「いいねえ…ドームかあ…」
なぜか諒は吹き出した。
「ふふっ、麻也さんかわいい」
何だよそれ…麻也もつられて笑いながら抗議だ。
「だってほのぼのとした言い方するんだもん」
麻也は少しふくれっ面になってしまった。
「そう? 俺はこれでもドームに向かって緊張してるんだよ」
「俺もだよ…」
「…いや、見えないけど…」
「麻也さんひどいわ」
「でもきっと、具体的に動き出せば緊張もほぐれてくるよね…早くスタジオに入りたいな…」
思わず口を突いて出た自分の言葉に麻也は驚いたが、諒は何気なく受けて、
「そうだねえ、その時は俺がスタジオに送ってくよ。帰りはゴハンに行ったりしてさ」
「そうだね…」
とは言ったものの、体の方はいつから思うように動いてくれるのだろうと、麻也は不安になる。
…でもとにかく自分は今、生きているのだ。
鈴木が置いていってくれたビーフシチューや何かで夕食を済ませると、シャワータイムだった。
先に使わせてもらった麻也は、諒に着せられた白のバスローブのまま、諒を待ちながらリビングでごろごろしていた。
疲れた麻也はベッドで休んでいたかったが、
(うーん、露骨だと思われても嫌だし…)
気分を変えようと、麻也は自分の部屋兼ミニスタジオに、本日2回目に入ってみた。