買収防衛の手段として、ESOPが注目されているようだ。2007年5月24日の日本経済新聞では米国版従業員持株制度とも説明されているが、「自社株運用を中心とした退職年金制度」と考えた方がよいだろう。ESOPは従業員退職所得保障法(Employee Retirement Income Security Act:ERISA)の枠内にあるためだ。
また、「自社株運用を中心」とするとしたのは、米国において、企業のESOP(運営責任者は同社の役員)が同社の経営悪化を知り得ていたにも関わらず、自社株を購入し続けたことに対し、ERISAのプルーデンス義務と忠実義務の違反に問われたことがあるからである。ESOPであっても、ERISAの精神に基づいてプルーデント(prudent)に(慎重に、もしくは抜け目なく)運用しなければならないということだ。そもそも、買収防衛のために従業員の年金制度を使うこと自体、本来の目的からは外れている。
米国のエンロン事件では、自社株に投資していた同社の退職者は多額の損失を被ったが、現役従業員も企業が倒産すれば職と将来受け取るはずの財産を同時に失うことになる。
「ご利用はよく考えてから。」
(参考文献)
「アメリカ合衆国における自己株報酬・年金の法と税務」㈱税務経理協会 黒田敦子著
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先週は、農林水産大臣や緑資源機構の前身公団の元理事が亡くなられた。自殺と伝えられている。森林所有者は、昔の地方豪族も多い。林業関係は影響が大きそうだ。
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