アプリコット プリンセス

チューリップ城には
とてもチャーミングなアプリコット姫がおりました

赤穂事件 元禄の大火

2022-05-15 11:42:09 | 漫画
           赤穂事件 柳沢吉保の言い訳



将軍綱吉
「おい」「犬!」

柳沢吉保
ーーーーー畏まるーーーーー

将軍綱吉
「キサマ!」
「光圀の言いなりか!」

柳沢吉保
ーーーー畏まるーーーーー

将軍綱吉
「何で 鳥居 忠英居 (とりいただてる) を復権させた!」
「あ奴の父親は、強情者じゃぞ!」

柳沢吉保
ーーーー申し訳御座いませんーーーー

将軍綱吉
「んんゥ」
「そうじゃ・・」
「儂が許したのじゃた・・」

柳沢吉保
ーーーー光圀を侮っておりましたーーーー

将軍綱吉
「代わりに近江水口藩から加藤明英が来る」
「明英は気の利く奴じゃ」
「近場の下野壬生藩に明英をおいておけば安心じゃ」
「思い出した・・」

柳沢吉保
「はい」
「近江水口藩から加藤明英殿を下野壬生藩に移しておけば
幕府の安泰となります」

将軍綱吉
「下野壬生藩の松平輝貞は領地加増で上野高崎に移した」
「んんゥ」
「あれ・・?」
「上野の安藤重博は如何為った?」
「あ奴は何処に行った?」

柳沢吉保
「はい」
「安藤重博殿は、上野国高崎藩から
備中国松山藩に移りまして御座います」

将軍綱吉
「儂が許したのか?」

柳沢吉保
「はい」
「上様の御許しが得られた後に
移封して御座います」

将軍綱吉
「儂は、何で許したのか?」

柳沢吉保
「はい」
「備中国松山藩は赤穂が無血開城して
内蔵助が留まっておりました」
「赤穂は犬千代兄弟のお披露目が
叶いませんので・・」
「犬千代が御犬と為った時の褒美に
残しておけとの事」
「赤穂への褒美は後にせよとの指示で御座いました」

将軍綱吉
「御犬遊びは禁止されておる・・」

柳沢吉保
「はい」
「光圀がいる限り
御犬のお披露目は叶いません」

将軍綱吉
「諸藩で飢饉が起きておるな!」

柳沢吉保
「はい」
「百姓への引き締め強化により
飢饉が各地で起きております」
「引き締めを緩和為さいますか?」

将軍綱吉
「いや」
「更に、引き締めを強化せよ!」
「領民を見捨てるのじゃ!」

柳沢吉保
「隆光殿の呪術で
光圀を弱らせる方策で御座いますか?」

将軍綱吉
「隆光によれば
この飢餓を光圀が救えば
光圀は救われ
見捨てれば
光圀は終わると申しておる」
「光圀に対処されては計画が崩れる」

柳沢吉保
「御意」


            赤穂事件 忠臣蔵の題材



原 元辰
「お館様が回復為されました事
元辰も救われた思いに御座る」

浅野内匠頭
「其方は、儂が死んでも弟には仕えぬと申し
殉死を願い出たと聞く」
「正に、我が忠臣じゃ!」

原 元辰
「赤穂を支える、頭は
内蔵助や弟君では御座らん」
「二心が有っては為らぬと
内蔵助殿と契りを交わして参りましたぞ!」

浅野内匠頭
「内蔵助は何と申しておった」

原 元辰
「お館様を支えると
力強く申された!」

浅野内匠頭
「んんゥ」
「儂が退き
弟の大学が後を継ぐ事を
願ってはおらんのか?」

原 元辰
「我らがお慕い致すのは
親方さまだけで御座います」

浅野内匠頭
「んんゥ」
「内蔵助は大学でも良いのかと思っておった・・」

原 元辰
「いいえ」
「直接会って確認して参りました」
「弟君の事は、心配要りません」
「ご安心下さい」

浅野内匠頭
「一難去ってまた問題が起きた」
「吉良が儂の痘痕を治せと言って
しつこく纏わり付いておる
執念深い奴じゃが
今、吉良に逆らえる者は誰もおらん」

原 元辰
「男児たる者
顔の傷や凹み、容姿に拘ってはなりません」
「お館様の顔に痘痕があるのは
命を失いかけ、戦い、勝利した勲章で御座る」
「吉良などに、とやかく言われる筋合いは無い」
「全て、この元辰にお任せ下され」
「あ奴を、打ち据えてやりますぞ!」

浅野内匠頭
「いやいや」
「ちょと、待て」
「内蔵助といい
其方といい
乱暴はいかん」
「打ち据えるのは、簡単じゃが
後で、大変な事になる」
「んんゥ」
「儂も、吉良には愛想を尽かしておるが
其方は、吉良を仇のように憎んでおるぞ」

原 元辰
「吉良は、仇で御座る」
「我が父親は
吉良の陰謀に巻き込まれ
上杉を離れ、浪人となり路頭をさ迷ったのです」

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
綱勝の死因について
綱勝の死因について、吉良義央による毒殺説がある。これは綱勝の発病が妹の嫁ぎ先の吉良家を訪れた直後で、病状が悪化していることから唱えられた説で、小説や赤穂事件の解説書でも取り上げられることが多い。

浅野内匠頭
「それは、小説を面白くするための作り話と言われておるぞ」
「信憑性は無い」

原 元辰
「では、家老・大石良重殿の死因は何で御座る」
「あの時、吉良は菓子折りを毎日持って置いていった」
「吉良の陰謀ですぞ!」

浅野内匠頭
「その様な、事実は何も残されてないぞ」
「作り話じゃ」
「其方の思い過ごしじゃ」
「思い悩むな!」

原 元辰
「いいえ!」
「吉良上野介は上野国の領地を狙っておるのですぞ」
「今は、目立たぬ指南役として
身を隠しておりますが
上野国を奪い取、
老中格から大老になる公算で御座る」
「名実が伴えば、手に負えなくなります」
「今、吉良を成敗しなければ
赤穂の災いとなりますぞ!」

