心が満ちる山歩き

美しい自然と、健康な身体に感謝。2019年に日本百名山を完登しました。登山と、時にはクラシック音楽や旅行のことも。

屋久島・宮之浦岳(7) 

2017年05月07日 | 中国・四国・九州の山


屋久島・宮之浦岳(1,936m) ((6)のつづき)


 9時間ぶりに淀川小屋に戻ってきました。テントの花が咲き乱れて、カラフルな場所に変わっていました。
 ハードな山の連なる屋久島では、脚力のある登山者に、他の山よりも多く出会います。花之江河ですれ違った人など、今日のうちに宮之浦岳へ登頂し、「なんとか明るいうちに」新高塚小屋まで行こうと思うと話していました。
 早朝とは雰囲気の違う森を味わいながらスタート地点の淀川登山口に帰りました。ほぼ半日かかりました。


 タクシーで帰る途中、いくつかの巨木を案内してもらい、登山の余韻に浸ることができました。
 推定樹齢2,000年の「川上杉」。林道のすぐ脇にそびえます。花之江河で見たのと同じように、眩しいほど白い幹をしています。

 伐採したモミの樹もありました。樹齢455年、「このモミは老衰により枯れたと推測されます。モミは400年前後が寿命とされており、これほどの高齢木は希にしかみられません。」とのことでした。
 十分大きな樹のはずですが、もっと長い間生きてきた杉をたくさん見たので、これでも細く感じてしまいます。


 そして、一番の巨木「紀元杉」。樹齢約3,000年、樹高19.5m、周囲8.1mのどれもがすごいのですが、もっと凄いのは杉以外の色々な木が一体化して、巨大な生命の塊のようになっていたことです。
 説明板の「着生植物」に紹介されていた植物は、ツガ・ヒノキ・ヤマグルマ・サクラツツジ・・・ 全部で15種類にもおよびます。
 辞書をひくと、”着生”とは「他の物に付着して生育すること。」とありました(『新小辞林』(三省堂編修所))。言葉では明快な現象ですが、普段の生活で着生植物を見たことはないと思います。
 あまり馴染みのない現象だからか、同じ辞書でも『三省堂国語辞典』(第7版)の方には、「着生」は出てきませんでした。
 「寄生」と何が違うのかと考えましたが、付着したものに養分を頼ることがない点が異なります。付着していることそのものがキーだと思います。
 どこまでが杉でどこからが着生している植物なのか、渾然一体となって生命力に満ちあふれた紀元杉のことを思い出せば、例えばヤドリギが寄生しているのと着生が全然違うことは、言うまでもないことです。

 夜明けから夕暮れまで島にどっぷり浸かった一日が終わりました。



◆◆◆◆◆
【淀川登山口から宮之浦岳へ】
 淀川登山口5:56→淀川小屋6:58~7:29→花之江河9:19~9:27→投石平10:12→栗生岳11:47→宮之浦岳頂上12:08~12:43→花之江河15:23→淀川小屋16:35→淀川登山口17:16
※淀川登山口で標高はすでに1,300mを超えており、山頂まで600m少ししかないのに、どうしてこんなにコースタイムが長いのだろう?と思っていましたが、歩いてみてハードさが分かりました。ここには歩いてみなければ分からないハードさが隠れています。特に、小花之江河から花之江河までのアップダウンがこたえました。栗生岳から最後の宮之浦岳までの登りも長く感じました。
 鎖場はありませんが、ロープの力を借りる場所はあります。
 急いで歩かず、最後の登りや復路に備えて体力を温存するに限ります。
 (体力●●●●● 技術●●●○○) (登頂:2016年4月下旬)



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