主人の車を手放すことになった。第一は置き場所に困って、軽い気持ちで親しいからと車やさんに相談したのだ。けれどなんだか話が急に流れて、主人を傷つけないようにするにはどう話せばよいのか分からず、初めは主人に内緒で処分を・・と考えた。
すると、大切にしていたものを勝手に処分することが、次第に重くのしかかってきた。
そんな折、彼は奥さんとお見舞いに来てくださった。「まだまだいける」と、車検毎に面倒を見ていてくださった方である。
来てくださった時はただ励ましの言葉を楽しげに話しただけで帰られたけれど、彼の本心が「ご主人に内緒は駄目だよ」であると悟った。
背中を押されたこともあり、主人に「実は、車のことを相談したのだ」と告白した。主人は「彼に任せておいたらいいよ。」と言ってくれた。
私が恐れていたのは、主人が気落ちしないかということだったけれど、大きな過ちから守っられた。
すべての問題の中に居てくださるイエス様のお導きだと、心から感謝して重い荷を下ろした。私は本当に内緒がしんどいのだ。
今日、トラックの掃除が終わって主人にそのことを伝え、奇麗になった写真を見せた。すると、主人は思いがけない話をしてくれた。
「実は、あの車はなぁ・・、元々四国の猟師の車やった。その猟師が間違うて人を打ってしもうて、それを苦にして自殺したんや。まだ新しい車やったのに、それから車庫で長い間眠ってた車や」
「そんなこと一言も聞いてないよ。」私はびっくりしたけれど、「悲しい事やなぁ・・。死なんでもええのに・・、死んだらあかんのに・・」なんか胸がいっぱいになった。
主人が「買う」と言って乗って帰ってきた車を見て私はすぐに賛成をした。それは、前夜その車の夢を見たからだった。不思議な縁があったのだ。
トラックでも私たちには一台だけの愛車。長年私たちの様々なストーリーに付き合ってくれた相棒。悲しい事実を持っていたことに改めて思いを深くした。
処分を引き受けてくれた彼は、買い手を探して思いもよらない値段を付けてくれた。私は費用を支払うことになると思っていたので、むしろ戸惑っている。
主人は、もう半月も何も食べられない、飲むと吐くという状態で、毎日の点滴も途中で止めてくれと言うことがある。
ただ、静かに寝ている・・。
それでも体を撫でると骨ばかりが痛々しいが、「ああ、気持ちいい・」とうっとりとしてくれる。体を温かいタオルで拭くと「ああ、気持ちいい・・」と言ってくれる。
また、今回のように話をしてくれる時は、共に生きていることを噛みしめることができる時。
看取るということを自ら選んだ。もし、少しでも振り返ったり、先のことを心配したら動けなくなってしまいそう・・。
たとえ御国の望みを持っていても、終末期とはあまりに重い時間である。
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ムベ
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