高座山(1,304m)・杓子山(1,598m)
杓子山といえば、富士山の眺望を間近に楽しめる山のひとつです。
しかしそれ以上に、この標識が気になって、一度登りたい山でした。
最初は楽な林道歩きですが、目の前に高座山の小ピークが現れます。
きれいな正三角形の、左側の斜面に登山道が付いています。緑色は傾斜があることを除けば、ほとんど牧場のようです。写真ではとても想像つきませんが、とんでもなく急な坂です。木の枝や草、あらゆるものの力を借りないといけないのに、借りられるものもほとんどありません。よく登り切れたと思いました。
高座山は「たかくらやま」だと思っていましたが、後で調べると「たかざす」だと分かりました。
三省堂『日本山名事典』(改訂版・2011)で調べると、「高座山」は三座ありましたが、「たかざすやま(さん)」・「たかくらやま」(愛知県・194m)・「こうざやま」(兵庫県・345m)と、読み方が全部違いました。『日本山名事典』には画数順の漢字索引もついているので、こういう時に便利です。
同名だが読みは全く一致しないという、このパターンは全国で他に存在するのでしょうか?
その先は杓子山まで、それほど難しいところはありませんでした。森の緑色がとても鮮やかでした。
山頂には写真で見たのとまったく同じ標識が確かにありました。とても斬新です。鐘もついています。
気温が高くて遠くの景色は霞み、富士山は裾の部分しか見えませんでしたが、山中湖が見えます。
富士五湖の中で面積は最大(6.57㎢・最小の精進湖の約13倍)、また湖面の標高(981m)は河口湖より100m以上高く、これも最高です。麓の街並みや田圃より、山中湖の水面の方が明らかに高いと分かります。
この山には、ハンググライダー離陸場があります。下山するとき、ちょうど離陸の準備中で、その様子を見ることができました。
白に濃淡3色の赤色が塗られた翼はとても大きいです。準備している人は2人いて、このハンググライダーは2人乗りなのです。2人乗りは数が少ないと話されていました。
ハンググライダーは上昇気流がある方がいい(今日はある)とのことでしたが、登山の場合は上昇気流はない方がいいので、ハンググライダーとは逆です。
ここまでモノレールも敷かれていて、飛行に必要ないものは下に降ろすようでした。搬器が上に停まったままグライダーで飛び立ってしまうと、次はここまで自力で登らなくてはいけなくなります。
全速力で急斜面を駆け降りて離陸すると、早くも上昇気流の力でグライダーは上昇しました。大きな富士山に向かって真っすぐだなと思ったら、小さな円を描いたり、いろいろ操縦できるんだなと思いました。一度だけ、様子を眺めている自分たちの真上に飛んできてくれました。
下山は登りとは違って林道コースを歩き、「霊水旅館 不動湯」に立ち寄りました。ぬる湯の浴槽があり、いつまでもつかっていることができます。
このお湯は皮膚病に効くといいます。
額縁に入れられた昭和53年の分析結果があり、それによると「湧水の特長は一般の水道水 地下水に比べて各イオンとも非常に少なく約1/5~1/7程度しか含有されておりません。」(東京理科大学 薬学部教授 鈴木静夫氏)とあります。
成分の濃い温泉が効きそうな気がするものですが、逆もまた然りということのようです。
成分が薄いゆえ、お湯は「湧水」であり、温泉ではないのです。つかるだけではなく、そのまま飲んだり、ご飯を炊くのにも使えるそうです。
疲れが取れたのも、成分の薄い純粋さのためかなと思いました。
(登頂:2016年7月上旬)