
四阿山(2,354m)・根子岳(2,207m)
菅平牧場から四阿山と根子岳を巡る登山コースは、北陸新幹線のおかげで東京から日帰りも可能ながら、里山ではなく深い山岳の空気に触れることができるいいコースだと思います。しかも、頂上近くまで樹林に覆われた四阿山と笹に覆われた根子岳、雰囲気の違う二座を一度に登ることができます。四阿山から根子岳へいったん下るところがすこし滑りやすいくらいで、危ないところはありません。根子岳からの下山途中、激しい雷と夕立に遭ったのにはびっくりしましたが。
四阿山より根子岳の方が低いですが、しっかりとした構図で撮影できるのは根子岳の方だと思います。
「四阿という名前もなかなかいい。山の形があずまや(四方の柱だけで、壁がなく、四方葺きおろし屋根の小屋。庭園などの休憩所とする)の屋根に似ているところから、その名が由来したといわれる。」(深田久弥「日本百名山」(新潮社版))
これは四阿山に登ってもよく分かりませんでしたが、八ヶ岳から四阿山を眺めた時にわかった気がします。少し長細い、確かに屋根のような形をしていました。簡素な、小間の茶室のような雰囲気でした。
「茶室(数寄屋)は単なる小家で、それ以外のものをてらうものではない、いわゆる茅屋に過ぎない。~(中略)~さしあたって、ある美的必要を満たすためにおく物のほかは、いっさいの装飾を欠くからには「空き家」である。それは「不完全崇拝」にささげられ、故意に何かを仕上げずにおいて、想像の働きにこれを完成させるからには「数奇家」である。」 (岡部覚三著・村岡博訳「茶の本」(岩波文庫))
(登頂:2012年9月下旬)