旧・鮎の塩焼キングのブログ

80年代を「あの頃」として懐かしむブログでしたが、子を亡くした悲しみから立ち直ろうとするおじさんのブログに変わりました。

冒険小説 ハテナの交竜奇譚 第1話 その19

2024-12-24 18:12:00 | 小説
亡き次男に捧げる冒険小説です。

一九

 興奮状態のまま三人は互いの肩を叩き合った。

「テーリ、あの正確な石の投擲。恐れ入ったよ!」

ハーラがテーリの髪をクシャクシャに撫でる。テーリは照れ臭そうにハーラの手を跳ね除けると、そのまま手を大きく回して、ナーレの臀部を鷲掴みにした。

「いい突きだったぞ、ナーレ!なにもないところを全力で殴るのは、あれ、渾身のギャグだろ?」

健闘を讃えながらも、ナーレのチョンボを嫌味ったらしくからかった。

「テー兄は僕とハー兄の治癒魔法がなかったら死んでたからね。おちょくるもんじゃないぜ!」

ナーレは拗ねて見せて、テーリを困らせた。テーリは笑いながら、すかさず手を合わせて謝罪した。暫くはそんなふざけ合いをしていた三人だったが、次第に興奮が冷めると、初対面であることを改めて思い出して、瞬く間に押し黙ってしまった。こいつら、何者なんだ?今まで押さえ込んでいた当然の疑問が頭をもたげた。三人とも、気不味そうに互いの目を見やることしかできなくなった。



【第1話 二〇に続く】

次回更新 令和6年12月26日木曜日 午前9時


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用語解説

なし