コーエーテクモから出版された「三国志魂(スピリッツ)」という本を買ってみた。
こう言ってはナンだが、はっきり言って、あまり期待しないで買った(笑)。
なのだが、買って読んでみたら・・・これが面白い。
読み始めたら、やめられなくなった。
著者は 荒川弘さんと杜康潤さん。
ページ見開きの右ページは荒川さんと杜康さんの三国志対談と、三国志の物語の流れが簡潔に書かれた「文」のページになっており、ページ見開きの左ページには荒川さんの4コマ漫画が2作ずつ掲載されており、このスタイルで本の全編が構成させている。
右ページに記載されている三国志のストーリーの簡潔な流れは、三国志マニアならほとんど知っている内容である。
で、それぞれのページに書かれた「ストーリー」について、荒川さんと杜康さんがマニアックな対談をする。
ほとんど三国志のミーハー的なファン同士のトーク・・って感じで、簡潔な流れの「ストーリー」を脇からマニアックな目線で語る、語る。
時には、まるで実況中継のような対談だ(笑)。
ニコニコ動画などにコメントを入れてるような感覚・・に近い個所もある。
そして、左側ページには、その見開きの右ページで書かれた「ストーリー」の一場面にそった4コマ漫画が記載されてるのだが、これが妙に面白い。
ここを電車の中で読んでて、つい噴き出してしまったことが私は何度もある。
三国志の細かい逸話を知ってれば知ってるほど、笑える4コマだ。
読んでて、「あ、あの逸話をパロディにしてるな」とか、「あ、歴史書などに記された各武将のあの特徴をネタにしてるな」「あ、あの話ね」とか思いながら読むと、マニアならついニヤッとしてしまうネタも多数。
全体的には、右ページの「あらすじ」の部分は入門者向けで、左ページの4コマはマニア向けって感じになっていると思った。
マニア向けとはいっても、そこは4コマ、理屈なしに笑える内容でもある。ただ、マニアであれば更に笑えるという感じ。
なので、入門者も、マニアもどちらも楽しめるのではないか。
特に、これまで三国志を知らないできたけど、今後少しづつ知っていきたい・・・と思っている人には、入門書としてけっこう良いかもしれない。
物語を簡潔に知った上で、左ページの4コマで少しマニアックなことも知ることになるだろう。
例えば劉備の耳たぶや手は異様に長かった・・とか、片目を射られた夏侯淳が射られた目を引っこ抜いて食べてしまった逸話とか、孔明の奥さんは不細工だったが発明家であったとか。そんな逸話が、パロディ化されて漫画のネタになっている。
この各4コマ漫画のそれぞれのネタの、どこがおかしいのか、どうしてこういうギャグになるのか・・は、三国志の色んな文献を読んで、細かい逸話を知っていけば、よく分かるようになるだろう。
とりあえず、三国志をあまり知らない人は、右ページに記載されている「あらすじ」を追って読んでいくだけでも、あの長い物語の流れは把握できるようになるだろう。
三国志を描いた作品は世の中にたくさんあるが、三国志モノの作品は長ければ長いほど面白い・・とされているので、その長さゆえに敬遠してしまってきた人もいるかもしれない。
また、あまりにも三国志物がたくさんあるので、とりあえずどれから読んでいけばいいかわからない、でも、できればあまりヘビーな内容ではなく軽い感じで読んでみたい・・・・そんな人には、この本はある程度応えてくれると思う。
全体的に読みやすい内容であるのも魅力だ。
上巻と下巻があるので、できれば上下合わせて一気に買ったほうがいいと思う。
個人的には、「あれ、意外に面白いじゃないか」という感想なので、ちょっとお勧めしてもいいかな~。