- 2017年04月30日 11:08
個人消費が減り続けているのに、アベノミクスは大成功なんだって。
節約志向根強く、消費支出13か月連続マイナス
http://www.yomiuri.co.jp/economy/20170428-OYT1T50039.html?from=ytop_main2
>総務省が28日発表した3月の家計調査(速報)によると、1世帯(2人以上)あたりの消費支出が29万7942円となり、物価変動の影響を除いた実質で、前年同月比1・3%減少した。
13か月連続で前年同月を下回り、消費者の節約志向が続いている。
GDPの約6割を占める個人消費は冷え込んだままです。
これはいつも申し上げているように、相次ぐ社会保障費の値上げで実質所得が減ったこと、国の借金は増え続けて、将来の増税や年金の減少は避けられない、だ から無駄な消費は控えようという判断が消費者にあるからでしょう。それ以前に貯金すらできない世帯も少なくありません。そういう世帯は無駄遣いする余裕は ないわけです。
デフレからの脱却は不可能です。
ところが政府は、物価がどんどん上がれば消費者はガンガン消費をするようになるといっています。
あたまがおかしいとしか思えません。だったらぼくら商人も随分らくなんですけどね。
儲かっているのは投資家と円安で自動的に、円での収入が増えた輸出企業だけ。投資家の7割は外国人でもうけは外国に貫流され、企業も内部留保するし、下請けにも支払いを増やさないので、トリクルダウンなんぞ期待できません。
でも政府も日銀も強気で空虚な大本営発表を繰り返しています。
日銀、景気判断引き上げ・17年度物価を小幅下方修正 政策は現状維持
http://jp.reuters.com/article/boj-policy-meeting-idJPKBN17T0CQ
>景気の総括判断は、需給ギャップのプラス転換や好調な輸出・生産を背景に「緩やかな拡大に転じつつある」に上方修正。これまでは「緩やかな回復基調を続けている」となっていた。景気の現状判断で「拡大」との表現を用いるのは2008年3月以来、約9年ぶりとなる。
>景気に比べて物価の足取りの鈍さが目立つが、日銀では、需給ギャップの改善やエネルギー価格の上昇に伴って現実の物価が上昇していく中で、中長期的な予 想物価上昇率も「2%程度に向けて次第に収れんしていく」と予想。物価の先行きは「賃金の上昇を伴いながら、緩やかに高まっていくという好循環が作用して いく」と見込んでいる。
ですが、倒産も廃業も増えています。かつて安倍総理は一時期倒産が減ったときに、アベノミクスの成果と自画自賛してましたが、この数字をみればアベノミクスは失敗だったというのでしょうか。
16年廃業件数は倒産の3.5倍 「中小企業白書」衝撃の中身
https://news.infoseek.co.jp/article/gendainet_388298/
先週21日に閣議決定した2017年版「中小企業白書」(中小企業庁)に驚愕の数字が並んでいる。
>市場関係者が“隠れ倒産”とも呼ぶ休廃業・解散(以下、廃業)の急増が明らかになったのだ。16年の廃業件数は2万9583件で過去最多を記録。2000年に比べ、倍近くにハネ上がった。
>倒産件数は08年の1万5646件から減少を続け、16年は8446件。3年連続で1万件を下回った。その一方、廃業は増えるばかりで、倒産件数の3.5倍に達したのだ。
>「経産省や金融庁は金融機関に対し、将来性の見えない中小企業には廃業を勧めるよう指導しています。銀行が融資をストップしたり、融資の回収に動けば中 小・零細はひとたまりもありません。倒産件数が少ないと、経済は順調のように映りますが、その裏で廃業が過去最悪では『頭隠して尻隠さず』でしょう」(市 場関係者)
>倒産と廃業の合計件数は16年に3万8029件。アベノミクスがスタートする前の2011年と同水準だ。「倒産減少」などまやかしに過ぎない。
これでも倒産は少なく抑えられているはずです。民主党時代から倒産を押さえるために、金融機関に対して潰れそうな会社にも融資を行わせているから、ゾンビのような企業が潰れずにいます。
そしてこれも毎度ご案内しておりますが、倒産するにも弁護士に頼んで法的な手続きをする必要があり、結構お金がかかります。つまり夜逃げしたようなケースでは倒産にカウントされません。
更に足下が明るい内に、事業整理をする会社も増えています。
つまり、夜逃げ、倒産、事業整理の数をみないと、本当の意味の「倒産」の実態は分かりません。
更に申せば新陳代謝も問題にすべきです。起業が多ければその分、倒産も増えます。これは致し方のないことですが、起業の分母も見ることが必要です。
そういう分析もなしに、倒産が減ったアベノミクスの勝利だとはしゃぐ人は、おつむが足りないのではないかと疑われても仕方がないでしょう。