次に通されたのが、これまた輪違屋名物「紅葉の間」だった。
壁一面に色鮮やかな紅葉(モミジ)の葉があしらってある。
(私の記憶が確かなら襖もモミジの葉があしらってあったと思う)
深紅のもの、紅紫、紫、茶系のものなど色とりどり。
大女将に聞くまでは、傘の間同様、モミジを直接貼り付けて、その上から色付けしてあるものかと思ったのだが、
これは、土壁を塗ったときに、壁にモミジの葉を直接貼り、その後、貼ったモミジの葉を剥がす。
壁が乾き、モミジ型のくぼみがついた壁の、そのくぼんだ葉型の中に、本物のモミジの葉と同じような色付けをほどこしていったものだった。
当初、葉型を取って再度色付けするなど、なんでそんな手の込んだ仕事をするのかわからなかった。
しかし、そこに粋人の遊び心があったのである。
この部屋にも当然ながら蛍光灯が付き、明るい光で部屋全体が見渡せて、壁や襖に色とりどりのモミジのあしらいを確認できる。
「うわあッ、綺麗だ!モミジがいっぱい。紅葉の間だね」
といったところは、この部屋の表の顔。
中年ボーイズ7人衆のうち、4人はこの表の顔だけを確認して
早々に1階のバーへ移動していったが、
私を含めて3人の男は
「名高い太夫や美妓たちが、この部屋で人知れず物語を紡いでいたのだろうなあ」などと話し
座して感慨にふけっていたら、
大女将が粋な計らいをしてくれた。
(「傘の間」からさっきの百目ろうそくを「紅葉の間」に持ってきてくれ、ろうそくに火をともした)
「お三人はん。しばらくここにゴロンと
寝てみなはれッ!」
そういうと大女将が蛍光灯を消して、襖も閉め、いなくなった。
ろうそくの光だけで、薄暗い紅葉の間に、三人は仰向けになり寝っ転がった。
だんだんと薄暗い部屋にも目が慣れてきた頃
大の男三人が奇声にも似た大声をあげてしまった。
「うおーッ!モミジが宙に浮いて舞ってるヨ」
「ウッわあー、何だこの部屋わッスッゲェーッ!」
まるで銀河の宇宙空間に身を置いているような感じといったらよいだろうか、紅いモミジ(実際は紅黒みがかって見える)の葉が舞う空間に身を置いている感じだ。
「イメージできる?」by 女王の教室
座敷観楓(私の造語。座敷にいながらモミジがりを楽しむ)とでもいおうか、
ろうそくだけの灯りになると、襖や土壁が視界から消えて見えなくなり、モミジだけが鮮やかに空中に浮かび、飛び舞っているように見える。
超感激の瞬間だった。
(モミジ型のくぼみづくりは、ろうそくの光とくぼみのつくる陰影を計算した上で、モミジを立体的に浮き上がらせる視覚効果をねらったものだった。加えて画像を見てもらいたい。モミジがきれいに舞う姿、ある一定間隔で風に流されるサマを実に計算尽くしている。江戸時代の職人の巧みのワザにただただ感服!)
*画像は「紅葉の間」に入ると正面にある床の間のカット。左右には一面紅葉をあしらった土壁がある。入口の襖も紅葉の葉が舞っているデザインとなっている。
この部屋で、酒を太夫と酌み交わし、太夫の膝枕で寝られるものなら、
「この場で命を取られてもいいッ」
「もうどうにでもしてくれッ!何も思い残すことはない」
という気持ちになるなあーッ...
「これは、ハマルわッ!」
時代劇にも出てくるが、豪商のドラ息子がお茶屋遊び(太夫)に狂い、身上(しんしょう=財産)をつぶしてしまうといった話。
あれは戯言(たわごと=バカげたこと)ではなく、本当にあったものであろうと、そのときの3人には理解ができた。
花街でのお茶屋遊びは、浮き世を離れた夢の世界(現世の竜宮城か?)。
(金がある男なら通ちゃうなあーッ...ホンと男ってしょうもない)
しばらくして大女将が入ってきて、蛍光灯の明かりがつけられた。
(現実の世界へ引き戻された)
大女将「どうどした?」
「感動しました。おおきにッ、
ほんまに、おおきにッ!」
大女将は満足そうに笑っていた。
(このとき大女将は70代半ばぐらいか?大女将のこのときの粋な計らいは一生忘れない。大女将は花街のすべてを知り尽くしているような物腰の人だったが、今でもお元気だろうか?)
