- Culture
2023.01.10
- 文:山川真智子
直近のイギリスの世論調査で、ヘンリー王子の好感度が過去最低となったことが分かった。回顧録「Spare」に書かれたショッキングな内容が、発売前にリークされたことが影響したと見られる。王子は回顧録の宣伝のため英米のインタビュー番組に出演し、ここでも次々と暴露話を披露して、王室批判と自己正当化に終始した。比較的王子とメーガン妃に同情的だった北米メディアからも、行き過ぎではないかという声も聞かれる。
爆弾発言続々 英ではヘンリー王子に厳しい見方
ヘンリー王子の回顧録は、1月10日の発売前に内容の一部が流出し、「兄のウィリアム皇太子から身体的な攻撃を受けた」「アフガニスタンでの従軍時にタリバンのメンバー25人を殺害した」などの記述があることが分かった。さらに、「パブの裏手で常連客に童貞を奪われた」、「兄ウィリアム皇太子とのちに兄嫁となるキャサリン妃に勧められ、ナチスの衣装でパーティーに参加した」と書かれているとされ、物議を醸している。
回顧録の内容がリークされた後の1月5、6日に実施された市場調査会社YouGovの調査では、イギリス人の64%がヘンリー王子に対して否定的で、好意的な見方をする人は26%ほどだったことが明らかになった。
ヘンリー王子は、イギリスのITV、北米ではCBSの「60ミニッツ」、ABCの「グッド・モーニング・アメリカ」に自著の宣伝のために出演した。家族との緊張関係に焦点を置いて話し、タブロイド紙の好意的な報道を得るために、家族のメンバーが「悪魔とベッドイン」していると非難。継母であるカミラ王妃がプライベートな会話をメディアにリークし、家族が「共謀」してメーガン妃に「痛みと苦しみ」を与えていると主張した。さらに、母ダイアナ妃の死、英メディア批判、回顧録出版の決断理由など、発言は多岐に渡った。
家族の不和を世界に発信…一線を超えたやり方にアメリカ人も困惑
大手メディアのインタビューで次々と投下されるヘンリー王子の爆弾発言に、これまで英メディアよりは穏やかだった北米メディアも食傷気味だ。カナダのグローバル・ニュースは、世間では王子と王子が話題を独占することに対する「疲れ」が定着しそうだとした。
ニューヨークタイムズ紙(NYT)は、ヘンリー王子とメーガン妃には、特に人種差別や王政に疑問を持つ人々などの間で、まだ多くの支持があるとするが、これまでの反応を見る限り何かが変わったようだとする。一般的に家族の機能不全の問題に対しイギリスより寛容なアメリカでさえも、耐えられる暴露話の数は限られているという感覚があるとし、本を売るため家族の問題を全世界に公表するヘンリー王子の考えが理解できないと言うテレビ司会者の意見を紹介した。
実際に回顧録の予約注文は殺到し、少なくとも短期的には売れ行きは良さそうだが、ヘンリー王子夫妻にとって心配なのは、問題が大きくなり彼らのブランド力が損なわれ、将来の潜在的な収入を損なうことになっていないかだとNYT紙は指摘する。また自分たちのネタが尽きてしまえば話すことはなくなり、早晩限界が来るだろうというメディア関係者の声も紹介している。
擁護していた人々も食傷気味 多くを語り過ぎた2人
ここ数日、多くの人がソーシャルメディアでヘンリー王子とメーガン妃を擁護しているが、同時に同じ数の「もうたくさんだ」という人もいるとNYTは述べている。
夫妻のメディア攻勢について、「リアリティー・ショー」のようだと評す人もいるが、アメリカのリアリティー・ショーの女王の1人、ベセニー・フランケルは、夫妻はもう多くを語り過ぎたとコメント。本のタイトルを「汚れたハリーの洗濯物」に変えるには遅すぎるだろうかと、インスタグラムで茶化している。
セレブ&ゴシップ
公開日:2023/1/30 15:01
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英チャールズ国王、戴冠式にヘンリー王子出席を希望 ウィリアム皇太子は反対か(C)Zeta Image
