(Thu)
毎日jpで興味深かった忍者の記事(8月~9月)より引用です
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伊賀忍者が修行したとされる赤目四十八滝(名張市)には、
一般客が修行を体験できる「忍者の森」がある。
黒装束に身を包んだ記者が修行に挑戦した模様を
4回に分け紹介する。
※企画担当:記事/鶴見泰寿、写真/大橋公一。
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【忍者修行を体験/1 水蜘蛛の術】
水面を滑るように歩くアメンボの姿を思い浮かべてほしい。
映画などでなじみの「水蜘蛛(ぐも)」は、
浮力のある履きもので水上を渡る忍術の一つ。
江戸時代の書物によると、忍者は直径約60センチの
円形木製道具を足の裏に付けて堀や川を渡ったという。
修行体験の場では、直径約65センチの浮きを足場にして、
幅約10メートルの川を渡りきる。
水蜘蛛は高難度の術なので、補助用具として
対岸までロープが張られている。
【忍者修行を体験/2 歩法丸太渡】
「抜き足、差し足、忍び足」。
杉林が太陽の光を遮断する山中で
「歩法(ほほう)丸太渡(わたり)」に挑戦した。
忍者の基本とされる歩き方を練習する修行場だ。
指導役の“忍者”ジュンさんから
「瓦屋根を音も立てずに歩く猫のごとく、素早く動いて」と
助言が飛ぶ。
時折差し込む斜光が幻想の世界を演出する。
基本動作は、かかとから上げてつま先を静かに浮かせる抜き足と、
宙に上げた足をつま先で接地させる差し足。
この一連の動作を忍び足という。
ジュンさんによれば、厳密には足を地から離すのも着けるのも、
最も面積の小さい小指から親指へと順に動かすとか。
【忍者修行を体験/3 綱渡り】
見上げるほど高い木々に囲まれた修行場は、
人目を避ける忍者のイメージにぴったりの場所だ。
侵入術と言っても修行の方法は幅広い。
一般的なイメージは、屋敷を囲む高い白壁に、
フックを投げて縄をよじ登る侵入の姿だろうか。
今回挑戦したのは難易度3の「綱渡り」。
木々に張られた約5メートルの縄を、
消防のレスキュー隊のように片足を掛け、手で縄をたぐって進む。
だらんと垂らした、もう一方の足でバランスを取るのがコツらしい。
指導役のジュンさんは
「城に侵入するため、堀に張った縄をゆっくり進むイメージ。
落ちたら終わりですよ」と緊張感を高める。
アッという間に渡り終えたジュンさんを手本にして、
縄に体を預けるも姿勢を維持するだけで精いっぱい。
縄が体に食い込んで呼吸するのがやっとだった。
「足に力を入れると、豚の丸焼きになりますよ」。
指導を受けた途端に、体が180度回転。
まさに間抜けな豚になってしまった。
息を整えながら次へと進む。待ち受けたのは、
トーテムポールのような約2・5メートルの
木に登る「狸(たぬき)隠れ」。
森で身を隠す術だそうだ。
ただの木登りだが、忍者にとっては基本中の基本。
【忍者修行を体験/4 手裏剣術】
忍者の代名詞とも言える「手裏剣」だが、聞けば意外にも、
めったに使う道具ではなかったらしい。
理由は「持ち歩くのは2枚が限度。
重くかさばり、身動きが鈍るから」と明快だ。
また、鉄は貴重だったので、投げた手裏剣を
拾う役目の忍者もいたらしい。
要するに、絶体絶命の場面のみで使う必殺技だったのだ。
テレビで見たイメージで、両手を水平に重ね合わせ、
挟んだ手裏剣を滑らすようなポーズをとる。
指導役のシュウさんが「危ない」とすかさず制止に入る。
下に落ちて足に刺さる危険の回避だと思ったが、
持ち方そのものが危ないという。
「下手したら死に至りますよ」。
訳を聞くと、手裏剣の刃先には毒のトリカブトが
塗られていたことを説明。
シュウさんは、いつでも本気モードなのだ。
人は慣れた頃にポカをするものだ。気持ちを引き締め直す。
まずは持ち方から。
手裏剣は文字通り手に隠れる10センチサイズ。
シュウさんから「剣道のように手裏剣もさまざまな流派があり、
打ち(投げ)方もいろいろ」と説明を受ける。
グッドを表す親指を立てた状態から、人差し指との間で挟む。
いざ的当てにチャレンジ。木製人形を標的に投げる。
1枚目は外したが2枚目が命中。
「日ごろの嫌なことを憂さ晴らしする思いで打つと、
的を射る人が多い」とのアドバイスが効いたようだ。
免許皆伝には、ほど遠い出来だったが、認定証を頂戴した。
ではドロンでござる。
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