アプリコット プリンセス

チューリップ城には
とてもチャーミングなアプリコット姫がおりました

第十一章 アプリコットプリンセス 大きな獲物

2016-06-09 08:02:44 | 漫画


開間臣
「右府様の落雷何事もなく、今は晴天なるぞ」

光日出
「接待役のことでございましょうか?」

開間臣
「其方は右府様の代からじゃが
儂などは先代からのお勤めじゃ
驚くのも無理はないが
安心召され!」

光日出
「では、引き続き東の客人を我らがもてなせよと?」

開間臣
「さよう」

光日出
「分かり申した、仰せの通り仕りますと申し上げ下さいませ」

開間臣
「おう快諾じゃの、ここで、へそを曲げられたら
また、雷が落ちるところじゃ
いやー良かったわい」

光日出
「滅相もございません。
喜んでお役目 務めさせていただきまする」

開間臣
「右府様のお戯れはお主を高く買っているからじゃ
中国地方、四国への遠征では何かあろうなぁ」

光日出
「何か?」

開間臣
「そうじゃ右府様は天才的な策略家じゃからぉ
意味ないお戯れはござらん」

光日出
「我らを叱るは策略と申すか?」

開間臣
「さよう」

光日出
「・・・・・」

開間臣
「ん?
どんな策略か聞きたくないのか?」

光日出
「では、教えてくだされ」

開間臣
「そうじゃろ 聞きたいじゃろ」

光日出
「・・・・」

開間臣
「・・・・・」

開間臣
「儂なんぞは、武士の情けで聞いたんじゃが
教えてもらえなんだ」

光日出
「教えたくなければ・・・・」

開間臣
「いいや、ちょとだけなら構わんじゃろう」

光日出
「・・・・」

開間臣
「これは右府様の深いお考えあってのことなのじゃ」

光日出
「・・・・・」

開間臣
「どうじゃ?聞きたかろー」

光日出
「右府様の考えていることがでございますか?
わたくし愚昧なれは・・・・」

開間臣
「謙遜なさるな
見せしめじゃよ」

光日出
「さようでございましたか・・・」

開間臣
「じゃがのぉ
見せしめは、右府様の深きお考えではござらん」

光日出
「・・・・・」

開間臣
「なぜ黙っておるのじゃ
儂じゃったら頭をさげてでも聞きたいがのぉ」

光日出
「いや、気が付きませなんだ
光日出 この通り頭を下げてお願い申し上げる」

開間臣
「だめじゃ内緒なんじゃ・・♪」

光日出
「・・・・・」

開間臣
「だから
何で黙るんじゃ」

光日出
「開間臣様のお考えが分かりかねるのでございます」

開間臣
「だから、そうじゃなくて
聞きたいことを聞いたらいいんじゃよ」

光日出
「さようで?
それでは、是非お話しくださいませ」

開間臣
「内緒じゃ・・・
敵を欺くには見方からと言うでな♪」

光日出
「・・・・・」

開間臣
「また黙る」

光日出
「???」




日出吉
「右府様から厳命より北方への援軍を命ぜられたのじゃが
断ったんじゃ」

光日出
「なんと、上意をお断りなされたので?」

日出吉
「命がけの賭けに出たのだよ」

光日出
「お手打ち覚悟でございましたか?」

日出吉
「右府様は儂を失いたくないのじゃよ
その代わりに厳しい罰を貰い申した」
「中国地方を儂だけで攻めよと」

光日出
「援軍無しでございますか?」

日出吉
「援軍は歓迎だが、指揮下に下るは御免こうむるでな」

光日出
「実は、右府様より命じられた接待役を再度解任と!」

日出吉
「ほーそれで・・・・」

光日出
「我らは日出吉様の指揮下に入るように援軍を命じられ申した」

日出吉
「ほーぉ・・・・
光日出様が我らの指揮下にのぉ・・・」

光日出
「山陰道を攻めよとの命令であります」

日出吉
「ほーぉ・・・
それは援軍無しでは敵わぬ!」

光日出
「我らも背水の陣なのであります
接待役再解任の件で領土召し上げ・・・」

日出吉
「ほーぉ 右府様も手厳しい」

光日出
「このまま日出吉殿の指揮下にありましては
領土を持たぬ大名になってしまいまする」
「今回の中国攻めは我らに手柄を取らせて貰うわけには・・」

日出吉
「おぉ・・・
それは難儀じゃのぉ
山陰道は手付かずじゃ存分に暴れまわるがよいぞ!」

光日出
「恐れ入りまする」



アプリコット
「こんにちは、わたしアプリコットよ」

アプリコット
「・・・・・・・」

「チューリップ国から日出国に遊びに来たのよ」

アプリコット
「・・・・・・・」
「光日出様
如何なされましたか?」

光日出
「ん?」



光日出
「いや 気が付かなんだ」
「異国の姫様が光日出に用事がおありかな?」

アプリコット
「皆さん、私のことをおチビちゃんと呼んでるのよ」
あのね、わたし・・・・日の出国の王様に追い出されちゃった」

光日出
