三国連太郎さんのご逝去の報に接して思い出したことがある。
主演された“息子”という映画が公開される2ヶ月くらい前のことか。夏の暑い日、そのころ三国さんは
井の頭沿線にお住まいで私は一駅前から乗って座っていたのだがお住まいに近い駅から三国さんが
乗っていらしてこのような方でも電車をおつかいになるのだ、とびっくりした。そのうち私の隣があいて
そこへお座りになった。麻風の上着をお召しで、私は夏だから半袖、二の腕が三国さんの袖に触れて
ドキドキして渋谷まで過ごした。しばらくしてたまたま目にした週刊誌に“息子”についての対談が
載っていて隣り合ったスタイルの三国さんの写真が掲載されていた。ああ、もしかしたらあの日はこの
対談のためにお出かけだったのだ、なんて思ったことがあった。私にとっては古い、けれど貴重な
思い出である。
余計なことだけどNHKのニュースでは 巨星 逝く となっていたけれど巨星 とくれば墜つ では
ないでしょうか。 墜つ という語に気遣いしたのだろうか。