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漫画家には、たいがい得意分野がある。
その得意分野は、その漫画家の個性であり、「売り」であり、他の漫画家との「違い」「独自性」であろう。
例えば、水島新司さんなら野球モノ。
白土三平さんなら忍者モノ。
楳図かずおさんなら、恐怖モノ。
水木しげるさんなら妖怪モノ。
本宮ひろ志さんなら熱血モノ。
赤塚不二夫さんならギャグモノ。
きりがないのでこれぐらいにしておくが、もちろん他にも多数の例がある。
近年の漫画家にもその傾向はあると思う。
ただ、中には、幅広いジャンルの作品をこなす人もいた。
代表格は、手塚治虫さんだろう。
もちろん、他の漫画家も、得意ジャンル以外のジャンルの作品も描いてはいる。
だが、様々なジャンルで代表作、名作を残している・・という意味では、特に手塚さんは図抜けていた存在だろう。
だからこそ漫画の神様と呼ばれたのだろう。
SF路線で「鉄腕アトム」。
少女路線で「リボンの騎士」。
宗教もの(?)で「ブッダ」。
歴史路線で「陽だまりの樹」。
妖怪路線で「どろろ」。
動物路線で「ジャングル大帝」。
ヒューマン路線で「ブラックジャック」。
「火の鳥」にいたっては、各エピソードごとにジャンルが違う要素もある。
その他。
手塚先生に迫る「幅広さ」を誇ったのが、石ノ森章太郎先生だったろう。
手塚先生が漫画の神様なら、石ノ森先生は漫画の王様と例えられることがあるほど。
だが、近年のコミックを見ていると、手塚先生や石ノ森先生ほど幅広いジャンルの作品を手掛ける漫画家はあまりいなくなった感がある。
ある意味、住み分け・・そんな風潮が顕著になってきている印象はある。
とはいえ、幅広いジャンルの作品を描けた手塚先生や石ノ森先生でも、描かなかったジャンルはある。
例えば手塚作品では、ギャグ作品やスポーツものは私は思い浮かばない。
石ノ森先生はギャグは手掛けたけど(ドンキッコなど)、スポーツものは・・思い浮かば
ない。
当時スポーツものでは梶原一騎先生が一世を風靡していたので、さすがに梶原一騎先生がいたんではスポーツものは避けていたのかもしれない。
生前、手塚先生を取材した番組でも、そのへんは指摘していたと思う。
ただ、その梶原先生にしても、スポーツ根性や熱血ものでは無敵の強さを発揮していたが、それ以外では・・・あまり浮かばない。例えば梶原先生の作品にSFものはないし、ギャグものもない。
最近の漫画家は、得意のジャンルの作品に特化して、共存しあっている感がある。
それは雑誌の編集者の意向もあるのだろうか。
できれば、かつての手塚先生や石ノ森先生のように、多彩なジャンルを描きこなす漫画家というのも見てみたい気がする。
でも、考えてみれば、手塚先生や石ノ森先生のような漫画家は、良い意味で特殊だったのかもしれない。
リアルタイムで手塚先生や石ノ森先生の作品を読んでいた少年時代の私は、漫画家というのはそういうものだと思っていた。色んなジャンルの作品を手掛けるのが。
だが、それは今考えてみれば、そういう漫画家は・・特例みたいな存在だったのだろうね。
そう簡単に出てくるタイプの漫画家じゃないのだろう。
雑誌の漫画は、ギャグ漫画が好きだったので、赤塚先生や藤子先生のファンでした。
色々なジャンルを描かれる漫画家さんが、いたのは、当時は漫画家さんの数が少なくて、
出版社さんが、人気がある一流の漫画家さんに、色々なジャンルの漫画を依頼したせいじゃないかな。
水木先生の「墓場の鬼太郎」が、少年マガジンで連載時、他誌でも妖怪漫画の
連載が始まった記憶があります。
(少年サンデーで手塚先生の「どろろ」 少年キングで楳図先生の「猫目小僧」)
私は特に石森先生の「サイボーグ009」には決定的な影響を受けました。
>時は漫画家さんの数が少なくて、
出版社さんが、人気がある一流の漫画家さんに、色々なジャンルの漫画を依頼したせいじゃないかな。
なるほど!
今でこそ漫画家はたくさんいますが、当時は今ほどの人数はいなかったのかもしれないですね。
そのかわり、当時は一度売れると息の長い漫画家が多かった気はしますね。
「どろろ」は私は、手塚作品の中では一番好きな作品です。
楳図先生も私にとってはヒーローでした。
作品は多数集めました。
猫目小僧も好きでした。
「猫目小僧」は、風変りなアニメ作品も作られましたね。
スケールが大きい漫画作品を描くことは出来ない者が圧倒的です。
同時に編集者も、漫画作品の中にある誤字や間違いを厳しく正すことが出来る者も本当に少数ですね。
今、私が唯一希望を抱いている漫画家は、ちばてつや先生のみです。
大先生方亡き後、ちばてつや先生は日本漫画界における元老でいらっしゃいますね。
ちばてつや先生も、もう高齢。
いつまでも元気に作品を描き続けてほしいものですね。