未だ何人も訪れたことがなく、今後も誰も訪れないであろう西インド諸島とアゾレス諸島の狭間、インド洋「バミューダトライアングル」。
その2万里を越える海底に、四次元空間につながる海主ネプチュヌスの城がある。
きらめく宝石のように飾り立てられた100の部屋は、マーメイド、マーライオン、セイレーンなど、海主の眷属たちの住処。陽の光さえ届かぬ深海底にひっそりとたたずむ城の回りでは、赤、青、黄、緑、オレンジにかがやく魚、エイ、鮫たちが泳ぐ。
水龍とマーライオンが戦う姿が描かれた広間では、青みがかった白銀の髪をなでるネプチュヌスが黙りこくっている。
彼のマリンブルーの眉毛がわずかな海流に揺れた時、ネプチュヌスが思念を発した。(一同のもの、面をあげよ)
海神界の親衛隊長シンガパウムの一族が、呼び寄せられていた。
「忠義をつくすもの」でマーライオンの勇者シンガパウムと、「うらなうもの」でとびきりの英知に恵まれた今は亡きマーメイドの妻ユーカの娘たちを神々の中で知らぬものはいない。
長女アフロンディーヌは、祖母や母の後を次いで最高位の巫女。
天主ユピテルの玄孫ムーに嫁いだ次女アレギザンダーは、セイレーン3姉妹にもおとらない美しい歌声を持ったマーメイド。
海主ネプチュヌスの玄孫レムリアに嫁いだ3女ジュリアは、気象をあやつりシンガパウムと共にマーメイドながらネプチュヌスの親衛隊員。
冥主プルートゥの玄孫アトランチスに嫁いだ4女サラは、やさしい性格。
姉妹の内、5女ノーマだけがこれまで人間界に行き、不幸な晩年をおくったと言われている。本来なら、この場にいるはずの末娘ナオミは、すでに人間界に送り込まれており姿がない。
中央に呼び出された親衛隊長シンガパウム、巫女アフロンディーヌ、祖母トーミが朝焼けの光をはらんだ豪奢な色のドレスを着てひざまずいていた。他の姉たちも、その後ろにかしこまっている。
(今宵の話は、人間界に行ったナオミについてではない。だが、まんざら関係ない話でもない。ドルガ、メギリヌ、ライム、リギスの四人が脱獄した。目的は、マクミラへの復讐じゃ)
ネプチュヌスが、トーミに顔を向けた。
(四人は、早晩必ずトラブルを起こす。さすれば、ナオミはトラブルに引き寄せられていく)
トーミが、慎重に思念を送り返す。(ゲームのルールはどうなりますのじゃ? 四人は、ゲームとは直接の関わり合いはないはずでは)
(そこに思い当たるとは、さすがじゃな。最高神の議論の結果、海神界と天界からは助太刀は送らぬことになった。助太刀を送れるのは冥界だけじゃ。ただし・・・・・・)
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