薬師岳(2,926m)・北ノ俣岳(2,662m)・黒部五郎岳(2,840m)・三俣蓮華岳(2,841m)・鷲羽岳(2,924m)・双六岳(2,860m) (つづき)
「 かつての氷河のあとの谷も、このあたりから薬師、黒部五郎、野口五郎、水晶と、その特有のU字型の凹みを見ることができる。自分が今、下ってゆくのも、その一つの斜面なのであろうと思うと、何万年もの地球の歴史のあとを今、自分の足で踏んでゆくという感慨にひたされる。 」
(『花の百名山』田中澄江・著(文春文庫))
夕方4時30分に双六岳の山頂に着きました。
とにかく驚くような景色をたくさん見た一日でしたが、最後の最後にもっとすごい景色が待っていました。
この槍ヶ岳は今でもすぐに思い出せる眺望です。その後いろいろな場所から槍ヶ岳を撮りましたが、今でもこの、双六岳の頂上で撮った写真が一番です。
眼前のなだらかな丘と、手に取るように見える槍の穂先の対照が素晴らしいです。
山頂から伸びる北鎌尾根。反対側は北穂高岳へ続く稜線、大キレットのところで標高がぐっと落ちています。
穂先から下りる細かい山ひだの一本一本に至るまで、西日が余すところなく照らし出しているのも印象的です。
振り返ると、登ってきた鷲羽岳・三俣蓮華岳は小さくなっているのに、それよりも遠い薬師岳は大きいです。
北アルプスにはたくさん登りましたが、こんなに天気のいい日はなかったと思います。青空が朝から夕暮れまでずっと続いていました。
標識の前で撮ってもらった写真が1枚あります。こんなに焼けたことはないと思うくらいひどい日焼けです。帽子を忘れてしまったからですが、下山してからもおさまるまでに1週間以上かかりました。
山頂からまっすぐ下る道は、残雪が多くてまだ通れず、中道に回って双六小屋まで下りました。
(撮影:2012年7月下旬) (つづく)