浅野内匠頭
「んんゥ」
「分かった」
「では、吉良の企みが明らかになれば
其方と相談して吉良に対抗しよう」
「今は、我らも身を隠す必要がある」
「吉良の企みを知らねばならん」

原 元辰
「いいえ」
「それでは、手遅れとなりますぞ!」
「吉良が悪さをする前に
始末するのです」

浅野内匠頭
「んんゥ」
「内蔵助も
吉良を太き棒で打ち据えてやると申しておる」
「儂も、同様じゃ」
「吉良は好かん!」
「しかし、今は為らん」
「忍耐じゃぞ」

原 元辰
「んんゥ」
「では、再び、吉良に痘痕を罵られたら
如何致しますか?」

浅野内匠頭
「其方が、教えてくれたではないか」
「これは、男の叙位じゃぞ」

原 元辰
「吉良が来れば
殴り飛ばす所存」
「吉良は許しません!」

浅野内匠頭
「儂も、殴られた吉良を見てみたいものじゃ」
「殴るにせよ、身元が分からんように
注意するのじゃぞ」
「今の吉良は危険じゃ」

原 元辰
「お館様に迷惑はかけません」

浅野内匠頭
「んんゥ」
「では」
「おとなしくしておれ」

原 元辰
「んんんゥむ」
「むずむずする」

浅野内匠頭
「どうやら
「儂が要らぬ事を申したようじゃな」
「忘れろ・・」

原 元辰
「んんんんゥ」
「忘れ・・・」
「ろと・・」

浅野内匠頭
「左様」

原 元辰
「・・・・」

浅野内匠頭
「儂も、全て忘れる・・」





           赤穂事件 天領の災難



池田綱政 (備前岡山藩の第2代藩主)
「上様からの御命令とはいえ
庶民を見捨てるので御座いますか?」

安藤重博 (備中国松山藩の初代藩主)
「左様」
「徹底的に厳しく締め上げよとの御触れで御座る」

池田綱政
「東北では飢饉がおきているとか・・」
「飢饉に備えよとの意味で御座いますか?」

安藤重博
「儂は、領地加増にて
この地に参った」
「上様は懸念をもっているのじゃぞ」
「上様は、犬の者のみ信用しておる」
「上様は、其方が犬の振りをしているのか見届けよと申された」

池田綱政
「はい」
「綱政は上様の忠実なる犬で御座います」
「側用人への下向も欠かせません」
「上様の命令に無条件で従います」

安藤重博
「よし」
「では、過酷な検地を実行する」
「其方も、横に習え!」

池田綱政
「では、余剰年貢米で飢饉の東北に援助しすば宜しいかと・・」
「幕府に献上して
飢饉に対処致しましょう」

安藤重博
「お主は、評判の馬鹿じゃな」
「儂は、改易した真田領地の沼田を天領として預かっておったが
その地で飢饉が起きた」
「そこで、幕府の援助を求め
天領沼田に援助米を施した事が有る」
「その後、残ったのは
幕府から借り受けた借款じゃ!」
「御人好しは、身を亡ぼす」
「上様は、庶民を見捨てよと申された!」
「より厳しい引き締めをせよとの御触れじゃ!」

池田綱政
「岡山の地は、豊かな農耕地が広がり
天候にも恵まれておりますから
過剰な検地は不要では御座いませんか?」

安藤重博
「年貢米は、多ければ多いほど良い」
「申告は少なく
取り立ては多くするのじゃ」
「そして、余剰米は幕府に献上する」
「岡山の地は、これから
この安藤重博が本尊となり
上様の意向に従い統治される」
「其方は、本尊に従う必要があるのじゃぞ」

池田綱政
「左様で・・」
「では、某は家老とも相談して
本尊の意に沿うような方向で対処しるように
申し付けます」

安藤重博
「家老などに相談せんでも
其方が藩主じゃろーが」
「ここで、決めろ!」

池田綱政
「それから、鳥取藩とも折り合いを付けねばなりません」
「某には、何も権限が御座いません」

安藤重博
「おい!其方は鳥取藩が分家だと主張しておるではないのか!
嘘を付くな!」

池田綱政
「某は、鳥取が分家だと思っておりますが
相手は、自らが本家だと主張しておりまして
どうにもこうにも為りません」

安藤重博
「兎に角、検地を厳しくするのじゃ!」
「厳しく、年貢を取り立て」
「百姓を見殺しにしろ!」

池田綱政
「それは、家老とも相談せねば・・」

安藤重博
「おい!」
「儂は、其方が忠実な犬となっておるのか
監視しておるのじゃぞ!」
「のらりくらりと誤魔化しおって!」

池田綱政
「某、正真正銘の馬鹿で御座います」
「全ては家老が決めております」
「某は何も決める事が出来ないのです・・」

安藤重博
「馬鹿犬か!」

池田綱政
「はい」
「馬鹿犬で御座います」

安藤重博
「馬鹿犬!」
「儂が、其方の主人じゃ!」
「厳しく躾てやる!」

池田綱政
「左様で・・」

安藤重博
「馬鹿犬めが!」


           赤穂事件 仇の吉良



原 元辰
「火消し大名復帰を、お祝い致します」

浅野内匠頭
「おおォ」
「すっかり良くなった」
「気分も良いぞ」

原 元辰
「仇の吉良が鼻の先におるのに
手出しが出せんのは残念じゃ」

浅野内匠頭
「上野寛永寺の根本中堂・文殊楼・仁王門が落成して
東山天皇に願っていた勅額がくるという」
「落成を祝う儀式が盛大に行われるが
この式典は吉良によって執り行われる」
「吉良の威光は高まるばかりじゃな」