自叙伝『Spare(原題)』の出版で、ますます確執が深まったとみられているヘンリー王子と英王室。5月に父チャールズ国王の戴冠式が行われる予定だが、国王はヘンリー王子の出席を希望しているようだ。その一方で兄のウィリアム皇太子は反対しているという。
The Mail on Sundayによると、チャールズ国王はヘンリー王子とメーガン妃が戴冠式に出席することを希望しており、イギリス国教会のトップであるカンタベリー大主教に仲介を依頼したそうだ。
情報筋によると、国王はヘンリー王子とメーガン妃の欠席が戴冠式に影を落とすと考えており、2人に出席するよう説得を試みているという。その一方で、兄のウィリアム皇太子は、ヘンリー王子が戴冠式で目立った行為を行い、注目を集めるのではないかと懸念しているようだ。
関係者は、「戴冠式に出席するかどうかが問題ですが、もし出席した場合、どのような立場、条件で出席するのかということも問題になります。王室は分断しており、ヘンリー王子は周囲から現段階で何も合意するな、最後の最後まで決断を引き伸ばせとアドバイスを受けているようで、交渉は難航しています」とコメント。調整がうまく進んでいないことを示唆した。
ヘンリー王子側は、戴冠式に出席して王室の望む通り行儀よくしていれば、その後に称号を剥奪されるようなことはありえないと考えているという。いずれ自分の意志で称号を捨てることはあっても、強制的に剥奪されることには抵抗があるという。
彼はまた、叔父のアンドリュー王子とともに、「王室の問題児」として取り上げられることが多く、エリザベス女王の葬儀でも、軍服着用を巡る論争などで2人が一緒に注目を集めた。しかし、ヘンリー王子はこれに不満で、セックススキャンダルを起こした叔父とは状況が全く異なるとして、憤慨しているそうだ。席順や扱いなどを巡り、こうした主張が行われているものとみられる。
情報筋によると、国王はヘンリー王子とメーガン妃の欠席が戴冠式に影を落とすと考えており、2人に出席するよう説得を試みているという。その一方で、兄のウィリアム皇太子は、ヘンリー王子が戴冠式で目立った行為を行い、注目を集めるのではないかと懸念しているようだ。
関係者は、「戴冠式に出席するかどうかが問題ですが、もし出席した場合、どのような立場、条件で出席するのかということも問題になります。王室は分断しており、ヘンリー王子は周囲から現段階で何も合意するな、最後の最後まで決断を引き伸ばせとアドバイスを受けているようで、交渉は難航しています」とコメント。調整がうまく進んでいないことを示唆した。
ヘンリー王子側は、戴冠式に出席して王室の望む通り行儀よくしていれば、その後に称号を剥奪されるようなことはありえないと考えているという。いずれ自分の意志で称号を捨てることはあっても、強制的に剥奪されることには抵抗があるという。
彼はまた、叔父のアンドリュー王子とともに、「王室の問題児」として取り上げられることが多く、エリザベス女王の葬儀でも、軍服着用を巡る論争などで2人が一緒に注目を集めた。しかし、ヘンリー王子はこれに不満で、セックススキャンダルを起こした叔父とは状況が全く異なるとして、憤慨しているそうだ。席順や扱いなどを巡り、こうした主張が行われているものとみられる。
更新日:2023/1/30 15:02
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2023-01-30
5月に行なわれるチャールズ国王の戴冠式にヘンリー王子夫妻を呼ぶか否かで、国王とウィリアム皇太子の意見が割れていることが明らかに。(フロントロウ編集部)
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Photo:ゲッティイメージズ
5月に行なわれるチャールズ国王の戴冠式にヘンリー王子夫妻を呼ぶか否かで、国王とウィリアム皇太子の意見が割れていることが明らかに。(フロントロウ編集部)
チャールズ国王の戴冠式にヘンリー王子夫妻は出席する?しない?
