さんぽのあしあと

はな とり てふてふ きれいないろ が すき

ウツロナキモチ

2010-02-09 | 日々のあれこれ



大好きな場所だった。
その場所が好きで好きで花の撮影だけではなく時間があれば足を運んだ。
何故この場所がこれほどまで好きなのか理由など自分でも分からない。
疲れた時、一人で考え事をしたい時、ベンチに座ってボーっとしているだけでホッとした。
ほどの良い広さ(狭さか)に花と木々と蝶と鳥達が息づく、その空間がただ好きだった。

通い始めた頃に比べて、その場所の雰囲気も少しずつ変わって来た。
変わらないものなどないのだから、それも自然のことだと受け止めてきた。
時々、エッと驚くこともあってがっかりしたこともあったのだけれど。
それでも、その場所を「キライ」にはなれなかった…。


ところが久しぶりに出かけたその場所は…、
数本の木々が伐採され空間そのものがガラーンとしてしまっていた。
切り倒された木の切り株を見てたまらなく寂しくなった。
伐採された理由は分からないし知りたいとも思わない。
なぜなら自分の中で決定的に気持ちが変わってしまったから。
自分が好ましく思っていたものが自分の知らない間に変わってしまった寂寞感。
自分の大好きだったあの空間はもう戻ってこないのだ、永遠に。

場所は変わる、人の心も変わる、そうして時は移ろってゆく。
これからも訪れるであろうその場所は、ただ花を撮影しに行くだけになるだろう。
以前のように、ベンチに座ってのんびり葉擦れの音に耳を傾けることはないだろう。


心の虚ろの中でかつて抱いていた愛おしい気持ちがからからと乾いて転がっているようだ。
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