原 元辰
「それは、その式典が滞りなく執り行われた場合じゃ」
「失敗すれば、奴の失敗となり
責任を問われる」
「失敗すれば問題ない」

浅野内匠頭
「もう止めろ」
「もう宜しい」
「吉良に構うな」
「あ奴の鬱陶しい顔が目に見えるぞ!」

原 元辰
「仇が近くにおるのに
殴る事も出来んのか!」
「なァ、お館!」
「あ奴を殴り飛ばしたい!」

浅野内匠頭
「駄目じゃぞ!」
「頼むから、いざこざを起こすな」
「今は、吉良に逆らえる者は
誰もおらん」
「吉良を殴っても
赤穂に利益はない」

原 元辰
「んんんゥ」
「むかむかする」
「なァ、お館!」
「むかむかするぞ!」

浅野内匠頭
「我慢じゃ」

原 元辰
「我慢出来ん!」
「あァ!」
「そうじゃ!」

浅野内匠頭
「如何した?」

原 元辰
「お館が、吉良屋敷を破壊すれば良い!」

浅野内匠頭
「えええェーー」
「儂が、吉良屋敷を破壊するって?」
「如何して?」

原 元辰
「お館は、火消し名人の大名じゃ」
「火事の延焼を防ぐ為に
吉良邸を破壊すれば良いのじゃ!」

浅野内匠頭
「んんゥ」
「吉良邸の横で火が上がれば
吉良邸を破壊せねばならんな・・」

原 元辰
「東山天皇に願っていた勅額が来る時に
吉良邸を破壊すれば
吉良の権威は地に落ちる」
「ついでに、吉良もやってしまえば
一石二鳥の戦果となる」
「名案じゃ」

浅野内匠頭
「おいおい」
「変な事を考えるな!」
「やり過ぎじゃぞ!」

原 元辰
「お館!」
「吉良から、また、痘痕を
からかわれたいのですか!」
「吉良の成功を
指をくわえて見ているつもりですか!」

浅野内匠頭
「んんゥ」
「如何する?」

原 元辰
「お館は、吉良邸を破壊するのです!」
「今、吉良を失脚させなければ
お館様は、吉良の犬に為ってしまいます」
「お館様は、犬になっては為りませんぞ!」

浅野内匠頭
「犬に為ったらダメか?」

原 元辰
「もしも、お館様が犬と為れば
お館様を殺して、某も殉死致します!」
「某は、犬に為った赤穂の藩主には仕えません!」
「これは、某の武士道で御座る」

浅野内匠頭
「・・・・・」
「犬に為ったら、
儂を殺すのか?」

原 元辰
「左様!」

浅野内匠頭
「・・・・」

 
            赤穂事件 犬千代の選択



吉良上野介
「上様は、穢れを恐れておられる」
「上様は、死・疫病・性交に穢れを抱いておられる」
「其方が疫病に罹った事は周知されておるのだ」
「だからな」
「やはり、其方は隠居すべきだと思うぞ!」
「隠居して、弟の犬千代に赤穂を譲れ!」
「それで、全てが上手くゆくのだ!」
「観念しろ!」

浅野内匠頭
「それは、赤穂で決める事」
「要らぬ口出しは為さらぬ様にお願い致す」

吉良上野介
「其方は、犬にも劣る、鮒じゃ!」
「世間の事を何も分かってはおらん」
「赤穂が決めると申すが
儂が許可しなければ
赤穂の世継は許されぬのじゃぞ」
「赤穂を生かすも殺すも
儂の一存で決まる」
「儂に逆らえば
赤穂は改易となる」

浅野内匠頭
「赤穂の存続を決めるのは
上様で御座る!」

吉良上野介
「左様」
「上様が、其方を寵愛していたのは
其方が新しい犬として相応しいからだと思ったからじゃぞ」
「側用人が、計画を立て」
「儂が実行した」
「全ては、上様の希望に沿った計画なのじゃ」
「儂の、提案は
上様の命令だと思え!」
「儂に逆らえば
赤穂の将来は無い」
「儂は、其方では無く
其方の弟を、上様に献上したい」
「其方は、身を引くのじゃ!」

浅野内匠頭
「顔の痘痕は目立たぬようになりました」

吉良上野介
「いいや」
「其方は、もう美しくは無いぞ」
「一度、疫病に罹った者を
上様が喜んで寵愛する筈が無い」
「其方を、献上すれば
儂が上様から叱られる」
「其方は、穢れてるのじゃぞ!」
「もう、其方に将来は無い」

浅野内匠頭
「一度、疫病に罹った者は
二度と同じ病には為らぬと言われております」
「某は、いたって健勝に御座る」
「また」
「上様に、お会いしたおりにも
以前と変わらぬ寵愛を受けております」
「上様は、某を必要とされておられる」

吉良上野介
「それは、其方を遠目に見ているからじゃ」
「本当に寵愛する者は
近くに寄り添い
話を為さいますぞ」
「其方を近づけないのは
其方に穢れを感じている証拠」
「上様は、一度でも穢れを感じた者を許せないのですぞ」
「もう、其方は、お終いじゃ」

浅野内匠頭
「いいえ」
「上様から直接
印籠を渡されなければ、納得できません」
「赤穂の領主は
赤穂で決める事」
「其方では無い」

吉良上野介
「おやおや」
「其方は、忠犬となる事を誓った筈ではないのかな?」
「もう、約束を破るのか!」

浅野内匠頭
「いいえ」
「某は、上様の忠実なる犬で御座る」

吉良上野介
「いいや」
「其方は、犬にも劣る、鮒じゃ!」
「鮒侍じゃ!」

浅野内匠頭
「鮒ならば都合がよい」

吉良上野介
「鮒の方が都合がよい?」
「如何いう意味かな?」

浅野内匠頭
「赤穂の藩士共は
武闘派ばかりでな
儂が、其方の犬に為る事を快く思っておらん」
「だから、鮒の方がましだと申した」

吉良上野介
「鮒にすら成れぬのに
犬には成れんな」
「ましてや、忠犬になど
絶対に為れん!」

浅野内匠頭
「儂が其方の犬に為れば
儂は、家臣に愛想を尽かれ見放される」
「儂は、其方の犬には為らん!」

吉良上野介
「弟の犬千代の方が躾が良いな」
「やはり、其方は、駄目じゃ!」
「其方を、上様に献上することは出来ん」
「諦めろ!」

浅野内匠頭
「赤穂は、武闘派で御座る」
「赤穂を舐めれば
痛い目に合いますぞ!」

吉良上野介
「おおおおォ」
「これはこれは」
「開き直りか!」
「痛い目?」
「今、儂に逆らえる者は誰もおらん」
「大老や老中が束になってかかっても
儂は負けん自信があるのだぞ」
「儂は上様から特別なるお許しを得ておるからじゃ」
「儂に逆らえば
逆らった者は、獰猛な犬に襲われる」
「獰猛な犬とはいえ、その犬を撃退しては為らんのじゃ!」
「生類憐みの令があるからな!」

