BLロック王子小説「ディスティニーアンダー・グラウンド-ギターとスターに愛され過ぎた王子-」

 ★過去に傷を持つ美貌のロックギタリスト遠藤麻也(まや)。運命の恋人・日向 諒と東京ドームに立つが…

★BLロック王子小説23-5「ディスティニーアンダーグラウンド」

2020-07-06 15:24:00 | ★ディスティニー第23章
 しかし、恭一は怒りを押し殺したような表情で歩み寄ってくると、でもこらえきれなくなったように大声で叫んだ。

「麻也! どうしようもない時はせめて逃げろよ! 俺んとこでもどこでもさ! いなくなるのだけはさあ、やめてくれよ…」

「恭一、ごめん…」

 見れば恭一の目は真っ赤になっている。

 麻也も…涙がこらえきれない。
 
 真樹がそっと部屋を出て行ってくれて、二人きりになった。
  
 恭一は大きなため息をつきながらベッドの脇に椅子に腰掛けると

「俺は俺の一存であの麻也の事故のこと諒くんに話したよ」

「…」

「お前に絶交とかされてもいいと思った。

ただ、諒くんに誤解されたまま、
麻也が諒くんを失うなんて絶対嫌だった」

「でもあれは…」
 
 麻也はベッドの上で唇を噛み締めるばかりだった。

「でも、諒君はわかったって言ってくれた。麻也が言ってた辛いことはそれだったなら…」

そこで恭一は涙をこぼした。

「…ちゃんと確かめて、本当に大事にしてあげればよかったって。許されるなら…」

恭一はそこで早口になった。

「やり直したいって。今度は麻也さんのトラウマに触れないように優しくしたいって…」

「嘘だ」

「なんで」

「諒は責任感が強いから責任を取りたいっていうだけだよ」