宇宙は真空を嫌う
音もまた今ある音からない音へと進んでいく
その動きの一つが四度進行と呼ばれるものだ
四度とは始まりの音から数えて四つ目の音を指す言葉
ド レ ミ ファ ソ ラ シ ド
ドのとってのファ
レにとってのソを4度と言う
さてここにドの音を出す弦があるとする
この弦は振動するとドの音を出す
これを基音という
全ての物体には基音のほかに倍音があり
倍音は基音の整数倍の振動をしている
人は基音と倍音が混ざり合った音を一つの音として聴いている
ドの倍音は、1倍音(基音)ド、2倍音ド、3倍音ソ、4倍音ド、5倍音ミ、6倍音ソ、7倍音シ♭ ……
と言うように続いていき様々な音を作り出していく
しかしドの倍音をどこまで進んでも現れない音がある
それがファ
そうドにとっての4度の音なのだ
この真空を埋めるためドはファに向かう
自分にないものを求める心が4度へと向かわせる
これを4度進行と言う
ファはドが向かう場所
ドを現在とするなら
ファは未来である
ならばドはどこから来たのか
振り返ればそこにはソがある
ソにとってドは4度だからだ
ドはソが求めた音だった
即ちソは過去である
ここに過去・現在・未来がソ・ド・ファと並んだ
各音の5倍音までの音を重ね合わせると
ドはドミソ
ファはファラド
ソはソシレ
となりここにドレミファソラシドという長音階が誕生する
これは一つの宇宙であり、環でありカルマでもある
ドミソの組み合わせをC
ファラドの組み合わせをF
ソシレの組み合わせをGといい
この三つの和音は宇宙を支える3本の柱になっている
これらを主要三和音と呼ぶ
これらの音の繋がりは非常に強く
ドという現在へ回帰する引力を持っている
宇宙を維持している力でもあり
輪廻とカルマを作り出している力でもある
ファの4度はシ♭であるが
このドレミファソラシドの宇宙の中にシ♭はない
シ♭を新たに生み出すよりも
宇宙の中にすでにある音で代用する方がエネルギー的に楽なので
シ♭の代用としてただのシ
あるいはファから一つエネルギーを落としてミに行くことが多い
シはGに含まれる音、過去ソの他人視点
ミはCに含まれる音、現在ドの他人視点
こうして自己と他者の役割が入れ替わりながらダンスをしていく
それは美しいメロディやハーモニーを生み出し
人が音楽と呼ぶものを創り出す
しかしどんなに美しい音楽でも
何十回と繰り返せば飽きてくる
その時は意識的にならなくてはいけない
巡り巡る時の中で
エネルギー的に楽ではないものを選択する瞬間
新たな宇宙に移行する
それが転調である