浅野内匠頭
「やはり、噂は本当であったか!」

吉良上野介
「左様!」

浅野内匠頭
「儂に事実を知られたら困るぞ」

吉良上野介
「困るものか」
「其方は、もう終わっておる」

            赤穂事件 火消し名人



浅野内匠頭
「大老殿の働きにより
神田橋御番に復帰致しました」

井伊 直興
「わざわざ、挨拶に参られたか」
「病後で有ったので
本所での骨休めをさせておった」
「神田橋御番は過酷じゃぞ」

浅野内匠頭
「いいえ」
「赤穂の藩士は武闘派揃い」
「我らは、火事場で活躍致します」

井伊 直興
「其方の活躍は目覚ましい」
「何故、左様に働ける?」
「其方が御番すれば
大火は無いぞ!」

浅野内匠頭
「それは、地元赤穂に心配が無いからで御座る」
「内蔵助が赤穂を守り
某は、火消しに専念する」
「赤穂が豊かな土地に恵まれており
赤穂藩士が武士道で貢献しております故」

井伊 直興
「んんゥ」
「左様か・・」
「そろそろ、儂も、追放した藩士76人の帰参を考えねば為らんのォ」

浅野内匠頭
「はい」
「今、諸藩では飢饉が起こっております」
「飢饉で、百姓一揆が起こる事も考えられます」
「警戒せねば為りません」

井伊 直興
「んんゥ」
「守りを固める必要があるな」
「んんゥ」
「困窮と拝借金の支給を訴えた藩士76人を追放したが
誤りであった」
「その後、残った藩士に融資もしたし
上米も施した」
「しかし、追放した藩士76人が気掛かりじゃ」
「全て、儂の誤りであった・・」

浅野内匠頭
「藩士帰参が許されれば
一層の忠義に励む事で御座いましょう」

井伊 直興
「おおォ」
「左様か!」
「其方は、忠臣に恵まれておるな」

浅野内匠頭
「某は無骨な藩士に担がれておるだけ」
「多くは、家老の力添えで御座る」

井伊 直興
「今時、珍しのォ」
「もう、武士道は廃れ」
「武士よりも犬が天下を取っておる」

浅野内匠頭
「大老殿・・」
「御犬を批判する事は危険ですぞ・・」

井伊 直興
「んんゥ」
「各地で飢饉が起こっておるのに
幕府は何も出来ん」
「百姓一揆が起こるかもしれんのに
藩士は困窮しておる」
「これからが心配じゃ」
「火事も頻繁に起こっておる」
「其方も大変じゃが
頑張って欲しい」

浅野内匠頭
「はい」
「火消し大名として」
「火消し名人の名を轟かせ」
「武闘派としての赤穂を
世間に知らしめとう御座います」

井伊 直興
「んんゥ」
「しかし、本所は良い場所じゃと思うたが
神田橋近辺は忙しいぞ」
「何故、斯様な難所を望まれる・・」

浅野内匠頭
「それは・・」
「吉良邸を監視するには
絶好の場所で御座る」

井伊 直興
「吉良邸を監視?」

浅野内匠頭
「赤穂藩士の中に、吉良を仇として狙っておる者がおります」
「吉良の隙を狙うに
絶好の場所が神田橋で御座る」

井伊 直興
「吉良を仇に・・」

浅野内匠頭
「吉良が、生類憐みの令を利用して
悪事を働いている事は明らか」
「大老殿も難儀していると聞いております」

井伊 直興
「んんゥ」
「吉良だけではない」
「儂は、飾り物の大老じゃ」
「権限は、側用人が握り
吉良は指南役を振りかざし
好き勝手に決まり事を作り
難癖を付けておる」
「敵対すれば
狂犬を襲わせる」
「儂は、猪狩りを咎められ
あわや失脚の憂き目にもあった」

浅野内匠頭
「吉良は、排除しなければなりません」

井伊 直興
「左様・・」

          
           赤穂事件 陰湿な閑職誘導



酒井 忠挙 (溜間詰 酒井忠清の長男)
「老中殿は
「心が清く、私欲なく
私心を克服して、礼節を守る仁徳をもつとの
評判に御座います」

戸田 忠昌 (老中)
「おおォー」
「儂は、左様な良き評価を受けておるのか!」
「やはり、仁徳は必要じゃな」

酒井 忠挙
「某、24年ぶりの役職であるため、
戸惑うことが多くあります」
「老中・阿部正武殿や側用人の柳沢吉保殿に
問い合わせをしておりますが
要領を得ないので御座います」

戸田 忠昌
「それは、当たり前じゃ」
「其方は、閑職を申し付けられておる」
「暇つぶしの不要な人材なのじゃ」

酒井 忠挙
「しかし、某の元にも
色々と相談や勧誘が御座います」
「それらの苦情や 召請 に対処致しとう御座る」

戸田 忠昌
「聞き捨てならんな!」
「其方は、まだ謹慎が足らんようじゃな」
「其方は、何もせず、暇を潰してればよい」
「何もするな!」

酒井 忠挙
「では、老中殿が代わりに執り行って下さいませ」

戸田 忠昌
「儂は、忙しいのだ!」
「なのな、
越後領地が隠居した大政参与(稲葉正則)の息子の物になったから
稲葉の領地が空いたのじゃ
じゃからな、空いた小田原藩に大久保忠朝が入った
でな、今度は佐倉藩が空っぽになったから
儂が、佐倉藩を貰い受けたのじゃ」
「最近、高滝藩が天領地化されるとの噂があってな
儂は、廃藩となった高滝も貰い受けようとして
工作しておる」
「儂は、忙しいのじゃ!」

