2019年11月28日 (木)
欧米が作り出し、消費しているウソ
2019年11月20日
Andre Vltchek
New Eastern Outlook
中東での仕事を終えた後、少なくとも当面、私はサンティアゴ・デ・チレへの便を待っていた。パリで。私は、ベイルートで聞いて、目撃していたものを処理し「自由な」数日を当てにすることができた。毎日、ラウンジに座り、長時間私はひたすらタイプした。考え、タイプした。
私が働いている間、私の上でフランス24のニュース・チャンネルが薄型画面から光を発していた。
私の周囲で人々は行き来していた。狂気じみた買い物三昧の西アフリカ・エリート連中が出し抜けに携帯電話に叫ぶ。パリ見物の韓国人や日本人。実際は彼らのすぐ周辺の人々全員である「下々」を無視し、下品に笑って商売の話をしている失礼なドイツや北アメリカの筋骨たくましい連中。
何がホテルで起きているかとは無関係に、フランス24は延々続いていた。そう正に24時間。昼も夜も、同じ物語をリサイクルし、時々ニュースを更新し、いささか傲慢な優越感の雰囲気で。ここで、フランスは世界を判断していた。アジア、中東、アフリカと中南米に彼ら自身について教えながら。
私の目の前で、私の上の画面で、世界が変化していた。何カ月もの間、私は香港で、反逆的で強暴な忍者の悪夢のような暴動を報道していた。私は中東、特にレバノンのいたる所に行き、今私は、社会主義が選挙に勝利し続けていたが、不正で不誠実な欧米帝国に、打擲され、威嚇さえされている私の第二の家、中南米に行く途中だった。
フランス24が見せ続けているのは、私自身の目で私が常々目撃してきたことだ。多くの違う角度から、更に多く、はるかに多く。私はそれについて書き、撮影し、分析した。
多くの国で、全世界で、人々は私と物語を共有していた。私はバリケードを見て、ものすごい革命的熱狂や興奮や、負傷した体の写真を撮り、撮影した。私は裏切りや背信や臆病も目撃した。
だがラウンジでは、テレビの前では、全てが、とても素適で、非常に上品で、気分が安らぐように見えた。血は良く混ざった色に、バリケードは、最近のブロードウェー・ミュージカルの舞台のように見えた。
叫び声は消され、芝居のように、人々は美しく死につつあった。画面上の人々があえて多少強力な感情を見せたり、痛みでしかめっ面をしたりすると、常にブランド品ドレスを着た優雅な総合司会者が情け深く微笑んだ。彼女は責任者で、この全ての上にいた。パリやロンドンやニューヨークでは、強い感情や政治的関与や、壮大なイデオロギー行動は、既に、とっくの昔に時代遅れにされていた。
私がパリで過ごしたほんの数日間に、多くのことが全ての大陸で変化した。
彼らがあえて北京に忠誠を誓ったというだけの理由で、香港暴徒は同国人に火をつけ始め、進化していた。女性は顔が血で覆われるまで鉄棒で、いきなり打ちすえられた。
レバノンでは、親欧米派政権転覆集団オトポールの「握り締めた大きなこぶし」が突然反政府デモの中心に現れた。レバノン経済は崩壊しつつあった。だがレバノン「エリート」は私の周辺で、パリで、世界で、お金を浪費していた。貧困に陥った中産階級や哀れなレバノンの貧しい国民は社会正義を要求していた。だがレバノンの金持ちは彼らを指して、あざ笑っていた。彼らは全員理解していた。彼らは自国を略奪し、置いてきぼりにし、今ここ「光の街」で素晴らしい大舞踏会を楽しんでいるのだ。
だが欧米で彼らを批判するのはタブーだ。禁句だ。現状を維持するために使われる強力な欧米の武器、政治的公正、差別用語を使わないことが、彼らを手がつけられなくしたのだ。なぜなら彼らはレバノン人だから。中東から。うまい仕組みではないか? パリとワシントンにいる外国人のご主人のために、連中は自分たちの同胞、中東の人々から強奪しているが、パリやロンドンで、彼らの放蕩「文化」を暴露するのはタブーなのだ。
