立山(別山(2,880m)・真砂岳(2,861m)・大汝山(3,015m)・雄山(3,003m))
((7)のつづき)
別山から南へいったん下って再び登り、次のピークが真砂岳です。
日本海の方角から、雲が稜線を乗り越えるように流れていきました。
同じ現象を鹿島槍ヶ岳でも見たことがあります。晴れから曇りに変わる兆しかと思いましたが、立山は夕方まで青空が出たまま持ちこたえてくれました。遠くの山々は真っ白で何も見えませんでした。今日は立山だけ天気がいいのかもしれないと思うような空模様でした。
前日に見学した立山カルデラ砂防博物館では、同じ立山連峰でも雄山の頂上と、真砂岳の頂上の岩石標本が並べてあるのを見ました。二つとも花崗岩ですが、雄山のは「マグマからの熱の影響をうけ岩石の組織が変化して固くしまり風化や侵食に強く」、真砂岳のは「結晶の粒が大きいため粗い砂粒状に風化(マサ化)してボロボロになりやすいため、なだらかな山稜をつくります。」とのことでした。別山から真砂岳への稜線は確かになだらかでした。さらに雄山まで縦走したことで、二つの花崗岩がつくる山容の違いも分かりました。
真砂岳の頂上から進むと、内蔵助氷河の真上に出ました。
立山連峰では、立山の御前沢雪渓・剱岳の三ノ窓雪渓と小窓雪渓が、日本で初めて2012年4月に氷河に認定されました。
内蔵助雪渓が氷河に認定されたのは、その6年後の2018年でした。
現在日本には7つの氷河があります。普通の登山の最中に氷河を歩くことができるのは、ここ内蔵助氷河が唯一です。しかし、歩いてもいいと知ったのは下山した後でした。氷河と分かっていて、その上を歩くのは、何だか恐れ多いような感じがしました。
また、7つの中で最も小さいのも内蔵助氷河です。それは、これが本当に氷河なのか?と思うくらい小さいものでした。剱岳の平蔵谷など、内蔵助よりずっと大きいですが、平蔵谷の雪渓は氷河ではありません。
付近は、いかにも川(河)の源流らしい地形にはなっていました。
この小さな氷河が、年に約3cm流動しているといいます。これも立山カルデラ砂防博物館に行って知りました。氷が動いているのを目で見ることはできませんが、これが氷河かと実感するには、小さい方が逆に実感しやすいかなと思いました。
(登頂:2020年9月中旬) (つづく)