(ドームの情報が解禁になってたらねえ…)
元気になった自分を嬉しそうに見ている目の前の恭一に、一番最初に東京ドームが決まったことを教えたいのに…
情報が解禁になったら、一番先に知らせに来よう。
「やー、デートの最初に選んでくれたなんて嬉しいよ」
「うん…全部、恭一のおかげで解決できたから…」
諒がいるので麻也はあまりはっきりと礼を言うことができなかった。
嫌なことをすべて思い出してしまうから…
それは恭一も諒も同じなのだろう。
恭一の部下が持ってきた缶コーヒーを三人でひとくち飲むと、恭一は、
「でも、まだオフなんでしょ?」
「うん…でも俺ったら、残りわずかなのにメンバーで飲み会とか帰省とか詰め込んじゃって」
「麻也、それなら俺の方はいつでもいいよ」
「よくないよ。まずは恭一にごちそうしたいんだ」
じゃあそれなら、と恭一は受けてくれたが…
ギターはあまり見せてもらえなかった。
諒がにらんでいたからである。
そしてとうとう諒に首根っこを掴まれるようにして店を後にする羽目になってしまった…