北アルプス 槍ヶ岳(3,180m)・笠ヶ岳(2,898m) ((8)のつづき)
槍ヶ岳から四方へ伸びる尾根のうち、西鎌尾根を下ります。歩き始めは一気に標高を下げます。
ジグザグ状に下る飛騨沢ルートの登山道が見えます。
登山道はいったん大きな槍ヶ岳の影にすっぽり隠れました。朝の7時15分ごろ、槍の穂先より少し北側から、まぶしい太陽が昇ってきました。一日に二度朝を迎えたような気分でした。青空の中、笠ヶ岳へ続く尾根だけが雲に隠れています。
西鎌尾根から北へ伸びる硫黄尾根が見えてきました。鷲羽岳から硫黄尾根を眺めるとほとんどの部分が茶色かレンガ色ですが、逆の方向から眺めるとそれなりに緑の部分もあります。高低差はそれほどでもないようですが、なだらかな部分は少しもないように見えます。北アルプスではほかに例をみないほど特異な姿をした尾根だと思います。
西鎌尾根から硫黄尾根が分かれる地点には、地形図で「硫黄乗越」という名前がついています。硫黄尾根の途中には、「赤岳」「硫黄岳」というまるで八ヶ岳のようなピークがあり、硫黄岳には明治39年に計測されたという三角点(三等三角点)もあります。八ヶ岳のそれらと違い、北アルプスの赤岳や硫黄岳へ登ることは困難です。
今も昔も登山道の拓かれていない場所で、明治39年に測量が行われていたということが驚きです。
硫黄尾根とは逆の方角に、硫黄尾根とは真逆でなだらかな乗鞍岳がそびえ、山頂をはさんで上下に平行な雲の線が二本伸びていました。
鷲羽岳
(登頂:2013年9月上旬) (つづく)