買ったばかりのシルクのブラウスを着て歩いた。
私はシルクが好き。
なんの違和感も感じないから好き。
私が生まれた頃には、常に真っ白なシルクを惜しげもなく使っていたと、
叔母がちょっと悔しそうに話していた。
それは悉皆屋という職業柄、身近にあったと言うことにすぎないのだけれど。
物心ついた頃には、戦争で家も財産も失い、父も亡くして私には何の関係もないことなのだけれど、不思議なことに体にはシルクの肌触りが刻まれているようで、自然に馴染んで心地よく、貧しさの中にいても時々買っては普段に着ている。
格好良さとか、デザインとは無関係で、まさしく肌が好むというレベルのことなのだけど。
真っ青な空の下。
過去をやさしく癒されて、大きく深呼吸をしつつ胸を張って歩く幸い。
すべてのことが、十字架の血潮に洗われて、光の中にさらけ出されることの自由さ。
今、私が触れているこの優しさは、シルクよりももっと温かく、柔らかく、すっぽりと包み込む、そんな不思議な主の感覚。決してすり切れることも汚されることもない真っ白な衣。主が着せてくださった義の衣。

「だれでもキリストのうちにあるなら、その人は新しく造られた者です。古いものは過ぎ去って、見よ、すべてが新しくなりました。」(Ⅱコリント5:17)