だが、ここでも我の愛への呪いは生きていた。マクミラは、まるで我のイヤな部分だけを受け継いだかのような冷たい、だが美しい娘に成長した。ミスティラは、まるでひた隠しにしてきた我の弱い部分だけを受け継いだかのような、だがやさしい娘に成長した。
マクミラとミスティラを見ていると、自分のイヤな部分を見せつけられているようで、どうしても愛することができなった。
アストロラーベとお主は、ずっと不思議に思っていたであろう。
なぜお主たちが人間界から来た父の証である、とがった犬歯を持たぬか。
その理由は、お主たちが行方不明となったコロネウロス様以外いないと思われていた最高神プルートゥ様の息子であるからじゃ! いつもアストロラーベが帽子を目深にかぶっているのも、とがった犬歯がないことを見られぬため。骸骨顔のお主の場合は、しみじみ顔を見られることもなかったので誰にも気づかれなかった。
マクミラとミスティラは、ずっと不思議に思っていたであろう。
なぜ兄たちが無事にうまれながら、妹たちが生まれ出る時にだけ、マクミラがサラマンダーの巣の炎を引き受けて盲目にならねばならなかったのか。
その理由は、マクミラとミスティラは父が人間界から来たものであったために、完全な神の身体を持つお主たちのように炎に耐えることができなかったのじゃ! 冥界最高位の神官であるマクミラはすべてを見通しているはずじゃ。だが、愚痴一つこぼさぬマクミラに不憫さを感じながらも、この母は愛することができなかった!
最後に言っておく、スカルラーベよ。
愛はうまくいっているときには、これ以上ない幸せを与える。
だが神々でさえ、一度手に入れた愛を失えば、死体にとりすがって泣き叫ぶあわれな人間になってしまう。
我がお主に言えるのは、ひとつだけじゃ。
いつかお主にも愛を知って欲しい・・・・・・
我は、愛を呪ったために愛の女神より呪いを受けた。
もしもお主に愛する相手が見つかれば、呪いはとけるやも知れぬ)
思念を発した後、千年以上も生きたスカルラーベの記憶の中でたった一度だけローラがひしと抱きしめてくれた。
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