イラクで、反シーア派の、それゆえ反イラン感情は、強烈に、明らかに、外国によって撒き散らされたのだ。いわゆるアラブの春の二番目に大きな話題だ。
チリ人は、1973年以来ずっと、シカゴ・ボーイズによって無理やり押しつけられている新自由主義体制を追いだそうとして、戦い、死んでいる。
成功し、民主的で、人種的に包摂的なボリビア社会主義政府は、ワシントンとボリビアの反逆罪幹部に打倒された。そこでも、人々はエルアルトやラパスやコチャバンバの街頭で死につつある。
イスラエルは、ガザで再びやっている。全力で。
ダマスカスは爆撃された。
私はアルジェリア人やレバノン人やボリビア人を撮影に出かけた。レピュブリック広場で、彼らの目標を主張していた人々を。
私はチリやボリビアや香港で、間もなく私を待ち受けている恐怖を予期した。
私は熱狂的に書いていた。
テレビは低いうなり音を立てている中。
人々が笑い、叫び、泣き、和解し、ラウンジに入り、去り、会い、分かれた。
世界とは無関係だ。
画面上で爆弾が爆発し、人々が警察と軍に体当たりしているのに、はしたなく笑う人が頻繁に爆笑した。
***
そして、ある日私は誰も本当に関心を持っていないのを悟った。突然、単純に。
世界中で起きること全てを目撃する。それを文書化する。自分の命を危険にさらす。物事に関与する。怪我をする。時々、極端に死に近づく。
TVは見ない。決して、あるいはほぼ決して見ない。そう、テレビ出演はする。記事と画像は提供する。だが、決して、その結果は見ない。自分の仕事、単語や画像が本当にどんな感情を呼び起こすかは見ない。そもそも、そうしたものは感情を呼び起こすのだろうか? 決して主流ではなく、反帝国主義メディアのためにしか働かない。だが誰のために働こうとも、交戦地帯からの自分の報道が、どんな表情を呼び起こしているのか全く見当がつかない。あるいは、どの交戦地帯からの記事が、どのような感情を引き起こすかも。
そして、読者たちを見つめる多少の時間ができたパリで、突然理解した。
理解した。なぜそれほど少数の人々しか手紙を書いてこないのか、戦いを支援してくれないのか、国々が帝国に破壊され、全滅されることに対し戦いさえしないのか。
ホテルラのウンジに座っている人々を見回し観察し、はっきり悟る。彼らは何も感じていない。彼らは何も見たくないのだ。彼らは何も理解していない。フランス24局が映っているが、何年も前から、そうであるよう意図されたニュース局ではない。それは娯楽で、しゃれた背景雑音を作り出すことになっている。それはそうしている。まさにそれだ。
BBC、CNNや、フォックスやドイチェ・ヴェレと同じだ。
***
合法的に選挙された社会主義者のボリビア大統領が目に涙を浮かべて亡命を強いられている時に、私はリモートコントロールを手にし、チャネルを、とっぴで幼稚な漫画チャンネルに切り替えた.
何も変わらなかった。私の周囲約20人の表情は変わらなかった。
もし画面上で、亜大陸のどこかで核爆弾が爆発しても、誰も注意を払うまい。
何人かが自撮り写真を撮っていた。私はマックブックで欧米文化の崩壊を書いていた。我々全員、それぞれに忙しかった。
カシミール、西パプア、イラク、レバノン、香港、パレスチナ、ボリビアやチリは燃えていた。
それが何だろう?
私から10メートル先で、アメリカ人ビジネスマンが電話に叫んでいた。
「君は12月に私をパリに招待するつもりか? そうか? 詳細を話し合わなければならない。私は一日いくらもらえる?」
世界中で、クーデター、蜂起、反乱。
そして、青と白のレトロ調のブランド物ドレスを着た女性、ニュース・アナウンサーの実に確信に満ちた、実にフランス的で、際限なく偽物の非人間的で職業的な微笑。
***
最近、私はヨーロッパと北アメリカの国民は、世界を支配する道義的権利を持っているかどうか、考え続けている。
私の結論は、決してそうではない!
