投資家の目線

投資家の目線864(ワクチン接種義務化と労働力不足)

 米国ニューヨーク市でワクチン接種義務を順守しなかった職員1430人が解雇された(「NY市、接種拒否の職員1430人解雇 全米最大規模か」 2022/2/15 日本経済新聞WEB版)。米国の連邦最高裁では企業でのワクチン接種義務を差し止める判決や(「新型コロナ: 米連邦最高裁、企業でのワクチン接種義務を差し止め」 2022/1/14 日本経済新聞WEB版)、連邦地方裁判所では連邦政府職員などへの接種義務を認めない判決(「米政府職員のワクチン義務化、連邦地裁が認めず」 2022/1/22 ダウ・ジョーンズ配信)も出ているのにも関わらず、である。

 カナダと米国を結ぶ橋を封鎖したワクチン接種義務に抗議する車両デモは排除されたが(「新型コロナ: 米・カナダ国境の橋が再開 20億ドルの物流に影響か」 2022/2/14 日本経済新聞WEB版)、それでトラックドライバーがワクチンを接種するだろうか?ワクチン接種義務などに抗議する車両デモは世界各地で発生している(「新型コロナ: 世界でコロナ対策反対の車両デモ フランスで1000台以上」 2022/2/15 日本経済新聞WEB版)。ワクチン接種には副反応等のリスクがある。そのようなワクチンの接種を義務化していいのだろうか?ワクチン接種義務化が労働力不足を生み、供給網をひっ迫させるのではないだろうか?

 「主要10か国・地域をみると、輸送量の6割程度を占める中国発が11%増と全体をけん引した。(中略)一方、日本発は3%減と5カ月連続の前年割れで、米国の旺盛な消費を背景とした輸送需要の増加を取り込めていない。輸送量に占めるシェアも最下位が続いている。物流の混乱が続く中で日本に寄港する船が限られる半面、韓国経由での輸送が増えていることなども背景にあるようだ。実際、韓国発は2%増となっている」(「海上コンテナ輸送最多、アジア発米国向け 1月単月、7%増」 2022/2/17 日本経済新聞朝刊)と報じられ、『「日本に船を寄せてしまうと時間とコストの無駄だという意見がある」と、ある船会社の担当者は明かす。(中略)実際に船のスケジュールの乱れから、日本への寄港をスキップして次の港に向かってしまうケースもあるという」(『価格は語る 米発中国向けコンテナ船 荷動き減も運賃最高 「空箱」優先、輸送にひずみ』 2021/12/9 日本経済新聞朝刊)という事態が顕在化している。対米輸出をメキシコ経由にする動きがあるが(「新型コロナ: 対米輸出、メキシコ経由に変更 日通は輸送量2倍に」 2022/2/19 日本経済新聞WEB版)、米最大のコンテナ港、ロサンゼルスとロングビーチの輸送量減少を補うことができるのだろうか?

 先週は、自動車部品メーカーのマレリの経営危機が報じられた。「自動車部品大手のマレリ(旧カルソニックカンセイ)は日産自動車や取引金融機関に在庫の買い取りや返済猶予などの支援を要請した。世界的な供給網の混乱で資金繰りが悪化しており、2021年12月期は4期連続で最終赤字となったもようだ。」(「マレリ、日産・取引銀行に支援要請 4期連続赤字の公算」 2022/2/15 日本経済新聞WEB版)と、供給網の混乱は生産に大きな悪影響を及ぼしている。物流の混乱は日本企業、ひいては日本の景気に重大な影響を及ぼしつつある。
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