はじめに
備前土の焼締陶では、ご存じの通り穴窯、のぼり窯による薪焼成と電気窯による緋襷焼成があります。今回は、電気窯により還元を掛けての緋襷焼成に挑戦します。穴窯薪焼成でも、さやを使用することで還元雰囲気の中で緋襷を作り出す裏技もあります。また、電気窯でも還元焼成をを掛けることで表情に変化や深みを加えることもできます。酸化もしくは還元による緋襷焼成を行うことが可能な焼成です。
電気窯による備前緋襷の焼成方法
➀ 焼成の問題点
焼成は、ゆっくり時間をかけて昇温するのが理想なのですが、短時間でどれほどの焼きが可能かを求めます。できれば最低48時間が求められると所説言われますが、私は、24時間焼成の経験しかありません。薪窯焼成では、44時間焼成を行いましたが、やはり、自然釉のかかり具合の違いや炎の変化で表情の違いがでて、深みがあり良い感じに焼き上がりました。
焼成に時間をかける理由には、備前土はきめが細かく耐火が弱いため亀裂も起こり安いことが挙げられます。また、ゆっくり昇温しないと、素地の焼け締まりに伴って発生するガスを外に排出できないまま内部で溜まり「ぶく」となる可能性が大きいことです。特に350℃までの湿気の発生時の換気と260℃から300℃ぐらいまでに起こり安い亀裂を避けるためには、ゆっくり昇温することが必要とされています。電気窯の場合は、安定した昇温ですからさほど心配する必要はないようです。ただ焼くということならば実際に自動設定の素焼きや本焼きパターンで焼成も無謀ですが可能です。やはり、焼きの深みや鮮明な緋だすきを追求するとなると、時間をかけた焼成は必須なのかもしれません。
備前作家 山本雄一 「備前焼の技法」によると《電気窯での焼成時間は最低で48時間、最高は72時間、緋だすきの最高温度は1215℃にしている》とのことです。また、《色を鮮やかにするためガスバーナーを下の口から入れ、300℃までと1000℃から再びガスを併用し焼きあがる30分前にガスを止める》とあります。
今回はこの実例を参考に36時間焼成に挑戦してみました。
昇温は450℃までを17時間で、それから11時間で1175℃、そして、5時間で1215℃まで、3時間キープで終了の流れです。ガス投入は、初めから300℃までは、割愛しました。何故なら、バーナーの温度がどう考えても26,5℃/hを超える高い熱量になりそうで不安を感じたからです。
バーナー投入以外は、自動設定ですから問題はありません。1000℃から弱還元で焼成を進めました。
写真の様に、土の違いでやや肌色具合が違いますが、緋襷はまずまずかかっています。掛け方をもっと工夫する必要があります。
また、表面に艶が感じられません。これは土の関係か、還元の関係か、それとも時間の掛け具合なのか藁の関係か定かでありません。
次回は、焼成時間を上げることや還元の掛け具合の変化で調子の違いを探ってみたいと思います。
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