「右府様に追い出された?」

アプリコット
「右府様に説教をしてきたのよ」

光日出
「むうぅぅ
あのお方に説教を!」

アプリコット
「えへへへ
説教なんて言ったら怒られちゃうわね」

光日出
「おチビちゃんは怖くないのかね?」

アプリコット
「信長様は完全主義だと思ったから・・・
だって、完璧なものには魔物が潜むと言うわ!」

光日出
「右府様に魔物が潜んでいると・・・」

アプリコット
「光日出様・・・
それを言うならば・・・・
光日出様にも魔物が・・・・・」

光日出
「・・・・・」

アプリコット
「私は愛の使者なのよ!
戦国の世で虐げられている人々に愛を捧げたいの!」


光日出
「そうか💡
分かったぞ💡
王女はキリスト教徒だな」

アプリコット
「いいえ、違うわ」
「わたしは布教のために異国に来たのではないのよ」

光日出
「エゲレスやエスパニャは布教をつうじて
人心を奪い征服を目論んでおる
うかつに愛だなどと申すではないぞ
お主が右府様に追い出されたのは必然!
その場でお手打ちになり殺されていたところぞ!」

アプリコット
「そうなのね😢
良く分かったわ・・・
神様の愛が征服に利用されているのね・・・

光日出
「うむぅ、分かってくれたか・・・
これからは、国事にかかわらんこと
きつく申し付けるぞ」

アプリコット
「日の出国のあり方に口をはさむことはしないわ
だけど、虐げられて苦しんでいる人々を見捨てることは出来ないわ」



光日出
「武士はのぉ 愛などと言ってはならん
お家大事なのだよ」
「おチビちゃんには分からんだろうが
この国は戦乱により荒んでおる
天下泰平は愛をもっては成されず
力と絶対的な支配によりもたらされるのじゃ」

アプリコット
「光日出様も右府様と同じお考えなのね・・・」

光日出
「ははは・・・・
右府様と比較されるとは光栄至極」

アプリコット
「わたし気になってきました」

光日出
「気にする必要はない」

アプリコット
「光日出様は迷っていますね
お家を、そして家臣のために
大きな決断をしようとしているように感じるわ」

光日出
「ははは・・・
武士はのォ迷いは禁物じゃ
勝つか負けるか
生きるか死ぬかじゃよ」

アプリコット
「この国では敗戦の将は自殺するの?」

光日出
「自殺?
切腹のことじゃな」
「これは武士の死にざまじゃよ
切腹をいさぎよしとして称賛するのじゃ」


アプリコット
「自殺は天界で最も大きな罪になるわ
この世の誉は神の世には通じないのよ
自殺するのではなく生きる道を探す必要があります」

光日出
「将は家臣にお咎めなしを条件に
切腹するのじゃ
あの世のことは知らぬが
数十万石のお取り潰しと儂一人の命を天秤にかけたら
天界など関係なかろうな」

アプリコット
「それは違うわ
確かに逃げの自殺とは比べようがないけど
切腹も自殺に変わりないのよ
絶対にだめよ」

光日出
「おチビちゃんには
光日出が苦悩が見えるようじゃ」
はははは・・・・
しかし、儂も天下の大名じゃ
敗戦の将は潔しを良しとするのじゃ」



日出吉の指揮下に下ることに腹を立てた光日出家臣達は
再度解任された接待役を乱暴に放棄した。
このことが右大臣信長の知ることとなり、
光日出は窮地に陥っていた。

光日出
「右府様は激怒され、切腹の使者を遣わされた」

家臣
「殿を御守りいたすが家臣の務めでございます」
「このような横暴は断じて容認できません」

光日出
「御命令とはいえ、堪忍の限度を超えている」
「しかし、逆らえばお家は取り潰しをまのがれまいぞ」

家臣
「では、殿は切腹すると・・・・」

光日出
「光日出一人の命 惜しくはないが
生きる道を探すべきかもしれんと思うてな」

家臣
「上様は名門大名にございますぞ
我らは上様のために命を捧げてございます」
「上様が堪忍しようとも我らは断じて許しませんぞ」

光日出
「そうか、良く言ってくれた
これで光日出の決意は固まったぞ」

家臣
「殿!
我らは無念でござったが
決意のほど、ここに仰せつかり
良き死に場所が見つかりました。
胸のつかえが降りましてございます」

光日出
「敵は本能寺じゃ
山陰道に援軍を送る道すがら
本能寺を攻める」

家臣
「我らは、都の出入り口を全ておさえ
手薄になっている敵の将を一網打尽にすることが
できまする」

光日出
「取り逃がすではないぞ」

家臣
「幸い、戦勝による安堵から
敵の軍備は手薄にございますれば
本能寺攻めから一挙に制圧できる計画にございます」

光日出
「日出吉は我らが援軍に来るを待っており
立往生することになれば
残るは東の将だけだ」
「幸い、東の御仁は手薄の境にある
野武士どもにも報奨して懸賞金を与え亡き者とせよ」

