BLロック王子小説「ディスティニーアンダー・グラウンド-ギターとスターに愛され過ぎた王子-」

 ★過去に傷を持つ美貌のロックギタリスト遠藤麻也(まや)。運命の恋人・日向 諒と東京ドームに立つが…

★BLロック王子小説23-8「ディスティニーアンダーグラウンド」

2020-07-12 21:33:12 | ★ディスティニー第23章
 真樹が、続けて両親に説明してくれる。
 
「…症状はもう大丈夫なんだけど、仕事疲れがひど過ぎて、静養のためにいるの。あとマスコミ対策に」
 
 その時携帯が鳴る音が…
 
 音が聞こえるのはサイドテーブルからで、まだ諒の携帯が置いてあってそれに着信しているのだ。
 
 疲れている麻也は鈴木に渡されるままその電話に出た。
 
ー麻也さん…
 
 諒だった。
 
 麻也は声が出なかった。
 
 電話の向こうの諒の困っているのも伝わってくる。
 
ー麻也さん、全部俺が悪かった。恭一さんから聞いてわかった。俺が変に勘違いしていたよ。本当に申し訳ない。
でもやっぱり俺は麻也さんを愛してる。
やり直したい…

 麻也は無言で電話を切ると、唇をかみしめて鈴木にその携帯を渡した。
 
「その携帯、諒に返してください お互いに迷惑なんで」

 迷惑なんて…
 
 鈴木がそう言ってくれたのと、諒の言葉は、実は麻也には本当に嬉しかった。

 でも真実を知る前の、真実を知らなかったとはいえあの諒の暴言、怒りの表情、あの時突き刺さった恐怖は、どうやったら自分の記憶から消えてくれるのだろうとも、麻也は思った。


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