酒井 忠挙
「いえいえ」
「左様な事では御座いません」
「今、東北では天候不順で
飢餓が蔓延しております」
「幕府の援助を求めております
資金援助なり、備蓄米の放出なり
考慮しては貰えませんか?」

戸田 忠昌
「馬鹿を申すな!」
「左様な事は、百も承知である」
「儂を愚弄するつもりか!」

酒井 忠挙
「いえいえ」
「実際に、困窮が広がっておりますので
幕府としては、対策を立てねば為らぬと思いまして・・」

戸田 忠昌
「其方は、知らんのか!」
「もう、対策は立てておる」
「あのな、
儂が佐倉藩に移ったから岩槻藩が空地になった
だからな、そこへ側用人の
松平忠周が入ったのじゃぞ!」

酒井 忠挙
「えッ」
「あッ あのォ 何の事で・・」
「某は、幕府の援助の事を聞いております」

戸田 忠昌
「儂は、馬鹿では無いぞ!」
「左様な事は、百も承知じゃ!」
「あのな、
小出じゃ
但馬国出石藩小出がな無嗣断絶との噂がある」
「側用人の松平忠周を
但馬国出石藩に回せば
またまた岩槻藩が空地になる
其処に誰が入るのか
儂はな、これが今一番の関心事なのじゃ!」

酒井 忠挙
「んんゥ」
「老中佐倉殿は、
話をはぐらかせておられるのか?」

戸田 忠昌
「馬鹿を申すな!」
「儂は、何も変な事は申しておらんぞ!」
「其方は、気に為らんのか!」
「領地がころころと入れ替わる」
「誰かが、追われ
誰かが組み込まれる」
「追われたものは困窮し、
拾われた者は、安堵する」
「其方は、閉職じゃ」
「何もせんでも安泰じゃぞ」
「要らぬ心配をするな!」

酒井 忠挙
「しかし・・」
「幕府は、何もしないので御座いますか?」

戸田 忠昌
「やっておるぞ」
「実に、良くやっておる」
「実はな、今度は
松平光長殿の養嫡男の領地を探しておる
光長殿は未だ監視されておる存在であるがな
家柄もある
養子の嫡男に
城付きの領地を授けたいとの話がある
しかし、これには工作が必用じゃぞ」
「如何なる企みか
なァ
其方も興味があるじゃろ」

酒井 忠挙
「・・・」
「光長様は復権なされた
もう、監視は解いても宜いのかと・・」

戸田 忠昌
「いやいや」
「光長殿は駄目じゃぞ」
「我らは、厳しく監視する」
「光長殿を自由にしては為らん」

酒井 忠挙
「・・・・」

戸田 忠昌
「他に何か御座いますかな?」






        赤穂事件 元禄の大火



浅野内匠頭
「今回の大火は江戸城に迫る勢いであったが
其方の奮闘で延焼を免れた」
「大活躍であったぞ!」

原 元辰
「ちと、早く鎮火したなと思って残念ですぞ」

浅野内匠頭
「江戸城が火災から免れたのじゃ
大手柄ではないか!」

原 元辰
「ぐるりと火が回り
吉良邸の近くまで延焼すれば
吉良邸を破壊出来た」

浅野内匠頭
「お主は、破壊足りぬようじゃな」
「吉良邸に押し入ろうとして
拒まれたか?」

原 元辰
「我らが吉良邸を守ったようで
気分が悪いぞ!」



出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
元禄10年(1697年)旧暦10月17日に発生した、大塚の善心寺を火元とする火災、武家屋敷363を焼失。

浅野内匠頭
「今回の大火は
大塚の善心寺を火元として
北風に煽られ
小日向から牛込に燃え移り
多くの旗本や御家人屋敷を燃えつくした
大縄地の屋敷の立ち入りが許され
破壊しつくしたから
吉良邸は救われたのじゃな」

原 元辰
「もし、我らの火消しが叶わねば
吉良邸に火が及んでいた筈
我らが吉良邸を救ったのじゃ!」

浅野内匠頭
「確かに」
「皮肉な結果となったな」

原 元辰
「儂は吉良邸に押し入ろうとしたが
奴らは、火消しを拒んだ」

浅野内匠頭
「それには、無理があるぞ」
「火の手は、江戸城の反対側じゃ」

原 元辰
「もしも、こちら側だとして
奴らは如何する?」

浅野内匠頭
「当然、火消しを拒む事は出来ん」
「吉良邸を思う存分
破壊すればよい」

原 元辰
「むむむゥ」
「今回の無念
何時の日か晴らしてやるぞ」

浅野内匠頭
「おいおい」
「変な気を起こすでは無いぞ!」
「今回は、江戸城を救った英雄として
我ら赤穂の名が高まったのじゃ」
「火消し名人として
名を馳せたのじゃ!」

原 元辰
「次に大火があって
吉良が拒んだら如何しますか?」

浅野内匠頭
「延焼を防ぐ為じゃ
拒んでも構わぬ
強制的に立ち入り
屋敷を破壊すればよい」

原 元辰
「吉良の抵抗は激しい」
「我らと争っている間に
火の手が回り、手遅れになる」
「その場合は、如何致しますか?」

浅野内匠頭
「それは、その時に考えればよい」

          
          赤穂事件 善人の良将



戸田忠昌(老中)
「我ら老中三人組は
善人の良将と呼ばれておる」
「この評判に恥じぬよう
万全の態勢で臨まねばなりませんぞ!」

阿部 正武(老中)
「未だ我が屋敷には
多くの捨て子がいる」
「儂は、捨て子の世話などしたくないぞ」

大久保忠朝(老中首座)
「今回の大火で
捨て子も増えるな・・」

柳沢 吉保
「大火は江戸城の手前で鎮火出来た」
「城が燃えんでよかったぞ!」

戸田忠昌
「今回の大火鎮火は、赤穂の働きが大きいと思う」
「それ故、赤穂の主張を無視出来ん!」
「そこで、側用人の柳沢殿じゃが、
吉良殿に話を付けて頂けませんか?」

