石ころ

先のことを聴く備え(創世記15章)

 

主のことばが幻のうちにアブラムに臨んだ。「アブラムよ、恐れるな。わたしはあなたの盾である。あなたへの報いは非常に大きい。」(1)

 

主はアブラムに「恐れるな」と命じられた。主が与えようとしておられる祝福を、彼が余すことなく受けるための命令である。
義人は神が用意されたものを、信仰によってすべて受けなければならない。

 

わたしの義人は信仰によって生きる。もし恐れ退くなら、わたしの心は彼を喜ばない。(へブル10:38)

 

神がアブラムの信仰の盾と言われたゆえに、彼は神に在って悪い者から完全に守られる。
神からの報いを受けるために重要なことは信頼関係である。アブラムは神は良い方であることを知っており、すべてを受けることは、従順するための熱心から出たことである。

 

アブラムは言った。「神、主よ、あなたは私に何を下さるのですか。私は子がないままで死のうとしています。私の家の相続人は、ダマスコのエリエゼルなのでしょうか。」
さらに、アブラムは言った。「ご覧ください。あなたが子孫を私に下さらなかったので、私の家のしもべが私の跡取りになるでしょう。」(2~3)

 

アブラムは主に聴いたことばに留まって、老年に未だ子を見ぬという現実に、みことばが結びつくまで訊き返した。


主は聴く者に親しく教えてくださる。みことばを繰り返し尋ね求めて、分からないことを訊き返し教えを受けることによって、みことばの確信を得て、それが現実に現れて来るのだ。

 

すると見よ、主のことばが彼に臨んだ。「その者があなたの跡を継いではならない。ただ、あなた自身から生まれ出てくる者が、あなたの跡を継がなければならない。」


そして主は、彼を外に連れ出して言われた。「さあ、天を見上げなさい。星を数えられるなら数えなさい。」さらに言われた。「あなたの子孫は、このようになる。」
アブラムは主を信じた。それで、それが彼の義と認められた。(4~6)

 

「主のことばが臨んだ」ことによって、アブラムは信じ受け取ったのである。耳に聞えた言葉ではなく、主とのお交わりによって悟る霊の深い所に落ちたからである。

人の心は絶えず揺れ動くが、霊にとどまったみことばは永久に変わらない。

 

主は彼に言われた。「わたしは、この地をあなたの所有としてあなたに与えるために、カルデア人のウルからあなたを導き出した主である。」
アブラムは言った。「神、主よ。私がそれを所有することが、何によって分かるでしょうか。」(7~8)

 

次は地を与える神の約束である。このことは彼の個人的なことではなく、民族、国家の未来のための神の契約内容である。

その実現を明確に知るためにアブラムは突っ込んで尋ねている。此処にアブラムのリーダーとしての威厳が感じられる。主は御前に留まって聴く者を教えられる。

 

すると主は彼に言われた。「わたしのところに、三歳の雌牛と、三歳の雌やぎと、三歳の雄羊と、山鳩と、鳩のひなを持って来なさい。」
彼はそれらすべてを持って来て、真っ二つに切り裂き、その半分を互いに向かい合わせにした。ただし、鳥は切り裂かなかった。(9~10)

 

真実な神から、将来を示されることは恐ろしいことでもある。アブラムは神に求められた動物の血を流して罪をきよめ、ことばなる方の通り道を備えた。アブラムはその作法を、神を恐れることによってわきまえたのだろう。

 

日が沈みかけたころ、深い眠りがアブラムを襲った。そして、見よ、大いなる暗闇の恐怖が彼を襲った。
主はアブラムに言われた。「あなたは、このことをよく知っておきなさい。あなたの子孫は、自分たちのものでない地で寄留者となり、四百年の間、奴隷となって苦しめられる。


しかし、彼らが奴隷として仕えるその国を、わたしはさばく。その後、彼らは多くの財産とともに、そこから出て来る。
あなた自身は、平安のうちに先祖のもとに行く。あなたは幸せな晩年を過ごして葬られる。(12~15)

 

主に将来のことを聴くとき、人の無力の闇を通り抜け、完全な「アーメン」に至る覚悟が必要である。
それは一寸先も見えない人の闇を経て、未来の光を見ることであり、死を経るように明け渡してみことばを受け、命じられたことはすべて行う責任を負うからである。

 

日が沈んで暗くなったとき、見よ、煙の立つかまどと、燃えているたいまつが、切り裂かれた物の間を通り過ぎた。
その日、主はアブラムと契約を結んで言われた。「あなたの子孫に、わたしはこの地を与える。エジプトの川から、あの大河ユーフラテス川まで。(17~18)

 

神のことばは時を経て悉く事実となるゆえに、みことばを受けた時に成就しているのであり、アブラムが聴いた瞬間から民族、人類の未来となる。
彼が神のことばを信じ受けたことによって、人は星のように地に広がって行った。


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