島原の夜...その5

2005-11-14 14:54:49 | お遊び話
S氏の「2階にはもっとええところがおます」
この言葉にそそられて、S氏と某会長を経由して、
輪違屋の2階を是非見せてもらいたいと大女将に懇願した。

大女将も私の意気に感じてくれたのか
「よろしゅうおす」との許可がおりた。
「ちょっと待っとおくれやす」といって、
2階を片付けにいった。

しばらくして大女将の先導の元、中年ボーイズ7人衆の
輪違屋探検ツアーがはじまった。

<その1>で書いた玄関横すぐの幅広の旧階段を上ると
2階にはいくつものこぢんまりした和室(客室)があった。
しかし、そこかしこに下へ降りる細い狭い階段がある。
「大女将!やたら細い階段がありますなあー」
「昔の揚屋にはこんな階段がギョウサンおますねや。
お客はん同士がはち合わせにならへんように昔の人は気つこおて つくりはったんどすなあ」
(高名な人や公人もお忍びで来られてもこれなら大丈夫なわけだ。
女房が突然押し込んできても、知人が隣室に来たとしても、
悟られずそっとお茶屋から抜け出せる)
「うーむッ。はッはーん
この階段のおかげかあ!(ひとりつぶやいた)
(幕末に、長州藩士が京の揚屋に御門<みかど>暗殺をもくろみ集結した際、
新撰組が長州藩士の密会情報を入手し、隊士たちが京の揚屋をしらみつぶしにあたり乗り込んではみたものの、藩士たちをうまく捉えられなかったことがある。
それはこの抜け道のように備え付けられた細い階段のおかげで藩士たちは逃げおおせたのだなと、往時に思いをはせた)

そうこうしているうちに、輪違屋名物「傘の間」に案内された。
「何だこの斬新なデザインは!
部屋に入り驚いた。(グワァーン!となぐられたようなインパクトを受けた)
そのデザインは現代でも斬新の極みとして評価が出来る。

<その2>の画像で紹介した太夫の「道中傘」(「高」文字は輪違屋の主人「高橋」に因る)を襖(金箔の蒔絵襖)に貼り込んでいる。
実際の傘の骨と上紙のみを取り外し襖に貼りつけてあるため、襖より傘の貼り付け部分のみ少々盛り上がり立体的なものとなっている。

一同は傘の間の中央に座り、道中傘の張り付いた襖を見て感動していると、
大女将がわざわざ下から、先程 太夫とのお遊びで使った高足つきの百目ろうそくを持ってきてくれて、ろうそくの灯りで見る道中傘と
蛍光灯の明かりで見る道中傘を見比べてみるとよいということで
試して見た。

蛍光灯のもとでは1枚1枚が絢爛豪華。それぞれが鮮やかでインパクトが強く、まぶしいほどの異彩を放っている。
(<その5>の画像は蛍光灯のもとで撮影された鮮明画像)
かたや、ろうそくの灯りのもとで見てみると、蒔絵の金箔のトーンが比較的控えめになり、ゆらゆら揺れるろうそくの炎が作用するのか、わずかに盛り上がる傘の骨に影がつき より立体感が味わえる。
また 丸い大傘自体がドーンと浮き出て迫ってくるような錯覚もおこす。
(<その4>の画像が比較的ろうそくの薄灯りで見る「傘の間」に近いモノ)
「イメージできる?」by 女王の教室より
(今年、評価したい天海祐希主演のNTV番組)

一同、円熟の巧みに圧倒され
ひたっていると
大女将が「ほな、次のお部屋へ行きまひょッ!」
と声をかけてきた。
「次の部屋って?」

(つづく)

*次回「紅葉の間」は圧巻!私は魅了された(完結編どすえ)

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