阿部 正武
「赤穂など後で良い」
「捨て子を何とかしてくれ!」

大久保忠朝
「水戸の隠居が、松平光長嫡男に
城付きの領地を授けよとの横槍が御座る」
「柳沢殿が対処して欲しい」

柳沢 吉保
「色々、あるのォ」
「赤穂は何をいってる?」

戸田忠昌
「赤穂は今回の大火で多くの旗本屋敷を取り壊し延焼を防ぎました」
「ただ、吉良屋敷への立ち入りは拒まれ
火消しに支障があったとの報告が御座った」
「今後の事もあるので
吉良殿に話を付けて頂きたいとの事で御座る」

柳沢 吉保
「吉良殿は上様の贔屓にある」
「よって、左様な報告は出来ぬ!」

阿部 正武
「捨て子を禁止しても
誰かが捨て子の面倒を見る必要が御座る」
「某は、もう限界で御座る」

柳沢 吉保
「上様は、生類憐みの令で対処なされた」
「引き続き、捨て子は其方が面倒を見なさい」

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
捨て子禁止令。「捨て子はいよいよ御禁制である。養育できなければ申し出なさい」
7歳までの子供の届け出制。「子供の出生、死亡、奉公、養子、引越、名主方の帳面につけ置くこと」

大久保忠朝
「水戸の隠居が光長嫡子に城付きの領地を与えよと申しておる!」
「如何為さる!」

柳沢 吉保
「光長に領地を与えれば
誰かが領地を奪われるのじゃぞ」
「其方の佐倉藩を与えるか?」

大久保忠朝
「馬鹿な!」
「嫌で御座る!」

戸田忠昌
「某に、妙案が御座る」
「日頃より生類憐みの令を快く思わぬ
森 衆利 を陥れましょう」

阿部 正武
「森 衆利殿は
武蔵国多摩郡中野村の犬小屋の普請総奉行として
その建設に当たった」
「積極的に貢献しておるぞ」

大久保忠朝
「いやいや」
「犬小屋建設で
大きな負債を持った事で
不平を言っておるそうじゃ」

柳沢 吉保
「んんゥ」
「仕方があるまいな」
「津山藩 森 衆利を改易させる」
「罠は、其方達で考えろ」

戸田忠昌
「では、
浪人を数名手配して下さい」

阿部 正武
「浪人を使うのは問題が御座る」

大久保忠朝
「左様」

柳沢 吉保
「如何なさいますかな?」

戸田忠昌
「浪人は、悪党じゃ」
「悪党がやらねば
善人が悪事を働かねば為らん」
「悪事は、悪党がすればよい」

阿部 正武
「左様か?」

大久保忠朝
「お主も悪党になるぞ」

柳沢 吉保
「では、この件は
老中にお任せ致す」


          赤穂事件 西山荘に隠居



徳川光圀
「光長(松平光長)殿嫡男の大名知行の成り行きは
芳しくないな」

安積澹泊
「上野国近辺は無理で御座います」
「空地には側用人の松平 忠周が入りましたが
直ぐに但馬国出石への転封となりました」
「そして、直ぐにその空地には小笠原長重が
転封しております」