現地時間5月6日に行なわれるイギリス王室のチャールズ国王の戴冠式にヘンリー王子とメーガン妃を呼ぶか否かで、国王とウィリアム皇太子の意見が割れていることがわかった。
ご存じだと思うが、2020年3月末をもって王室を離脱したヘンリー王子とメーガン妃は、インタビューやNetflixのドキュメンタリー番組『ハリー&メーガン』などを通じてロイヤルファミリーの内情を暴露したり、批判したりしたことが原因で家族とほぼ断絶状態にある。とくに、1月に出版されたヘンリー王子の回顧録『Spare(原題)』は、ヘンリー王子と家族のあいだに“修復不可能なほどのダメージを与えた”とも言われている。
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しかし、それでもチャールズ国王にとってヘンリー王子が愛する息子であることに変わりはないようで、英Daily Mailによると、国王は王子が自身の戴冠式に出席できるよう、英国教会の最高指導者であるカンタベリー大主教のジャスティン・ウェルビー氏に仲裁を頼んだという。
ヘンリー王子とメーガン妃が戴冠式に出席するかどうかをめぐっては、様々な憶測が飛び交っており、一部で招待されても辞退する可能性が高いとの見方もあるが、チャールズ国王はヘンリー王子夫妻が戴冠式に出席した場合よりも、出席しなかった場合のほうが大きな混乱を招くと考えており、2人を説得することを前向きだと言われている。
一方のウィリアム皇太子は、ヘンリー王子たちが戴冠式に出席することで大事なイベントに影を落としてしまうことを懸念しているそうで、“抵抗”を見せていると伝えられている。なお、『Spare』にはウィリアム皇太子に関するネガティブな記述も多く、兄弟関係は過去最悪の状態にあることから、反対するのも無理はない。
ちなみに、関係者はDaily Mailに「問題は彼らが戴冠式に出席するかどうか、出席するとしたらどのような条件で出席するかということです。家族は分断されています。ヘンリー王子はこの段階では何も合意せず、最後の瞬間まで粘るようにと助言されているようで、彼との交渉は非常に難しくなっています」と証言している。(フロントロウ編集部)
2023-01-30
ニュース
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Photo:ゲッティイメージズ
2023-01-12
ヘンリー王子の回顧録『Spare』に対する、ウィリアム皇太子らロイヤルファミリーの反応が明らかに。(フロントロウ編集部)
ヘンリー王子の暴露本をロイヤルファミリーはどう感じている?
2020年3月末をもってイギリス王室を離脱したヘンリー王子が、自身の半生を振り返る回顧録『Spare(原題)』を出版した。ヘンリー王子に関する事柄だけでなく、家族や王室を非難するような内容も多く含まれており物議を醸している。なお、王室は『Spare』や、同著の宣伝のためにヘンリー王子が出演したいくつかのインタビュー番組に関して一切コメントを控えている。
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でも、実際のところ、本の中で名指しされ、とばっちりを受けたチャールズ皇太子やカミラ王妃、ウィリアム皇太子、キャサリン妃らロイヤルファミリーのメンバーはどう感じているのだろか?
チャールズ国王
ある関係者が米Vanity Fairに語ったところによると、チャールズ国王は『Spare』に書かれていることすべてに「深く傷ついている」という。
さらに、別の関係者は米Page Sixに、「ヘンリー王子が何を書くのか、とくに自分たちの人生の極めて個人的な出来事が語られることへの懸念があったのは間違いないでしょう。チャールズ国王は(困難にあっても)くじけずに前に進むという伝統的な姿勢を貫いています。
エリザベス女王の『文句は言わないし、説明もしない』を守っているのです。ウィリアム皇太子は、『私たちは人種差別をする家族ではありません』という声明を出したときと同じように、攻勢に出るべきだと主張しましたが、国王に却下されました」と明かしている。
カミラ王妃
『Spare』のなかで、ヘンリー王子からメディアに情報をリークした犯人扱いされたカミラ王妃は「ただただ驚嘆している」と、米Vanity Fairは伝えている。
ウィリアム皇太子
ヘンリー王子夫妻と親交がある伝記作家のオミッド・スコビー氏は、関係者から聞いた話として、「ウィリアム皇太子は打ちひしがれています。彼は弟が共有したものを無視しているわけではありません。いずれほとぼりは冷めるでしょうが、考えるきっかけにはなったようです」と米Harper’s Bazaarに証言。
