「易」と映画と「名文鑑賞」

タイトルの通りです。

名文鑑賞 一年有半 兆民中江篤介 1

2015年10月28日 12時16分15秒 | 漢文漢籍名文鑑賞
名文鑑賞 一年有半 兆民中江篤介 1
一年有半 p28 「この故に暗殺はその是非を論ずべきにあらずして、ただその国社会において果たして暗殺の必要を生じたること、これ甚(だ)哀しむべきなり。人あるいは勢に乗じて鴟張して忌憚する所なし。その悪を恣にすること明らかなるも、法律の公においていまだ把捉すべからず、彼や自ら恃みて毫も顧みず、是において義に激する俠雄の徒起ちて天下のためにこれを刺す、これ洵に勢やむをえざるなり。伊庭の事、けだしかく信じたるのみ。此を以て更に一歩を進めてこれを論ぜば、文運大に開け法律用なくして、道徳独り力を逞しくして、乃ち一国人々皆君子なる暁は知らず、いやしくも社会の制裁力微弱なる時代にありては、悪を懲らし禍を塞ぐにおいて、暗殺けだし必要欠くべからずというべき耶。」兆民中江篤介

山本夏彦翁のご紹介?で四書五経から始まり漢文漢籍を読むことを少しく愉しむようになってはや十余年。
枕元で寝る前に、深夜に目覚めて二度寝の前に、最近では三浦しをんの在庫が切れたので回帰して、再読再々読。
一読目で付箋を貼った個所を特に味わうと、心を揺さぶられるような感覚を得る事が出来るので、最早中毒。
夏彦翁の言うように、言っていることの中身ではなく(もちろん中身も重要ですが)その文章を味わえということがようやく理解できてきたような。
上記の文章を読んで、気の早い(短い)人は、暗殺礼賛文となるのでしょうが、再読、音読、筆写してみると・・・名文檄文名調子であることがわかるでしょう。惜しむらくは・・・横書きでは興を削がれる・・・。

一年有半と並行して孫子再読。おもしろくてやめられないとまらないエビセン。
大好きな「孟子」と同じで、やはり金谷治先生の文章は、これも中毒になる。東北大で聞いてみたかった・・・。40年前はオベンキョウしない学生だったので愚痴にも値しませんが・・・。

前者は絶版。後者はちゃんと売ってます。前者も中古市場にはありますが、高くなってます。なさけない・・・。
それにしても、最近のホンヤさんは、岩波文庫を並べているところが少なくなったような…

漢文漢籍の素養が無くなっていくと、どこぞのおくにのように漢字を捨てたり簡略化したりしていって、国を誤ることになるのだろうなぁとおもえて仕方がありません。
「祖国とは国語である」(シオラン)のになぁ・・・。

身体髪膚、之を父母に受く。敢えて毀傷せざるは、孝の始めなり。身を立て道を行い、名を後世に揚げ、以って父母を顕わすは、孝の終わりなり。(孝経)この文章、なんて良いリズムなんでせう。

公よりも私の方がクソ忙しくて、忸怩たるものがありますが、そんな時ほど、こういう無駄?な、無為?な時間を過ごしたくなるのは、丁度中間や期末試験前ほど貸本漫画の冊数を増やした時のようで、未熟な事、進歩の無い事極まりなし・・・ぁぁ。

「人間のたった一つのつとめは、生きることであるから、そのつとめをはたせ。」竹内浩三

こういう無駄なヒトリゴトには決して近寄らないでください。年寄りの世迷言のお相手は不要ですので通り過ぎてください。

筆者拝

2014/11/19作成

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