徳川光圀
「大名知行は側用人や
犬大名ばかりじゃな・・」
「光長殿が復権しなければ
井伊大老も動きにくいぞ」
「もっと、幕府に催促するのじゃ!」

安積澹泊
「承知しております」
「ただ、不穏な動きが御座います」
「光長殿を引き立てる代償として
地方大名の改易を画策しているようで御座います」

徳川光圀
「柳沢じゃな!」

安積澹泊
「はい」
「只、柳沢は大久保忠朝を佐倉藩として
認識しているようで、
実際は、小田原藩に転封でありますから
大名知行に権限を行使していないようです」

徳川光圀
「んんゥ」
「誰の仕業か?」

安積澹泊
「側用人や犬大名の大名知行は
全て将軍の意向に御座います」
「空地への転封は
老中が相談して割り振りをしているようで御座います」

徳川光圀
「地方大名を改易させて
空地とする策略があるのか?」

安積澹泊
「空地がなければ
光長様嫡男に領地は御座いません」

徳川光圀
「左様な事は無いぞ!」
「廃藩地や天領が有る筈」
「越後高田藩もある」

安積澹泊
「越後高田藩には
稲葉正則の嫡子が転封しております」

徳川光圀
「兎に角、
側用人や犬大名ばかりを引き立てるのは宜しくない」
「厳重に抗議するのじゃ!」

安積澹泊
「承知しました」

徳川光圀
「それから、各地の天候不順で
飢餓が起きておる」
「水戸領内は如何じゃ!」

安積澹泊
「水戸は特産品が御座います」
「また、幕府からの多額の援助も御座います」
「飢餓は御座いません」

徳川光圀
「幕府の借款か!」

安積澹泊
「はい」
「多額の援助が御座います」

徳川光圀
「幕府からの借款に頼ってはならんぞ」
「節約せねば為らん」

安積澹泊
「はい」
「承知しております」
「天候不順での不作が原因で御座いますから
来季からは立て直しが出来るものと・・」

徳川光圀
「幕府からの資金援助が原因で
伊達騒動は起きた」
「越後騒動も幕府からの借款が
問題になった」
「同じ過ちを犯しては為らんぞ!」

安積澹泊
「はい」
「承知しております」

徳川光圀
「ところで、助さんは如何しておる?」
「最近、顔を見ぬな・・」

安積澹泊
「史館総裁を辞任して
屋敷で静養しております」

徳川光圀
「まだ、大酒を飲んでおるのか?」

安積澹泊
「はい、酒浸りで御座います」

徳川光圀
「体を壊しておるのではないのか?」

安積澹泊
「助さんはずいぶん前から
もう長くはないなどと申しておりましたが
某と会えば元気に振る舞っております」
「酒の飲み過ぎだと・・」

徳川光圀
「飢餓が起きれば
酒も飲めんぞ」

安積澹泊
「今から、
粗食に慣れておきませんと
大酒も、大食も体には良くありません」

徳川光圀
「左様」


           赤穂事件 光長の大名知行



戸田 忠昌(老中)
「我らは善人の良将」
「評判に恥じぬように政務を執り行う」

大久保忠朝(老中)
「式典は、吉良が取り仕切り
上野国領地は側用人に牛耳られようとしている」
「我らは、柳沢の許しがなければ
何も出来ん」

阿部正武(老中)
「捨て子を
儂に押し付けるのは無責任じゃ」
「皆が協力して養って欲しい」

戸田 忠昌
「捨て子の保護は阿部家の伝統じゃ」
「捨て子も成長すれば
良き働き手となる」
「代々、左様に、阿部家はして来た筈」
「今まで通りで宜しい」

大久保忠朝
「武蔵忍(阿部正武)殿は10万石の大領」
「上様も、其方の働きに感謝しておる筈」
「不平は御控え下さいませ」

阿部正武
「しかし」
「捨て子の引き取り手がありません」
「最近は、やたらと捨て子が増えて往生しておる」」
「もう限界で御座る」

戸田 忠昌
「もう、捨て子の話はよせ」
「それよりも、
光長殿の養嫡子(松平信富)の知行を得る事じゃぞ」
「光圀殿から再三の要請じゃ」

大久保忠朝
「んんゥ」
「井伊大老と光長殿、そして光圀殿が組めば
また、一波乱ありそうじゃな」

阿部正武
「浪人を使って、工作をすると申しておったが」
「如何為った?」

戸田 忠昌
「んんゥ」
「計画は順調に進んでおる」
「先ずは、生類憐れみの令により建設された武蔵国多摩郡中野村
の犬小屋を牢人に襲わせた」

大久保忠朝
「犬を殺したのか!」

阿部正武
「おいおい」
「武蔵国で変な事をされては困るぞ」
「問題が起きたら、其方が責任を取れ!」

戸田 忠昌
「だから、浪人を使ったのじゃ」
「森長成が罠に嵌った」

大久保忠朝
「森長成は発狂して死んだ・・」

阿部正武
「何故?」

戸田 忠昌
「浪人が犬小屋の犬を殺したからじゃ!」

大久保忠朝
「その責任を取って
森美作国津山藩は改易と・・」

阿部正武
「浪人の仕業ではないのか?」

戸田 忠昌
「森長成が不平を言って
発狂した罪じゃ」
「桑名藩松平定重が証人となる」

大久保忠朝
「左様に奪った領地を、光長殿に知行するのですか?」

阿部正武
「怨念がありますぞ」

戸田 忠昌
「領地は奪わねば得られる筈もあるまい」
「何処に新しい領地が勝手に生まれる訳でもない」
「与える為には、奪う必要が御座る」

大久保忠朝
「んんゥ」
「儂は、知らんぞ!」
「其方が、恨みを買え!」

阿部正武
「其方、長生き出来んぞ!」

戸田 忠昌
「仕方がないのじゃ」
「光圀殿が悪いのじゃ」
「儂ばかり悪者呼ばわりは為らんぞ」
「我らは、三人で善人の良将じゃぞ」
「悪いのは、光圀殿じゃ」
「領地は光長殿が奪ったのじゃ」
「儂らは、善人じゃぞ!」

大久保忠朝
「んんゥ」
「兎に角、このことは内緒じゃぞ」
「其方が、浪人を使った事が発覚すれば
我らも同罪と為り兼ねん」

阿部正武
「とばっちりは御免じゃ」

戸田 忠昌
「全ての祟りは儂が引き受ける」
「心配するな!」

大久保忠朝
「恐ろしいぞ」

阿部正武
「怖い、怖い」


出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
長成は27歳で死去した。将軍拝謁のための道中に同年7月11日、伊勢国桑名付近の縄生村に滞在中に発病した上、幕政を批判して発狂した。発狂の理由は、中野村の犬小屋で浪人たちがその収容した犬たちを沢山殺す事件を起こし、その管理を怠ったとして家臣の若林平内が切腹したことに対し、なぜこのような法令のために死なねばならぬのかという疑問があったからとされる。家臣は酒の席でのことと弁明をしたが、桑名藩より詳細な報告が幕府に入り、裁定により8月2日に改易となった。