また、英The Sunday Timesの王室担当記者のロヤ・ニッカ氏は、英Hello!を通じて「ウィリアム皇太子はひどく落ち込んでいます。私に言わせると、彼は今『心の中で燃えている』状態です。それが今、彼が感じていることです。
彼は、弟と直接対決することも、報復することも選ばない、それが彼のやり方なのです。彼は個人的なことが明るみに出たことにショックを受けています。
とくに、彼が弟について知っていることや、弟との思い出、これまでずっと弟のことを見守ってきたことを考えると余計に(ショックは大きいでしょう)。
でも、『これは違う、あれは違う』と口を出すのはおかしいと、彼は強く感じているのだと思います」と述べている。
キャサリン妃
キャサリン妃とヘンリー王子は、以前はとても仲が良かった。それだけに、キャサリン妃は『Spare』の内容に「憤慨し、傷ついている」(米PageSix)そうで、ある関係者は米Us Weeklyに、「キャサリン妃はヘンリー王子の行動を非道だと感じています。彼女は、自分の名前を泥沼に引きずり込んだ彼に呆れ、許すことができないでいます」と語っている。
ちなみに、英The Independentの取材に応じた関係者によると、チャールズ国王とカミラ王妃、ウィリアム皇太子の3人は、ヘンリー王子は「心理療法とメーガン妃に取り憑かれている」と信じているという。
また、ヘンリー王子と連絡をとっていない理由について、この関係者は「彼らは、自分たちの発言がすべてメディアに共有されるため、関与できないのです。会話もできないし、手紙も書けません。
なぜなら、彼らの発言はすべてヘンリー王子によって公にされ、商業的な利益を得る可能性があるからです。信頼関係は完全に崩壊しています」と説明している。(フロントロウ編集部)
2023-01-12
2023/01/17 20:20堀川樹里(ほりかわ・じゅり)
- 海外
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自叙伝が「事実じゃない箇所が多すぎて歴史的価値はない」と批判されているヘンリー王子(写真/Getty Imagesより)
10日の発売日から飛ぶように売れているものの、Netflixのドキュメンタリー同様、評判はイマイチなヘンリー王子の自叙伝『スペア』。ネット上では、日がたつにつれ悪評が増しており、「国王の子である王子の自伝本なのに、事実じゃない箇所が多すぎて歴史的価値はない」「読めば読むほどフィクション」など散々な言われようだ。事実かどうか確認しようがない情報を暴露された王族たちには同情が集まり、“いじわる義姉”だと書かれたキャサリン妃は、12日の公務中にヘンリー王子に対する皮肉を口にしたとネット上で話題を呼んでいる。
同書の中で、ウィリアム王子やカミラ王妃同様、王室のあしきしきたりに適応し、“自由な思想を持ち、性格もサバサバしている”メーガン夫人にいじわるをする義姉として紹介されているキャサリン妃。発売から2日後の12日、ウィリアム皇太子と共にバーケンヘッドにあるオープン・ドア・チャリティを訪問した。
そして、芸術関連の活動をサポートする慈善団体のプログラムに参加している4人のティーンと面会し、「大好きな音楽を作ることで、喜怒哀楽を表現できるようになりました」「私は(メンタル)クリニックの雰囲気の中で話すより、音楽作りのほうが感情を表すことができる。言葉で感情を表現することはなかなか難しくて」などと語る彼らの話を熱心に聞いた。
皇太子は「とてもわかりやすい(説明)ですね!」と感想を述べ、キャサリン妃は、「セラピストと話しても効果が得られない人はいますからね。すべての人に有効な治療法ではないですから」としみじみ語り、「幅広いセラピーがあること(そして、その中から自分に合ったものを選べるということ)が大切だと思います」と、同チャリティを高く評価した。
ネット上では、このキャサリン妃の発言が、セラピーを受けているわりにはいつまでも被害者意識から脱することができず、ネガティブ思考になっているヘンリー王子に対する皮肉ではないかと話題に。また、王子はメーガン夫人の勧めるセラピストに「洗脳されている」ともささやかれており、サイケデリック療法にまで手を出したことを本につづっていることから、キャサリン妃は「王子のメンタルヘルスを深く心配しており、ついこういう言葉が出たのだろう」と推測する声も上がった。
ヘンリー王子は、キャサリン妃が義姉になることを「ずっと欲しかった姉ができた」と大喜びし、2017年には米週刊誌「ニューズウィーク」が、ヘンリー王子は精神的にキャサリン妃を頼っていると報道。「母を亡くし、心にあいた大きな穴を埋めてくれたのはキャサリン妃」とも伝えられ、知り合った頃はまだやんちゃな青年だった王子をずっと見守り支えてきた、ヘンリー王子にとって特別な存在として知られている。
ヘンリー王子の自叙伝『スペア』、事実と異なる記述が次々発覚もゴーストライターは猛反論!
