでくるとのことでしたが、独特のすべっとする感覚は残っていると思いました。
 翌日は朝5時に登山口までタクシーを予約しました。
 2015年の国勢調査によると、平岡駅のある天龍村の人口は1,365人で、1960年(5,792人)の4分の1にも満たない人数です。もっとも、天龍村より人口の少ない長野県の村は7つあります。長野県の「村」の数は35で日本一です。
 天龍村では過疎化が深刻で、あと30年後には人口が200人台に減ってしまう予想があるとのことでした。
 昭和の頃、南アルプスへ向かおうとする登山客で、平岡駅が賑わっていた時代があったといいます。森林鉄道の軌道を辿って登山口まで歩くのは、枕木の間隔が狭くて歩きにくかったそうです。今よりも登山道具が重くて嵩張るものだった頃です。

 国道152号線を通って山道に入ります。谷を挟んで反対側の斜面に、集落が広がっています。「前が岩」と木製の標識が立っている場所で、少しだけ車を停めてもらいました。
 深い谷に向かって、十二単のように尾根が幾重にも落ち込んでいます。遠くの方の谷底は、山に隠れて見えません。今見えているものよりも、はるかに多くのものがあるに違いないと思わせるスケールの大きさがあります。
 素晴らしい眺望です。「日本のチロル」と言われる、下栗の里です。
 走ってきた道は、車がすれ違うのも難しい細さです。
 辿って来た道路沿いにも集落があります。しかし、斜面が急すぎて、道路の下にある家々が、窓から見えなかったのです。
 美しさ以上に、この地で生活を営むことの環境の厳しさの方が伝わってきました。頭が下がる思いがしました。


 (登頂:2019年9月中旬) (つづく)



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