その20まで進みました。そろそろ第一話も終わりそうです。テーリ、ハーラ、ナーレはこの先どうするのでしょうね?
二〇
沈黙が続く。長い沈黙にいたたまれなくなったハーラが口を開いた。
「見た感じ、僕がこの場では年長者のようだ。僕が話そう。まず僕らは…初対面だ。間違いないね?」
二人の顔を覗き込むと、テーリとナーレは慎重に首を縦に振った。三人の認識は一致している。会ったこともない人物の名前を自然と呼んでいた。そして身を案じあっていた。彼らと自分の繋がりはなんなのだろう。ますます頭の中がこんがらがっていく。考えても答えは出ないが、テーリの顔を見ているうちにハーラは感情の昂りを抑えられなくなっていた。
「変なことを言うんだが…。」
ハーラは言葉を選びやがら、ゆっくりと続けた。
「テーリ、僕は君の顔をこうしてまじまじと見ていると、訳もわからず泣けてくるんだ。」
ハーラは本当に変なことを言い出した。言葉では言い表せない切なさがハーラの心を占めていた。ハーラの目から大粒の涙がこぼれ落ちた。
「ハー兄…。僕もなんだよ。テー兄、ずっとそばに居てくれよぅ。」
ハーラと同じくナーレも大粒の涙をこぼし、テーリに抱きついた。初対面なのに自分のことで泣いている。事情はさっぱりわからないのに。とても奇妙な光景なのに。テーリも自然と泣けて来た。
「ごめんよぅ…ごめんよぅ。」
この二人になんの悪さをしたのか皆目見当もつかないが、申し訳なさに押し潰されたテーリは謝りながら号泣した。三人は肩を抱き合い泣くに任せた。泣きたいだけ泣いた後、ハーラが呟いた。
「僕は、お前たちと旅がしたい!」
【第1話 二一に続く】
次回更新 令和6年12月28日土曜日
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用語解説
なし