心が満ちる山歩き

美しい自然と、山に登れる健康な身体に感謝。2019年に日本百名山を完登しました。登山・街歩き・温泉・クラシック音楽‥‥

北アルプス 槍ヶ岳から笠ヶ岳へ(11) 双六小屋から笠ヶ岳山荘へ

2023年01月29日 | 北アルプス


北アルプス 槍ヶ岳(3,180m)・笠ヶ岳(2,898m) ((10)のつづき)


 「~ 山の名には、冠だの、烏帽子だの、笠だの、頭にかぶるものの名称を取ったものが多い。同じ笠にも、編笠山や遠笠山や衣笠山などあるが、やはり一番多いのは単なる笠ヶ岳である。もちろんそれは笠の形をしているから名づけられたに違いないが、名前だけでは信用できない。表から眺めると笠に見えても、横に廻ると全く形の変るものがあるからである。 ~」
 (『日本百名山』深田久弥(新潮文庫))


 槍ヶ岳からおよそ3時間で樅沢岳です。西鎌尾根の山々はここで終わり、双六小屋へ下ります。振り返ると、槍ヶ岳の頂上だけが雲に隠れ、ピークはそんなに尖って見えません。槍ヶ岳は、頂上に立つ前と立った後とでは、見え方が違う山だと思いました。鷲羽岳の大きな斜面には、上空を流れる雲の影がうつっています。上空と言っても、ここは2,755mの樅沢岳です。雲の高さは、今立っている場所の高さとそれほど違わない気がします。

 『日本山名事典』(三省堂)には、「笠ヶ岳」という名前の山が七座載っています。その中の最高峰が目指している笠ヶ岳です。「どこから望んでも笠の形を崩さない。(『日本百名山』) 北アルプスのどこからでも見つけることができる山ですが、単純なようで奥深い山だと思います。西鎌尾根を下る途中、笠をかぶった山は少しずつ姿を変えて、やがて数多くの尾根を従え、まるで十二単をまとったような姿を現すのです。

 双六小屋から南下し、笠ヶ岳山荘へ歩きました。天気予報通り、雲がどんどん増えてきます。アップダウンが多く、なかなか先に進まない気がする道です。大きな岩壁と、9月なのに大きな残雪のかたまりが見えます。雪を横目に急坂を登り切ると、木がハイマツに変わります。笠新道との合流地点に出て、「山荘まで残り70分」という看板を見つけた時には、身体の力が抜けてしまいました。あれが小屋だと思ったのに、近づいてみるとそこは小屋ではなかったということまでありました。
 山荘の夕食は、白ご飯とは別に冷たい蕎麦が出たのが嬉しかったです。あっと言う間に寝てしまいました。





 (登頂:2013年9月上旬) (つづく) 



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