光日出
「東の御仁は殺すに忍びないお方じゃ
しかし、生かしておくことはできぬ」




光日出が謀反を決意したとき、
開間臣が使者として訪れた。
光日出は信長に謀反を疑われたのだと
警戒したが、そうではなかった。

開間臣
「いや・・よかった間に合った」

光日出
「如何なされました」

開間臣
「光日出様に遣わされた、切腹の使者は誤りじゃ」
「許してくだされ」

光日出
「右府様のお怒り、当然至極にございますれば、
光日出に許そうなど恐れ多きにございまする」

開間臣
「右府様は東の方と和やかに会談なされ、
上機嫌でござったが、
東の方が堺に向かい日出吉の援軍としての
準備をすることを深くお気に召され、
光日出殿に気を配ることを忘れていたのでございます。

光日出
「右府様よりの、お気遣い
光日出、心苦しゅうほどに感服仕り
恐縮至極にございますれば、
いっそうの奉公を決意するものと
申し伝えくださいませ」

開間臣
「でな、右府様お戯れの件じゃが、
家臣どもへの見せしめと、
肝心な右府様の深きお考えの件じゃが
聞きとうはないか?」

光日出
「そのことは、開間臣様から教えられぬと
仰せつかったところで・・・・」

開間臣
「特別に少しだけ教えてもよいぞ」

光日出
「さようですか・・・」

開間臣
「聞きたかろー」

光日出
「・・・・」

開間臣
「右府様ご静養中に
いきなり踏み込んで
白目を向けてアッカンベーをしながら
お尻ぺんぺんして、
光日出は、お主を見損なった
謀反じゃ謀反じゃと言ってきなされ」

光日出
「何を仰りたいので・・・・」

開間臣
「これは、右府様の御命令じゃ
厳命じゃぞ」

光日出
「では、開間臣様は謀反を考えておられるのですか?」

開間臣
「これは、右府様の深きお考えなのじゃが
全てではないのじゃ
どうじゃ、知りたかろーが」

光日出
「・・・・・」

開間臣
「知りたいと言え!」

光日出
「それでは、教えてくだされ」

開間臣
「だめじゃ、内緒なんじゃ
敵を欺くには見方からじゃからな」

光日出には開間臣が謀反を企んでいるようには
見えなかったが、
お道化て馬鹿にしているようにも
思えなかった。



日出吉
「開間臣殿の働きは第一殊勲者に匹敵するのぉ」

開間臣
「今度は、毛利を騙し打ちでござりますな!」

日出吉
「そうじゃ お主も知恵を付けてきたのぉ」

開間臣
「では、今度は毛利に光日出が裏切り
味方すると申し付ければ宜しいのですな」

日出吉
「儂はのぉ
お主に、今回の手柄を全て譲ろうと思うとるのよ」

開間臣
「なんと!
毛利攻めの手柄を儂に譲ると?」

日出吉
「別に驚くこともあるまい
開間臣殿はそれだけの働きをしたのじゃから当たり前じゃろ」

開間臣
「しかし、儂は今回の戦には一切関与しておらんぞ!」

日出吉
「儂はのォ
毛利には興味が無くなったのじゃ
全軍を率いて、もっと大きな獲物を
捕らえに行くことにしたのじゃ」

開間臣
「ちょと待って下され!
全軍を引かれては、毛利攻めは成りませぬぞ!」

日出吉
「大丈夫じゃ
敵は水攻めで立往生しており、
反攻は成らんからのぉ
開間臣殿は黙って敵が降伏するのを
待っておればよいのじゃ」

開間臣
「????」

日出吉
「また浮かぬ顔をしておるのぉ」

開間臣
「貴様はいつも何かを企んどるのぉ・・・・
もっと大きな獲物とは何じゃ」

日出吉
「内緒じゃ」

開間臣
「んー まあ良い
お主の考えは結果が出ないと分からんでな・・・」

日出吉
「この日出吉が命懸けで手に入れようとした手柄じゃ
安くはないぞ!
この手柄を貴様にタダで渡そうというのじゃ
簡単に分かってもろうては困るわ!」

開間臣
「しかし、お主は不思議な奴じゃ
心臓に毛が生えて毛むくじゃらになっておるぞ」

日出吉
「ははは・・・妙な褒め言葉じゃ

では、後を頼んだぞ」





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