彼らは知らず、知ることを望まない。権力を持った人々は知らねばならない。
パリで、ベルリンで、ロンドンで、ニューヨークで、人々はうぬぼれたり、ささいな小さな利己的問題で「苦しん」だりするのに余りにも忙しい。
彼らは自撮り写真を撮ったり、彼らの性的趣に夢中になったりするのに余りに多忙だ。もちろん彼らの「事業」にも。
それが、私がロシアと中国のメディアのために書き、私のように怯えて、世界の未来を懸念している人々に語るのを好んでいる理由だ。
遥か彼方モスクワにいる、この雑誌の編集者もそうだ。彼らは同時に不安で情熱的だ。私は彼らがそうであるのを知っている。私と私の報道は、彼らにとって何かの「商売」ではない。NEO編集室では、都市が潰滅され破壊されている人々は何らかの娯楽ではない。
多くの西側諸国で人々は、感じ、関与し、より良い世界のため戦う能力を失った。
この損失ゆえ、彼らは世界に対する権力行使を断念するよう強いられるべきだ。
我々の世界は傷つけられ、破損してはいるが、大いに美しく、貴重だ。
世界の改良と存続のために働くのは商売ではない。
偉大な空想家や詩人や思想家しか、そのために戦い、舵取りするのを信じられない。
読者に多くの詩人や空想家がいるだろうか? それとも、彼らはパリのホテルの客が、フランス24が放送するテレビ画面の前でしているような顔で振る舞うのだろうか?
Andre Vltchekは哲学者、小説家、映画製作者で調査ジャーナリスト。彼はVltchek’s World in Word and Imagesの創作者で、China and Ecological Civilizationを含め、多くの本を書いている作家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。
記事原文のurl:https://journal-neo.org/2019/11/20/lies-which-the-west-manufactures-and-then-consumes/
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2019年11月25日 (月)
香港暴動が終結しつつある理由
2019年11月22日
Moon of Alabama
アメリカが支援する香港暴動は、ほぼ終わっている。暴動は我々が想像していたよりずっと長く続いた。
「民主派」学生の「ぎりぎりの暴力」キャンペーンは、彼らへの、より多くの支援を獲得し損ねた。一般香港人は益々、更なる挑発に反対の意見になっている。
デモ参加者は、これまで2週間にわたり、ほぼ毎日繰り広げた昼食時デモで昼の12.30頃、香港の金融中枢、香港株式取引所がある交易廣場外の橋の上に集まっていた。
約一時間後に、約50人の警察支持派集団が現れた後、つかみあいが起きたが、区域の混乱を収めるべく、すぐ後に警察が到着した。
各集団の一部メンバー間の少なくとも二つの諍いで、反政府集団が敵側に「中国に戻れ」と叫び、メンバーの一人が、より小さな集団に向かって歩く女性をけった。
10日前、黒装束暴徒の中核が、平日、香港の交通を麻痺させ始めた。彼らはほぼ全ての地下鉄駅に乱入し、主要道路とトンネルにバリケードを築いた。学校は閉鎖され、企業と労働者がひどく損害を被った。
暴徒によるバリケードを撤去しようとした一般人に投げられた石がぶつかって、70歳の街路清掃人が一人死亡した。暴徒が地下鉄駅を略奪するのを口頭で反論した後、57歳の男性がガソリンを浴びせられ、火をつけられた。警官が矢で撃たれた。
暴徒は主要道路と香港海底トンネル隣にある香港中文大学と香港理工大学を占拠した。大学を兵站基地と要塞として利用して彼らは昼夜を通じて多くの道路を閉鎖しておくのに成功した。香港中文大学学長と一部暴徒の交渉後、暴徒は約8,000の火炎瓶を後に残し、そこから避難した。彼らは香港海底トンネル隣の香港理工大学に集まった。
それは失敗だった。
この前の日曜日、警察が香港理工大学を包囲し全員退去させた。退去しようとした連中人は逮捕されたか、18歳以下であると識別され、親に引き渡された。暴徒が非常線を突破しようと試みた際、いくつか激しい戦いがあったが、ごく少数が逃げた。
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数日後、香港理工大学構内の連中の大部分が警察に投降した。
現在、まだ香港理工大学校舎に閉じこもる暴徒が約30人いる。警察は彼らの退去を待っている。警察は千人以上を逮捕したと言っている。大学は荒らされ、紛争による深刻な損害を受けた。暴徒は再び何千という火炎瓶や他の武器を残して去った。
都市交通の妨害と暴徒の破壊行為で引き起こされた増加する損害は、これまで彼らを支援していた人々さえ遠ざけた。現在、警察が中核となる暴徒の大部分を逮捕しているため、このような暴力的抗議が続く可能性はほとんどない。
