光岳(2,592m) (つづき)
平岡駅からほぼ1時間で芝沢ゲートに着きました。駐車場にはびっしり車が止まっています。
今日は三連休の中日です。昨日登って今日下山の人、残りは今日登って明日下山の人、2泊3日以上の人が、3分の1ずつと予想しました。
ここから1時間半歩くと光岳への登山口・易老渡(いろうど)です。ちなみに、さらに30分歩くと聖岳の登山口、便ヶ島(たよりがしま)です。
山に関する地名にはとても面白いものがあり、例えば奥多摩の人里(へんぼり)・笛吹(うすしき)など、一度聞いただけで覚えてしまうくらいですが、ここ飯田の易老渡・便ヶ島もそのままむかし話に出てきそうな地名です。
登山口までは車は通行止めで歩きです。ゲートには「一般車両進入禁止」と書かれています。林道を歩き始めて10分すると、森の中を迂回する臨時の道に入りました。迂回路は足場が安定していない感じです。
川の方を見下ろすと、林道の一部分が崩れて無くなっていることが分かります。一般でも特殊でもとにかく車は通れないでしょう。
再びもとの林道に戻ると、ショベルカーと乗用車が1台ずつ止まっています。もう長い間そのままなのではと思います。車の車検は切れています。
そんな林道ですが、目新しい電柱が立っています。上流に水力発電所の取水施設があるようなので、その管理用でしょうか。
「通行止」の大きな看板が2枚出ている分岐点もあります。看板のすぐ裏側で土砂崩れになっています。
「~ 僕等はそこで山靴を草鞋に穿きかえて、まず第一回の渡渉をした。
渡渉はこれを皮切りに数回つづいた。川を渉って岸に上がるとズボンが肌に冷たくビチャつくのは、いつもながらあまりいい気持のものではない。広河原を過ぎて弁天岩に着いたのは二時前。大きな岩の上に祠が置いてある。ちょうど兎洞の沢が流れこんでくる下手で、両側から岩が迫っているので、奔流となり潭となっている。遠山川の一名勝であろう。 ~」
(深田久弥『山岳展望』(朝日新聞社))
後で地形図を見ると、途中に弁天岩と書かれた場所があり、鳥居の記号もついていましたが、分かりませんでした。
川は、人の手が入り、護岸工事されていたところもあったものの、川幅は狭くて「奔流」の雰囲気はありました。
『山岳展望』の巻末を見ると、光岳の文章は昭和12年に書かれたものと分かりました。この時は林道はまだ通っていなかったのです。それでも、弁天岩には祠があったし、「易老渡」の地名もすでにあったのです。
易老渡の登山口。この橋を渡ったところから山道が始まります。
(登頂:2019年9月中旬) (つづく)
懐かしさあまりにコメントさせてください。
このルートきついけど大好きなんです。
ありがとうございます。