日を追うにしたがって、じわじわと、静かな水面に波紋が広がっていくように、後味が深まる映画。
鑑賞後すぐから比べて、自分の中ではどんどん評価が高くなっています。
映像の鮮烈な色(特に水と空のブルー)と、人間のアタマの中の、奥深い闇の色との対比が、つよい印象を残します。
『まぼろし』は素敵だったと思うものの、『8人の女たち』は、過去の名作映画・舞台を観ていることを前提に、伏線が張られすぎていて、何の知識もないまま観たので、いまいちつまらなかった・・・。
と、私は思った、フランソワ・オゾン監督、最新作。
先日、フランス人の友人に聞いた話では、『La piscine(スイミングプール)』という、フランスの古い映画があって、それにオマージュをささげたという含みで、あえてこちらは英語で、『Swimming pool』にしたとか。
映画大好きなオゾン監督らしいお話ですね。
内容は、言ってみれば、これも『まぼろし』?
”スランプに陥った女性作家が、出版社社長(彼女の恋人?)の別荘を借りて著作に専念しようとしたところ、急に彼の娘がそこに一緒に住み始め、その奔放さに翻弄される”
というお話。
ですが、事前にストーリーを知っても、あまり意味はないかも。
というのも、観たあと、つじつまが、合うようで合わないようで、「?」という気持ちになるのです。。。
煙に巻かれてしまったという感じ。
が、映画館を出るとき、まだぼおっとしているところ、一緒に観にいった友達の、「結局、あれは全部想像だったってことよね」という言葉に、いきなり謎が氷解。
そうか。それなら合点がいく・・・。
てことは、またしても、雑多な日常や常識から気持ちよく遠く離れたところにある、自由な想像/創造の世界に連れて行かれたのか。
本物の大人の女性の、完全にあらゆるものから解放された、自由な思考世界に。
それなら、『まぼろし』と同じ手法に、またしてもからめとられてしまったのかも。
画像のどこにもシュールさはないんだけど、ちょっと、サルバドール・ダリの絵を観た後のような、明るい空気の中の、不思議な非現実を感じました。
(似ているわけでは全然なく、あくまで私が受けた印象の話・・・(^-^;)
思えば、それはシャーロット演じるサラの頭の中に展開していた景色だったからなのかもしれません。
それにしても、シャーロット・ランプリングはほんとにすごい。
知的で、ぞっとするほどミステリアス。
あの、ちょっと爬虫類を思わせる、冷たい目で睨みつけられたりするの、くせになりそうな感じ・・・(^-^;
映画の冒頭、地下鉄の中で話しかけてきた女性に対して、冷たい笑みを唇の端に浮かべながら、冷ややかに彼女を見やる様子が、なぜだか忘れられません。
明るい笑顔の彼女は、対して、さわやか過ぎて怖いという感じ。
それこそがシュールです。明るく笑うシャーロット。
リュディヴィーヌ・サニエ、彼女も、美人じゃないんだけど、すっごくはまり役でよかった。
あんなに胸が大きかったのか???!!!!
『8人の女たち』の、あの末っ子少女が?!?!
って衝撃が、実は、作品見てた中で一番大きかったかも。。。(^▽^;)
事前にトレーニングを積んでカラダを造った、って話は聞いていたけど、あの胸と、あの脚の長さは、もともとでしょ。
はんぱじゃない。
見入ってしまいました。
ふたりとも、美女、っていうんではないけれど、とっても魅力的で、フランス映画の良さをすごく伝えてくれる、奥行きの深い演技派だと思います。
(シャーロットは、イギリス人ですが。)
表面は静かだけれど、頭の中では、出来事・体験を通して、人は刻々と、確実に変化していっている。
目には見えない。
でも、いつの間にか、経験を蓄えた内面は、熟成したお酒のように芳香を放ち始め、その香りが、その人の周りを包んでいたりするのです。
セクシーって、そんなとらえどころのない、わかりにくい内面の魅力のこと。
肌を存分に露出するジュリー(サニエ)の無邪気さも魅力的ですが、端正なたたずまいで、ひっそりと優雅に、自由な発想を愉しみ、それを現実化するパワフルさをもったサラは、もっとセクシー。
そう感じました。
セクシーとは、なにか。
その明確なこたえのひとつが、この映画だと思います。
----------------------------------
■『スイミングプール』公式サイトはこちら。
■オゾン監督インタビュー和訳も、たいへん興味深いものです。
(takagi様、リンク貼らせて頂きました。ありがとうございます!)