日曜、香港中で区議会選挙が行われる。中国は、いかなる状況下においても、選挙を進めるよう要求していた。機動隊が全ての投票所を警備するはずだ。
何週間も前には、暴徒を支援していた「民主派」候補者は、まだ彼らが抗議行動前に維持していたよりも多い議席を獲得する態勢にあった。だが今彼らは、大衆が彼らが起こした大混乱に対し、彼らを罰し、体制派候補者を選ぶことを恐れている。
香港中文大学の政治学者蔡子強は、投票者数は記録を更新するかも知れないが、全体的状況は、前より一層予想困難だと述べた。
「民主派は、抗議行動が勃発した夏に選挙が行われていたら、地滑り的勝利を勝ち取れたはずだ」と蔡教授は述べた。「だが最近の二大学での衝突後、投票先政党を決めていない有権者は社会的秩序を懸念して、投票を思い止まるかもしれない。」
彼は先週11月12日、香港中文大学外で抗議行動参加者が、警察に対して行った激烈な戦いと、それに続いた更に多くの香港理工大学外での紛争に言及した。
「一部の人々が元来想像していたように、民主派が議席の半数以上を勝ち取るのは困難だろう」と蔡教授と言った。
香港政府は抗議行動参加者の「五つの要求」のいずれも認めなかった。抗議行動参加者が勝ち取った唯一のものは、アメリカ議会に法律を成立させたことだ。
水曜日、圧倒的多数で二つの法律を可決する上で、下院は上院の先例に倣った。毎年大統領が、アメリカが香港に与えている貿易上の有利な地位を再検討し、自治権が無効にされたと判断された場合、それを無効にし、当局者に罰則を科すると恫喝すると要求する香港人権・民主主義法案。催涙ガスや他の警備用品目の販売を阻止する香港保護法だ。
前者はほとんど象徴的だが、香港と北京とワシントンの関係を変えかねない。
香港を巻き込んだ抗議行動を支持するアメリカ議会を通過した法律に対し、ドナルド・トランプ大統領には単純な選択肢がある。承認するか拒否するかだ。中国との貿易戦争での厳しい交渉の最中に起きたので、彼は決定を交渉の一部にしたくなるかも知れない。
だが北京は、そうした処置は中国主権の核心への攻撃だと考えている。急進的抗議行動参加者が更なる暴力に駆り立てられかねないのだ。もしトランプが法律を認めるようなことがあれば、何らかの報復措置がとられるのは確実だ。
だが貿易戦争と暴力と法律は、香港での企業心理を損なってしまった。法案が承認されようとされまいと、悲観と不確実は既に深まっている。勝利者はあり得ない。
トランプは中国との貿易協定を望んでおり、従って、おそらく法案を拒否するだろう:
朝番組「フォックス&フレンズ」で、アメリカ-中国関係で競合する優先事項のバランスを取っているのだと大統領は述べた。
「我々は香港を支持しなければならないが、私は友人の習[近平]主席も支持している。彼は途方もない人物だが、我々は支持しなければならない。私は彼らがうまくやるのを見たい。そうだろう?」と大統領は言った。「私は自由を支持している、私は私がしたいこと全てを支持しているが、我々は史上最大の貿易協定の一つを結ぶ過程にある。もし実現できたら、素晴らしいだろう。」
法律は拒否権行使に対抗できる大多数で下院と上院を通過したので、拒否権は一時的な影響を与えるだけだろう。
香港の抗議と暴徒の裏の意図は、当初からずっともう一つの天安門事件を引き起こすことだった。これは抗議の始めから非常に明白だった。それは今公的に認められている。
BBC Newsnight @BBCNewsnight - UTC 11:00 2019年11月19日
「抗議行動参加者の一部は中国との軍事対決を挑発するのが目的だったように見える。彼らは天安門広場結果を成功として望むように思われる。」
元イギリス外務大臣 @ジェレミー・ハントが#香港抗議行動参加者の一部の「戦術を懸念している」と述べた
もし中国が軍隊を香港に移動したり、抗議行動参加者に対し、より多くの武力を使用することを許したりしていれば、アメリカは、それを同盟諸国に中国に強い制裁をするよう求めるのに使っていたはずだ。抗議行動参加者の暴力はそういう結果を実現するよう意図されていた。計画は、中国から切り離す、より大きなアメリカ戦略の一環だった。
アメリカが欲するものを与えるには中国があまりにも賢明だったので、計画は失敗した。今圧力を受けているのはトランプだ。今の貿易戦争が、アメリカ経済に損害を与え、彼の再選を危険にさらしているので、彼は中国と共に貿易協定を必要としているのだ。
それが、おそらく、抗議がなぜ弱まったかという本当の理由だ。
記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2019/11/why-the-hong-kong-riots-are-coming-to-an-end.html#more
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