第2巻の目次を紹介する。
プロローグ 坂口三千代「クラクラ日記」(文芸春秋)Ⅰ
第1話 アントニイ・バージェス「時計じかけのオレンジ」(ハヤカワ文庫NV)
第2話 福田定一「名言随筆 サラリーマン」(六月社)
第3話 足塚不二雄「UTOPIA 最後の世界大戦」(鶴書房)
エピローグ 坂口三千代「クラクラ日記」(文藝春秋)・Ⅱ
参考文献(略)
初めは目次に書かれた本の紹介本かと思ってエピローグを読み始めた。
物語の舞台は、北鎌倉の古書店「ビブリア古書堂」。
語り手の店員「俺」(五浦大輔)が開店準備中、奥から店主が呼ぶ。
店主は篠川栞子(しのかわしおりこ)、店を親から継いだ20歳代半ばの女性。
彼女が整理した大量の本の束を、五浦が店先に運び値札を貼るなどする。
その彼の眼についたのが、同じ本が5冊、紐で束ねられた「クラクラ日記」。
「クラクラ日記ってどういう本ですか」
「坂口安吾の死後に、奥さんが書いた随筆です」 本にはやたら詳しい。
「クラクラって何です?」
「安吾が死んだあと、奥さんが銀座に開いたバーの名前です」
「酒飲んでクラクラというわけですか」
「いいえ、フランス語で野雀。平凡な女の子につけるあだ名だそうです。
でも、この本、好きになれないんです。いい本だと思うけど」・・・。
へ~、そうなのか。以前読んだ筈だがまったく忘れている。
本棚から文庫本の「クラクラ日記」を出してみた。
2016年第9刷
ビブリア古書堂宣伝の腰巻もついている。ビブリア~は2013年巻刊。
クラクラの由来は、著者あとがきに書いてあった。命名は獅子文六とも。
ビブリアに戻る。
プロローグは15頁程で、「クラクラ日記」からの引用はまったく無い。
そのプロローグの末尾で五浦は呟く。
・・・俺は部屋を出て、荷物をぶつけないよう慎重に廊下を歩いていく。
5冊の「クラクラ日記」が俺の動きに合わせて軽く揺れている。
疑問が脳裏をよぎる。好きでもない同じ本をなぜ5冊も買ったのだ?・・・
目次を見るとエピローグで再び「クラクラ日記」が登場する。
なぜだ? ここで気がついた。これは2巻全体が、謎解きの物語なのだ。
篠川栞子が5冊も同じ本を持っているのはなぜ? という謎解きの・・・。
一気に読ませる本だった。
「クラクラ日記」で挟んで第1話から第3話、関係無さそうな本が並ぶ。
しかし、それらを売買する人間たちはみんな繋がっているのだ。
それ以上はネタバレになるので書かないが・・・、
最後に邦男さんに戻ってデモ動画1編。
今日の寄り道はここまで。それでは明日またお会いしましょう。
[Rosey]