鑑賞後すぐから比べて、自分の中ではどんどん評価が高くなっています。
映像の鮮烈な色(特に水と空のブルー)と、人間のアタマの中の、奥深い闇の色との対比が、つよい印象を残します。
『まぼろし』は素敵だったと思うものの、『8人の女たち』は、過去の名作映画・舞台を観ていることを前提に、伏線が張られすぎていて、何の知識もないまま観たので、いまいちつまらなかった・・・。
と、私は思った、フランソワ・オゾン監督、最新作。
先日、フランス人の友人に聞いた話では、『La piscine(スイミングプール)』という、フランスの古い映画があって、それにオマージュをささげたという含みで、あえてこちらは英語で、『Swimming pool』にしたとか。
映画大好きなオゾン監督らしいお話ですね。
内容は、言ってみれば、これも『まぼろし』?
”スランプに陥った女性作家が、出版社社長(彼女の恋人?)の別荘を借りて著作に専念しようとしたところ、急に彼の娘がそこに一緒に住み始め、その奔放さに翻弄される”
というお話。
ですが、事前にストーリーを知っても、あまり意味はないかも。
というのも、観たあと、つじつまが、合うようで合わないようで、「?」という気持ちになるのです。。。
煙に巻かれてしまったという感じ。
が、映画館を出るとき、まだぼおっとしているところ、一緒に観にいった友達の、「結局、あれは全部想像だったってことよね」という言葉に、いきなり謎が氷解。
そうか。それなら合点がいく・・・。
てことは、またしても、雑多な日常や常識から気持ちよく遠く離れたところにある、自由な想像/創造の世界に連れて行かれたのか。
本物の大人の女性の、完全にあらゆるものから解放された、自由な思考世界に。
それなら、『まぼろし』と同じ手法に、またしてもからめとられてしまったのかも。
画像のどこにもシュールさはないんだけど、ちょっと、サルバドール・ダリの絵を観た後のような、明るい空気の中の、不思議な非現実を感じました。
(似ているわけでは全然なく、あくまで私が受けた印象の話・・・(^-^;)
思えば、それはシャーロット演じるサラの頭の中に展開していた景色だったからなのかもしれません。
それにしても、シャーロット・ランプリングはほんとにすごい。
知的で、ぞっとするほどミステリアス。
あの、ちょっと爬虫類を思わせる、冷たい目で睨みつけられたりするの、くせになりそうな感じ・・・(^-^;
映画の冒頭、地下鉄の中で話しかけてきた女性に対して、冷たい笑みを唇の端に浮かべながら、冷ややかに彼女を見やる様子が、なぜだか忘れられません。
明るい笑顔の彼女は、対して、さわやか過ぎて怖いという感じ。
それこそがシュールです。明るく笑うシャーロット。
リュディヴィーヌ・サニエ、彼女も、美人じゃないんだけど、すっごくはまり役でよかった。
あんなに胸が大きかったのか???!!!!
『8人の女たち』の、あの末っ子少女が?!?!
って衝撃が、実は、作品見てた中で一番大きかったかも。。。(^▽^;)
事前にトレーニングを積んでカラダを造った、って話は聞いていたけど、あの胸と、あの脚の長さは、もともとでしょ。
はんぱじゃない。
見入ってしまいました。
ふたりとも、美女、っていうんではないけれど、とっても魅力的で、フランス映画の良さをすごく伝えてくれる、奥行きの深い演技派だと思います。
(シャーロットは、イギリス人ですが。)
表面は静かだけれど、頭の中では、出来事・体験を通して、人は刻々と、確実に変化していっている。
目には見えない。
でも、いつの間にか、経験を蓄えた内面は、熟成したお酒のように芳香を放ち始め、その香りが、その人の周りを包んでいたりするのです。
セクシーって、そんなとらえどころのない、わかりにくい内面の魅力のこと。
肌を存分に露出するジュリー(サニエ)の無邪気さも魅力的ですが、端正なたたずまいで、ひっそりと優雅に、自由な発想を愉しみ、それを現実化するパワフルさをもったサラは、もっとセクシー。
そう感じました。
セクシーとは、なにか。
その明確なこたえのひとつが、この映画だと思います。
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■『スイミングプール』公式サイトはこちら。
■オゾン監督インタビュー和訳も、たいへん興味深いものです。
(takagi様、リンク貼らせて頂きました。ありがとうございます!)
「 スイミング・プール」でこちらまでたどり着きました。
美しい映像がとても印象的な映画でした。
トラバはらせてもらいましたm(__)m
「シャーロット」つながりで来てしまいましたか
「ゲンズブール」さんの方も、味がある女優さんですよねー。。いかにもフランス的な色気が素敵だと思います。
『パリ・テキサス』は観たことないです。ナスターシャ・キンスキーも美しいですよね!
今度探してみます
でもほんとFrance人らしい作品ですね。
女の美しさの多様さに気付けるから、フランス映画からは抜けられそうにもありません。。
彼女の目線の使い方(特に上目遣い)は、見事であの瞳を投げかけられると、はっと息を呑んでしまいます。。
フランス映画の極みのような、素晴らしい作品ですね!