           赤穂事件 光長の大名知行



戸田 忠昌(老中)
「我らは善人の良将」
「評判に恥じぬように政務を執り行う」

大久保忠朝(老中)
「式典は、吉良が取り仕切り
上野国領地は側用人に牛耳られようとしている」
「我らは、柳沢の許しがなければ
何も出来ん」

阿部正武(老中)
「捨て子を
儂に押し付けるのは無責任じゃ」
「皆が協力して養って欲しい」

戸田 忠昌
「捨て子の保護は阿部家の伝統じゃ」
「捨て子も成長すれば
良き働き手となる」
「代々、左様に、阿部家はして来た筈」
「今まで通りで宜しい」

大久保忠朝
「武蔵忍(阿部正武)殿は10万石の大領」
「上様も、其方の働きに感謝しておる筈」
「不平は御控え下さいませ」

阿部正武
「しかし」
「捨て子の引き取り手がありません」
「最近は、やたらと捨て子が増えて往生しておる」」
「もう限界で御座る」

戸田 忠昌
「もう、捨て子の話はよせ」
「それよりも、
光長殿の養嫡子(松平信富)の知行を得る事じゃぞ」
「光圀殿から再三の要請じゃ」

大久保忠朝
「んんゥ」
「井伊大老と光長殿、そして光圀殿が組めば
また、一波乱ありそうじゃな」

阿部正武
「浪人を使って、工作をすると申しておったが」
「如何為った?」

戸田 忠昌
「んんゥ」
「計画は順調に進んでおる」
「先ずは、生類憐れみの令により建設された武蔵国多摩郡中野村
の犬小屋を牢人に襲わせた」

大久保忠朝
「犬を殺したのか!」

阿部正武
「おいおい」
「武蔵国で変な事をされては困るぞ」
「問題が起きたら、其方が責任を取れ!」

戸田 忠昌
「だから、浪人を使ったのじゃ」
「森長成が罠に嵌った」

大久保忠朝
「森長成は発狂して死んだ・・」

阿部正武
「何故?」

戸田 忠昌
「浪人が犬小屋の犬を殺したからじゃ!」

大久保忠朝
「その責任を取って
森美作国津山藩は改易と・・」

阿部正武
「浪人の仕業ではないのか?」

戸田 忠昌
「森長成が不平を言って
発狂した罪じゃ」
「桑名藩松平定重が証人となる」

大久保忠朝
「左様に奪った領地を、光長殿に知行するのですか?」

阿部正武
「怨念がありますぞ」

戸田 忠昌
「領地は奪わねば得られる筈もあるまい」
「何処に新しい領地が勝手に生まれる訳でもない」
「与える為には、奪う必要が御座る」

大久保忠朝
「んんゥ」
「儂は、知らんぞ!」
「其方が、恨みを買え!」

阿部正武
「其方、長生き出来んぞ!」

戸田 忠昌
「仕方がないのじゃ」
「光圀殿が悪いのじゃ」
「儂ばかり悪者呼ばわりは為らんぞ」
「我らは、三人で善人の良将じゃぞ」
「悪いのは、光圀殿じゃ」
「領地は光長殿が奪ったのじゃ」
「儂らは、善人じゃぞ!」

大久保忠朝
「んんゥ」
「兎に角、このことは内緒じゃぞ」
「其方が、浪人を使った事が発覚すれば
我らも同罪と為り兼ねん」

阿部正武
「とばっちりは御免じゃ」

戸田 忠昌
「全ての祟りは儂が引き受ける」
「心配するな!」

大久保忠朝
「恐ろしいぞ」

阿部正武
「怖い、怖い」


出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
長成は27歳で死去した。将軍拝謁のための道中に同年7月11日、伊勢国桑名付近の縄生村に滞在中に発病した上、幕政を批判して発狂した。発狂の理由は、中野村の犬小屋で浪人たちがその収容した犬たちを沢山殺す事件を起こし、その管理を怠ったとして家臣の若林平内が切腹したことに対し、なぜこのような法令のために死なねばならぬのかという疑問があったからとされる。家臣は酒の席でのことと弁明をしたが、桑名藩より詳細な報告が幕府に入り、裁定により8月2日に改易となった。


            赤穂事件 偽善政治



 地方の各地で飢饉が発生していたが、幕府は見て見ぬふりを貫き、虐げられた農民の一揆は厳しく制裁され状況は悪化の一途をたどっていた。そんなおり、上野寛永寺の根本中堂・文殊楼・仁王門の築盛と式典に多額の資金が投入され法要の準備が行われた。
 
 吉良上野介は高家指南役として、この盛大な法要式典を厳粛に執り行うべく万全の準備をして
東山天皇に願っていた「瑠璃殿」の宸筆が彫り込まれた勅額が京都より到着するのを、今か今かと待ち構えていた。しかし、肝心の勅額はいつまで経っても届くことはなく、法要の予定日だけが、どんどんと近づいていたのだった。

吉良上野介
「薬師如来様お悦び下さい。寛永寺の根本中堂が完成しますぞ!」
「上野介は、この式典を見事に成し遂げて
上野国を手に入れる事になります」
「根本中堂に祭られし薬師如来に於かれましては
我らを極楽に導いき災厄なく健康に暮らせますように
家内安全の御利益を下さいませ」

薬師如来
「わたしを呼んだのは、誰じゃな」
「わたしに立派な御殿は不要じゃぞ」
「わたしを閉じ込めておきたいのか!」

ーーーー上野介には薬師如来の声は聞こえないーーーー

吉良上野介
「薬師如来、勅額が京都より到着しましたら
以下の御利益をお与え下さい」

「全ての疫病を消し去り
全ての貧困を消し去り
全ての災難を消し去り
全ての者に衣服をさずけ
全ての者に住まいをさずけ
全ての者を極楽浄土に御導き下さい」

薬師如来
「大袈裟な式典に莫大な資金を投入して
飢饉に喘ぎ自暴自棄になっている弱き者を見捨て
安楽の念願とは恐れを知らぬ身の程知らずであるぞ」

 ーーーー上野介には薬師如来の声は聞こえないーーーー

吉良上野介
「上様は
薬師如来を祭り、
全ての災厄を取り払う事に絶対なる自信を持っておられる」
「薬師如来は上様の期待に応え
上様の健勝を支え
上様の貢献に対しての褒美として
上様の絶対権力と共に
上様と上野介に不老不死をお与え下さいませ」

薬師如来
「安堵のおり、支配者は不老不死を願う」
「しかし、病のおり、不安のもとで
不老不死を願う者はおらんぞ!」

 ーーーー上野介には薬師如来の声は聞こえないーーーー

吉良上野介
「まっ」
「薬師如来など如何でもよいわ」
「アホらしい・・」

「あァ」
「薬師如来に天罰を受けては敵わん」
「いやいや」
「御利益、御利益」

薬師如来
「わたしは、天罰など与えた事はないぞ」
「天罰は、己の罪を償う手段」
「誰も逃れる事は出来ん」

 ーーーー上野介には薬師如来の声は聞こえないーーーー
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