心が満ちる山歩き

美しい自然と、山に登れる健康な身体に感謝。2019年に日本百名山を完登しました。登山・街歩き・温泉・クラシック音楽‥‥

北アルプス 折立から薬師沢・雲ノ平・水晶岳を経て新穂高温泉へ(2) 薬師沢小屋・黒部川

2020年05月14日 | 北アルプス


水晶岳(2,986m) ((1)のつづき)


 薬師沢小屋は黒部川と薬師沢がぶつかる場所に建っています。ものすごい水流です。音だけ聞くと濁流のような音量なのに、水は透き通っていました。イワナが泳いでいるのも見えます。
 同じ透き通っているのでも、黒部川の水は他の川とは全然違います。
 釣りの人も宿泊していました。この付近は、他のどの水系とも交わりがないので、「ネイティブなイワナ釣り」が楽しめるんだそうです。
 黒部川には1982年に竣工したという、赤く細い吊り橋がかかっています。明日は、この橋を渡って急な梯子を伝い、川岸に降りたところから雲ノ平への急な登りが始まります。
 音と川の流れの風景は、他に見たことがないと思いました。こんなところに人間がいてもいいのかと思うほどの宝のような場所でした。

「~ しかしながら、黒部川を跋渉して、その最も偉大なる廊下の峡谷に入って見ると、岩壁の露出が広大であるために、樹木はわずかにその皺折に添うて疎生しているのみで、たとい森林の豊潤な所があっても、それは岩壁の雄麗を併せて更に光彩を放っているような傾きがある。 ~」
「~ 私はもう一つの黒部川の大なる特色を加えたい。この川は源流地から約三十里を日本海に至るまで、ほとんど絶景と美観との連続であって、少しの弛怠がない。その山勢の窮まる所、堅岩相迫って峻高壮麗の廊下を形造り、その峡間に圧縮せられた渓水は驚くべき落差をもって奔落して行く。 ~」
 (冠松次郎『黒部峡谷』(平凡社))

 黒部ダムよりもさらに遡り鷲羽岳へと至る、上ノ廊下や奥ノ廊下と呼ばれる黒部川源流の中で、ここは沢登りの技術・経験がなくても訪れることのできる、数少ない貴重な場所です。






 (登頂:2014年8月上旬) (つづく) 



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