かつてのFacebookが子供達が親のクレジットカードを無断で使って高額課金していると認識しながら、返金を拒否する方針を採っていたことが報じられています。
今回のニュースは、2012年にFacebookに対して起こされた集団訴訟に関する資料が公開されたことで明らかになったもの。あくまで6年前の事実を示唆するに止まりますが、当時のFacebook社内で子供による高額課金の問題を認識しつつ、あえて対策を講じなかったことが伝えられています。
アメリカの非営利ジャーナリズム組織Reveal Newsによると、この裁判記録はFacebookが『Angry Birds』や『Petville』、『Ninja Saga』などのオンライゲームの収益拡大をめざし、どのように子供達をターゲットとしたかに焦点を当てた集団訴訟の一環とされています。
Facebookの社内文書は、子供がお金を使っている意識さえないケースもあると、Facebook社員が認識していたことを裏付けています。たとえば『Angry Birds』のプレイヤーの平均年齢が5歳であるなど、子供がメインユーザーとなっているゲームもありました。そして、ゲームで使える「Facebookポイント」というサービス内通貨(2013年に廃止)を購入する際に、親のクレジットカード使用を防ぐための承認ステップがありませんでした。
さらに社員の1人は、子供が課金した総額の9%以上がクレジットカード会社によりチャージバック(カード売上げの強制返金)されていると気づいたとのこと。つまり、子供が無断でカードを使用していると知った親がFacebookに掛け合っても拒否されたため、カード会社に訴えて返金を受けていたわけです。ちなみに一般企業の平均チャージバック率は0.5%で、1%でも高いとされています。
そこで社内のあるチームは、テスト的に子供達が特定のゲームで課金する前に、カード番号の最初の6ケタを再入力するように求める仕様へと変更。この試みは上手く行き、返金請求やチャージバック件数は減ったとされています。
ところがFacebookが下した決定は、社内で配布されたメモによると「両親の許可なしに子供達に課金させるようにゲーム開発者に指示する」ことでした。メモには「友好的な詐欺(Friendly fraud)--それが何であり、なぜ難しく、どうして阻止すべきではないのか」と記載されています。「Friendly fraud」とは、子供が親の同意を得ずにゲームに課金する社内用語とのことです。
2016年に米カリフォルニア州の裁判所は集団訴訟の原告の訴えを認めて、Facebookに払い戻しを命じる判決を下しました。
よって全ては過去のことであり、Facebookも払い戻しに応じる方針に改められています。「2012年当時は子供をカモにしようとする(Facebook社内では高額課金ユーザーは「クジラ」(カジノで高額の賭けをする人)と呼ばれていたそうです)風潮があった」手がかりの1つ程度に受け止めた方がいいかもしれません。
iOSとAndroidの人気アプリが、身長や体重、血圧、心拍数、生理周期、妊娠週数といった個人データを、ユーザーの知らぬ間にFacebookと共有していたことが、The Wall Street Journalの調査で明らかになりました。
データ共有はそのユーザーがFacebookのアカウントを持っていなくても行われていて、たとえばユーザーがヘルスアプリに体重を入力すると、その瞬間にFacebookに送信される、といったことが日常的に行われている模様です。
信頼が地に落ちたFacebook
Facebookは昨年、最大8,700万人分もの個人情報をデータ分析コンサルティング会社Cambridge Analyticaに流出させたとして、大きな批判を浴びました。
その後同SNSの利用をやめる人が増えるなど、Facebookの信頼度は地に落ちたといってもいいでしょう。
ところがWSJの調査から、Facebookはスマホの多くのアプリが収集したデータを、ユーザーに許可なく入手していることがわかりました。
11の人気アプリがデータをFacebookと共有
WSJの調べでは、少なくとも11の人気アプリがデータをFacebookと共有していました。そのひとつが、iOSの心拍数測定アプリ「Instant Heart Rate: HR Monitor」(提供:Azumio)です。同アプリは心拍数を記録すると、そのデータを直ちにFacebookに送っています。
このほか、月経周期を記録するための「Flo Period & Ovulation Tracker」(提供:Flo Health)は月経情報を、不動産情報アプリ「Realtor.com」(提供:Move)はユーザーがチェックした住宅の価格や場所の情報を、Facebookに送信していました。
上記のいずれのアプリも、Facebookとの情報共有を停止する方法をユーザーに提示していません。
Facebookは収集した情報を、「Facebookにおいて各ユーザーの好みにあった広告やコンテンツを表示したり、市場調査を実施したりするために使用する」としています。
プライバシー法に抵触する可能性
Facebookはユーザーが、他社のアプリやWebサイトなどが収集したデータをターゲット広告表示に活用するのを拒否できる設定をもうけていますが、実際には有名無実で、データ収集を止める方法も、それを別の会社と共有するのをやめさせる方法もないとセキュリティの専門家は述べています。
しかし欧州連合は健康データなどの個人情報の取り扱いをより厳しく規制しており、アプリ開発者がユーザーの許可なくデータをFacebookと共有するのは、プライバシー法に抵触する可能性があるとの指摘もあります。
またAppleとGoogleが、App StoreとGoogle Playで配布しているアプリに対し、今後プライバシー管理を厳しくする可能性が高まっているとのことです。
Source:The Wall Street Journal via 9to5Mac
Photo:Pixabay
(lunatic)
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