心の傷は記憶と共にある
記憶を手繰り寄せる
鮮明に細部まで
全てを否定したい気持ちには耳を貸さないこと
それは記憶を沈めてしまう
泣いている自分の心は幼い自分
そっと抱きしめる
怒りの中にも
憎しみの中にも
苛立ちの中にも
絶望の中にも
泣いている自分がいる
それを見つけること
大切なものがあった
守りたいものがあった
それを伝えることも出来なかった
心の傷は自己否定と共にある
それはほぼ同じもの
本来のあなたではないセルフイメージを
受け入れたがために
本来のあなたが破壊された
すなわち傷ついたのだ
そしてその痛みで泣いている
あなたがあなたに相応しくない自己像を捨て
本来のあなたに戻ることで傷は癒される
どうやって?
本来の自己とは何?
それは服を脱ぐこと
あなたが着ているあなたに相応しくない
心の服を脱ぐだけのこと
今もあなたは完全なあなた
本来の自分が分からなくなっているのなら
それは服を着すぎて
どれが服だか分からなくなっているということ
全て脱ぎ捨て裸になる
自分を抱きしめられたなら
手繰り寄せた記憶のなか
あなたを傷つける人がいる
その人の心の中に歩みを進める
傷つけたその人の中には
全く同じ体験で泣いている
幼きその人がいる
その人が記憶の底に沈めた心の傷がある
その心の傷があなたを呼んだのだ
泣き声を代弁してくれるあなたを呼んだのだ
その泣き声をかき消す行為が
あなたを傷つけた行為である
同時にその人は
あなたが遠い昔に記憶の底に沈めた
古い心の傷の泣き声が呼んだ人
あなたはあなたを傷つけた人の心の中に
同じ体験で泣いている幼きその人を見つける
それはもう一人のあなた
その体験を呼び寄せた
記憶すら手繰り寄せられないほど
深く沈めてしまったあなたの心
その子をそっと抱きしめる
あなたは見えない力に包まれるのを感じるかもしれない
優しきエネルギーの抱擁を感じるかもしれない
あなたの傷は癒されていく
傷の記憶は変容してゆく
まるで過去が変わっていくように
それが癒された傷の記憶