1階の皆に合流し、S氏ほかは2次会ということで祇園へ繰り出していったが、
私はこの日の感動と余韻を胸に宿泊先のホテルへと戻った。
完
(後で聞いた話だが、大女将のサービスへの心付けをS氏や某会長が裏で支払ってくれていたことを翌日知り、今でも恐縮と感謝をしている。世間知らずの若ぞうの出すぎた行動に「予定外のお遊びをするならちゃんとお礼が必要だよ」とその場では水を差さず、楽しい夜を過ごさせてやろうというお2人の心遣いに頭が下がった)
さあてと...しばらく日本の話が続いたので
次は海外の話にしようかな。
壁一面に色鮮やかな紅葉(モミジ)の葉があしらってある。
(私の記憶が確かなら襖もモミジの葉があしらってあったと思う)
深紅のもの、紅紫、紫、茶系のものなど色とりどり。
大女将に聞くまでは、傘の間同様、モミジを直接貼り付けて、その上から色付けしてあるものかと思ったのだが、
これは、土壁を塗ったときに、壁にモミジの葉を直接貼り、その後、貼ったモミジの葉を剥がす。
壁が乾き、モミジ型のくぼみがついた壁の、そのくぼんだ葉型の中に、本物のモミジの葉と同じような色付けをほどこしていったものだった。
当初、葉型を取って再度色付けするなど、なんでそんな手の込んだ仕事をするのかわからなかった。
しかし、そこに粋人の遊び心があったのである。
この部屋にも当然ながら蛍光灯が付き、明るい光で部屋全体が見渡せて、壁や襖に色とりどりのモミジのあしらいを確認できる。
「うわあッ、綺麗だ!モミジがいっぱい。紅葉の間だね」
といったところは、この部屋の表の顔。
中年ボーイズ7人衆のうち、4人はこの表の顔だけを確認して
早々に1階のバーへ移動していったが、
私を含めて3人の男は
「名高い太夫や美妓たちが、この部屋で人知れず物語を紡いでいたのだろうなあ」などと話し
座して感慨にふけっていたら、
大女将が粋な計らいをしてくれた。
(「傘の間」からさっきの百目ろうそくを「紅葉の間」に持ってきてくれ、ろうそくに火をともした)
「お三人はん。しばらくここにゴロンと
寝てみなはれッ!」
そういうと大女将が蛍光灯を消して、襖も閉め、いなくなった。
ろうそくの光だけで、薄暗い紅葉の間に、三人は仰向けになり寝っ転がった。
だんだんと薄暗い部屋にも目が慣れてきた頃
大の男三人が奇声にも似た大声をあげてしまった。
「うおーッ!モミジが宙に浮いて舞ってるヨ」
「ウッわあー、何だこの部屋わッスッゲェーッ!」
まるで銀河の宇宙空間に身を置いているような感じといったらよいだろうか、紅いモミジ(実際は紅黒みがかって見える)の葉が舞う空間に身を置いている感じだ。
「イメージできる?」by 女王の教室
座敷観楓(私の造語。座敷にいながらモミジがりを楽しむ)とでもいおうか、
ろうそくだけの灯りになると、襖や土壁が視界から消えて見えなくなり、モミジだけが鮮やかに空中に浮かび、飛び舞っているように見える。
超感激の瞬間だった。
(モミジ型のくぼみづくりは、ろうそくの光とくぼみのつくる陰影を計算した上で、モミジを立体的に浮き上がらせる視覚効果をねらったものだった。加えて画像を見てもらいたい。モミジがきれいに舞う姿、ある一定間隔で風に流されるサマを実に計算尽くしている。江戸時代の職人の巧みのワザにただただ感服!)
*画像は「紅葉の間」に入ると正面にある床の間のカット。左右には一面紅葉をあしらった土壁がある。入口の襖も紅葉の葉が舞っているデザインとなっている。
この部屋で、酒を太夫と酌み交わし、太夫の膝枕で寝られるものなら、
「この場で命を取られてもいいッ」
「もうどうにでもしてくれッ!何も思い残すことはない」
という気持ちになるなあーッ...
「これは、ハマルわッ!」
時代劇にも出てくるが、豪商のドラ息子がお茶屋遊び(太夫)に狂い、身上(しんしょう=財産)をつぶしてしまうといった話。
あれは戯言(たわごと=バカげたこと)ではなく、本当にあったものであろうと、そのときの3人には理解ができた。
花街でのお茶屋遊びは、浮き世を離れた夢の世界(現世の竜宮城か?)。
(金がある男なら通ちゃうなあーッ...ホンと男ってしょうもない)
しばらくして大女将が入ってきて、蛍光灯の明かりがつけられた。
(現実の世界へ引き戻された)
大女将「どうどした?」
「感動しました。おおきにッ、
ほんまに、おおきにッ!」
大女将は満足そうに笑っていた。
(このとき大女将は70代半ばぐらいか?大女将のこのときの粋な計らいは一生忘れない。大女将は花街のすべてを知り尽くしているような物腰の人だったが、今でもお元気だろうか?)
1階の皆に合流し、S氏ほかは2次会ということで祇園へ繰り出していったが、
私はこの日の感動と余韻を胸に宿泊先のホテルへと戻った。
完
(後で聞いた話だが、大女将のサービスへの心付けをS氏や某会長が裏で支払ってくれていたことを翌日知り、今でも恐縮と感謝をしている。世間知らずの若ぞうの出すぎた行動に「予定外のお遊びをするならちゃんとお礼が必要だよ」とその場では水を差さず、楽しい夜を過ごさせてやろうというお2人の心遣いに頭が下がった)
さあてと...しばらく日本の話が続いたので
次は海外の話にしようかな。
かあさんみたいな、ほんと超初心者のつたないブログにお越しいただいて、しかも丁寧なコメントまでいただけるなんて、予想もしていませんでした。感激です。
でも、アマルコルドさんのブログって、大人の色気ってゆうんでしょうか、とってもハイセンスで素敵ですね。
かあさんは、画像を貼りこむことは、もちろん、文字を大きくしたり、色をつけたりすることさえできません。こちらこそ、勉強させてください。よろしくお願いします。