arata-tokyo-jp's blog(Henry Nagata)

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「幸福」と「幸運」・・2 

2004年10月22日 13時48分16秒 | エッセイ
さて、昨日の続きです・・・

世の中には、「生きているだけで幸せな事なのだから、それだけで感謝・満足せよ」
というような宗教観があると思います。
これは若い人には理解は難しいと思いますが、ある程度年を取ってくると分かってくる時があるのです。

私もそうですが、若い時にこの言葉を聞いた時には、「何て消極的な人生観だろう、青年よ大志を抱け、と言うのとは全く逆で、随分夢のない考え方だ」と思っていました。
「生きているだけで幸せなのだから、感謝せよ」と言われても、感謝など出来なかったのですが、四十代になった頃からその意味が少しづつ分かって来ました。

例えば丸い地球をリンゴに例えると、空気のある部分というのは、リンゴの皮の部分に過ぎない・・・などと科学者は言います。
巨大な宇宙の中で、人間が生きていられる空気の層は非常に薄く、ほとんど奇跡的な事であって、生きているのが不思議なくらいです。

また人生百歳まで生きられる人もあれば、若くして亡くなる人もいます。
自分が何歳まで生きられるのかは、自分でも分からないのです。
明日には交通事故で死んでしまうかも知れません。

それに地球上では、戦争の火が消える事はほとんどありませんが、私たちは戦後の日本に生まれて、平和な時期に生きています。
いわゆる「戦争を知らない子供達」です。

また生きている時間は短くて、夏の虫が冬を知らないように、私たちは宇宙のほんの一時期しか知らずに死んで行くのです。
そして死んでしまえば、数十年も経てば自分が生きていた事さえ世の中から忘れ去られてしまうのです。

「人生が短い事」が分かって来ると、「今日一日生きている」という事の価値の大きさも、少しは理解されてくると思います。
まあ、そういう理屈は抜きにしても「生きているだけで幸せである」という宗教観は少しは分かる時があるのです。

ただ私は個人的には、その宗教観(ダルマ?)だけでは生きて行けません。
快楽(カーマ?)も大切だと考えています。

私が今までで得た最高の快楽は、自分にとって全く新しい音楽を作曲した時で、この時は嬉しさのあまり、部屋中をぐるぐると回って喜びました。
じっとしてはいられませんでした。
自分は天才じゃないかって・・・。
でも今まででたった一回だけですが・・・。
中国の古い詩人で、妙案が浮かんで、その嬉しさのあまり部屋中をぐるぐると回った、という話を聞きましたが、それと全く同じです。
ただ天才的な人というのは、それを何度も繰り返し経験しているのだと思います。
(本来カーマというのは、男女間の快楽の事をいうのですが・・・)

また友人(アルタ?)も大切です。
良く子供の頃に「たくさんの友だちをつくりなさい」などと親から言われますが、本当に友人というのは、たくさん出来るものなのでしょうか?

小学校、中学、高校、大学、社会人と進んで来た人たちには、数百人の知り合いがいるはずですが、いざ何でも話せる友人となると、多分十人もいないでしょう。
もしいたら、その人はかなり多趣味な人ではないかと思います。
身近な人たちを見ても、友人は3、4人もいれば良い方だと思います。

人生まずお爺さん、お婆さんが亡くなり、次に親戚が亡くなり親が亡くなり、年上の知人が亡くなり兄弟が亡くなり、年下の知人が亡くなる頃には、もうそろそろ今度は自分の番かな?などと考えるようになるようです。
最後は一人ですが、こんな人生に友人がいないのはとても寂しいものです。

二十代でグループで付き合っていた友人たちも、三十代、四十代になると皆個性がはっきり出て来て、一人減り、二人減りついには皆バラバラになって、それぞれの世界に行ってしまいます。
ですから「十年来の友人」だからとか、「二十年来の友人」だからといっても安心は出来ないのです。
ですから友人を減らさないためには、自分がいつまでも新しいものに興味を持ち、新しい仕事や趣味を取り入れて行かなければならないと思います。

ですから私は個人的には、「ただ生きているだけで幸せ・感謝」という宗教観(ダルマ)だけではなく、友人もお金(アルタ)も大切だし、快楽(カーマ)も大切だと考えています。

人生「幸運」は中々やって来ませんし、やって来てもそれを逃してしまいがちです。
もし「幸運」がやって来た時には、それを逃さないように、それ以前に勉強や技術を習得して置くのが良いのです。
また「不運」がやって来た時には、それを肥やしにしてバネにして、後々その体験を生かして幸福を勝ち取るような気持でいれば良いのだと思います。
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