石ころ

体のこと





 半月以上も飲まず食わず、少し飲むと後で大量に吐く。その方が苦しそうなので、何も勧められなくなり、吸い飲みはもっぱら口をゆすぐための道具と成る。
骨と皮・・見るからに痛々しくて、尋ねてきた身内に「生きていて欲しかったらせめてジュースで飲ませて上げなさいよ。」見ていられない人の気持ちも分かるけれど・・。

医大では食べたら一週間の命といわれ、「ほしがっても食べさせられないことに耐えられるか?」そんな医師の言葉恐かった。
主人の強い希望で退院して、幸いというべきか主人には食欲は殆ど無く、たまに口にしても「味が変わっている」といって、すっかり食への執着はなくなった。
私はそこにイエス様の助けを感じて感謝している。

飲むと倍以上戻すので、飲み物にも執着が切れてその作業は乾く口を洗うものとなった。だから、何度も頭を支えて口をゆすぎ、うがいをする。
看護師さんに「唇も舌も乾いていないですね。」といわれるので、主人と皮膚から水分を吸収しているのだよ。砂漠の生ものにたいに・・と話している。

 ただ、日に日に痩せ細ってゆく骨骨をそっとそっとさすって、少しでも苦痛が無いようにと、そっとそっと祈りつつ手を触れる。
それは、親猫が子猫をなめ回すように指先で舐めまわす。
その時間は私にとって主に感謝する時、主と交わるとき・・、イエス様が憐れみによって備えてくださった時であると身に染みて良くわかるから。

これが主人の望みどおり、私と一緒に普通に居たかっただけ・・。「正月には良くなるかなぁ・・」と言うとき、私は、「それくらいの考えてゆっくり治そうね」なんて言ってしまう。
なにか御国への備えの言葉なんかを語るべきなのか・・なんてちらっと思ったけれど、私には出来ない。
イエス様に「言葉を持った天使を送ってください」とお願いしている。
注射が上手く入らないときも、「注射の上手な天使を送ってください」なんて・・

飲まず喰わずなのに、むしろ今までよりも感は鋭く、言葉にも真理をついていたりする。だから私は恐れるのだけれど、やはり声が小さくて弱々しいから聴き取れない言葉もあるけれど・・。それは、たいがい「ありがとう・・」だと思っている。そればかり言っているから。


「生きている今しか捨てられないから、今のうちにじゃんじゃん捨てるのだ。」という・・そんな看取りのブログを読んだ。
その気持ちが恐いほどわかる。ああ、同じ気持ちを持った人がいたんだ・・って。
一人残されて、思い出だらけのものを処分できるとはとうてい思えない。見ることさえできないだろう。せめて見なくても良いようにして置きたいのだ。

絶対に無理なことだけれど・・45年も暮らしてきた事実をどうやって消すことができるのだろう。
こんなことは、無駄なあがきだけれど、もっとも思い出の深いものから処分して行きたくて、一緒に病院に通った車をなんとか見えない所にと思った・・、それは心が壊れそうで自分を守ろうとしたこと。


 主人の現状は医大で、多くの医師から重ね重ね説明を受けてきた。
今黄疸が出ていますが。膵臓の管が癌によってふさがれており、いつ敗血症を起こすかもしれない。
悪性リンパ腫は抗がん剤で脆くなっており、腫瘍には多くの血管が出来るから、いつ切れて大出血を起こすか分からない。

抗がん剤治療によって十二指腸にある癌に穴が開いて腹膜炎を起こすだろう、しかしもう手術には耐えられない。
癌はドンドン大きくなるだろう・・しかし、栄養を入れなければ癌は大きくはなれない。

血管が再び切れる恐れは3日かも後かもしれないし、一週間持つかも知れない・・今は、とにかく何時何処で何が起こるか分からない状態です。
覚悟してお家の方で看て頂けれるのならそれが最善です。

しかし、私は知って居る。イエス様のご存じないことは起こらない。命は主に知られずには地に落ちることはない。
イエス様が主人のために天に家を備えてくださった時、その名を呼んでくださるだろう。病状がどうであったとしても、それこそ主人にとって晴れがましいときなのである。


私たちの住まいである地上の幕屋がこわれても、神の下さる建物があることを、私たちは知っています。それは、人の手によらない、天にある永遠の家です。(Ⅱコリント5:1)

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コメント一覧

ムベ
まこさん、お祈りを心から感謝いたします。
はい、宝のような時を過ごさせて頂きました。
まこ
人様のブログを読んで、こんなにおごそかな気持ちになったことはありません。
イエス様が家を用意して呼んでくださるのは、ご主人にとって晴れがましいこと、
命というものを握っておられる主への畏敬の想いに打たれました。
いっときいっときが宝のような、この時を分かち合ってくださって、ありがとうございます。
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