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ベートーヴェン ピアノ協奏曲第4番

2016年01月17日 | 名演奏を聴いて思ったこと


 ベートーヴェンはピアノ協奏曲を5曲のこしました。その中でポピュラーなのは4番と5番でしょう。両曲を1枚にまとめたCDも多く出ています。どちらが好きかと聞かれたら断然4番です。ピアノ独奏で始まるユニークな第一楽章、ベートーヴェンが作ったオーケストラの出てくる曲で、これほど静かな雰囲気で貫かれたものはほかにないと思います。滋味に秘められた情熱が何とも言えません。特に音程が下降していくメロディーでは、この滋味がほぼすべての場所に感じられるのです。
 深夜、寝る前にベートーヴェンの音楽を聴きたいと思ったときに、まず思い浮かぶのがピアノ協奏曲の第4番です。

 ・内田光子(ピアノ) ザンデルリング~ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
 (DECCA(輸入盤) 475 6757 ※ユニバーサル・ミュージックの国内盤も出ています。)

 モーツァルトやシューベルトで多くの名演奏を成し遂げた内田光子が、ベートーヴェンでもピアノ協奏曲の全集をザンデルリングと組んで録音しています。

 第一楽章、(3:00)意識して強い音で出ていると思います。(3:53)の速いパッセージも同じです。あるいは、(3:57)左手の伴奏がはっきりとアクセントがついて奏されるのもベートーヴェンらしいです。
 ピアノの音は、表面は美しくても芯の部分は強くて、これはベートーヴェンの音楽そのものです。
 (6:50)では弱音を生かしきっています。また、(7:57)はこの曲の一番の聴かせどころだと思います。曲の頂点で下降するメロディーがでてくるのは「4番」らしいところです。それまでより一層翳りのある音で音楽の核心に迫る様が感動的です。


 第二楽章は演奏時間にして(5:07)しかない短さで、小節数も72しかありません。必要最小限の音だけで構成されている音楽だと思います。オーケストラも弦楽器しか出てきません。内田光子の演奏は、簡素なピアノのメロディーからとても深いものが引き出されていて、作曲家の声そのものといっても過言ではありません。
 (4:40)沈み込んで、没入していくようなピアニッシモ。その前を演奏する(4:20)~のオーケストラも同様です。

 第三楽章は第一楽章と同じく、例えば(3:12)~のような芯のある強い音がまず魅力です。しかも、前の楽章で聴いた翳り深い音の印象が、ここにまで影響を及ぼしているようなのです。短い第二楽章は、”ピアノ協奏曲第4番の偉大な間奏曲”というべきでしょう。どの音も精神的に深いです。また、(3:54)~のように、何もないところから湧き出てくるような美しいピアノの音も魅力です。こんな音は他のピアニストには出せないはずです。

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 内田光子、そのほかの名演奏
 ・モーツァルトのピアノ協奏曲(テイト指揮~イギリス室内管弦楽団) そのほとんどが名演だと思いますが、特に素晴らしいのは9番”ジュノーム”・15番・20番・24番です。また、23番、25番や26番”戴冠式”のように、一見明るい曲調から、モーツァルトの寂寥感を余すところなく引き出しているのも感動的です。
 ・シューベルト 即興曲
 ・シューベルト ピアノソナタ15番”レリーク”・18番・20番・21番



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