ヘンリー王子はウィリアム皇太子夫妻と3人で16年に、メンタルヘルス問題に対する誤解や偏見をなくしたいとチャリティ団体「ヘッズ・トゥギャザー」を創設。救急ヘリパイロットの仕事でトラウマを経験したウィリアム皇太子、母の死により「精神的破壊に追い込まれた」ヘンリー王子がメンタルヘルス問題に取り組む姿を見たキャサリン妃による発案で実現した。
このように、ヘンリー王子のメンタルヘルスに気を配っていたキャサリン妃だけに、今の王子の精神状態を心配しているであろう彼女の心労は察するに余りあると、世間から同情が集まっている。
一方で、英高級紙「テレグラフ」のインタビューに応じたヘンリー王子は、もう1冊、衝撃的な自伝本を出す用意があると匂わせているが、『スペア』には事実とは異なる点があまりにも多いため、ネット上では「ジャンルはフィクションにすべき」と批判されている。
『スペア』には、メーガン夫人が16年11月にケンジントン宮殿近くの高級スーパー、ホールフーズに買い物に出かけた際、店内には彼女の顔写真と共に、「この上なくショッキングでおぞましい見出し」のついたタブロイド紙が棚にずらりと並び、本人登場に気がついた周囲の客や店員から好奇の目で見られたという記述があった。
しかし、ホールフーズはタブロイドを販売していないため、起こり得ないことだとSNS上で話題に。また、メ―ガン夫人がホールフーズで買い物をして帰る姿がパパラッチされた16年11月10日、ほとんどのタブロイドの1面はトランプ元大統領で、夫人を1面に載せたタブロイドはいくつかあったが、悪く書いているものではなかったことが確認されている。
ほかにも、長年、コーギーやドーギー(ダックスフントとコーギーの交雑種)を飼育してきたエリザベス女王の愛犬について、「祖先はヴィクトリア女王の犬」とも記載されている。ヴィクトリア女王も犬好きだったことは事実ではあるが、コーギーを飼ったことはなく、この箇所も誤りである。
このように次から次へと事実とは異なる記載が見つかり、イギリスのメディアから「信用できない本だ」と大ブーイングを浴びている『スペア』だが、同書のゴーストライターであるJ.R.モーリンガーはTwitterで猛反論。
同書に記されている、「私はものごとを、景色、地形、建物で記憶している。日付は申し訳ないが、確認しなければわからない。会話についてもベストは尽くすが、一字一句同じ言い回しの再現はできない。特に90年代のものについてはね」「いずれにせよ、私の記憶は私の記憶」「客観的な事実と同じくらい、私が記憶していること、どう記憶したかにも真実はある」という王子の言葉を引用しながら擁護した。
ヘンリー王子の自叙伝『スペア』、王室の公務にも影響が
モーリンガーは、「真実かは定かではない自分の記憶」のひとつであり、「パパはマミーが頭を負傷したと言っていたけど、脳障害があるのは自分かもしれない。防衛本能で記憶があやふやになってしまったのだろう」という王子の見解も紹介。
さらに、詩人メアリー・カーの回顧録『The Art of Memoir』(15年)に記されている「記憶と事実、解釈と事実の間の境界線はあいまいである」「緊張感に満ちた回顧録は感情だけを記録していることがほとんどで、詳細はぼやけているものだ」という精神科医ジョナサン・ミンク博士の言葉も投稿。事実関係に多少の誤りがあっても、回顧録としては問題ないと主張している。
しかし、この反論に納得する人は少なく、「問題ないわけはない。王族の内情をここまで暴露するのだから、きちんとファクトチェックし、事実を記すべきだった」など、ネット上の批判は増すばかりだ。
なお、10日に、ウィリアム皇太子のゴッドファーザーである前ギリシャ国王コンスタンティノス2世が死去。16日の葬儀には、皇太子夫妻が国王の代理で出席すると報じられたが、実際にはアン王女と皇太子のいとこであるレディ・ガブリエラ・ウィンザーが出席。ヘンリー王子の件で世間を騒がせており葬儀の空気を乱すこと、王子が『スペア』でタリバン兵25人の殺害を明かし、タリバン幹部やイスラム過激派らを激怒させていることから、セキュリティ面を懸念し、皇太子は欠席を決めたのではないかとうわさされている。
自叙伝発売で王室の公務にも大きな影響を与えているヘンリー王子。果たして、暴走気味の彼が行き着く先は――。
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堀川樹里(ほりかわ・じゅり)
6歳で『空飛ぶ鉄腕美女ワンダーウーマン』にハマった筋金入りの海外ドラマ・ジャンキー。現在、フリーランスライターとして海外ドラマを中心に海外エンターテイメントに関する記事を公式サイトや雑誌等で執筆、翻訳。海外在住歴25年以上。
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