タイガーマスク。
梶原一騎先生原作、辻なおき先生作画のプロレス漫画で、かつて「ジャイアント台風」という漫画と共に、プロレス漫画として大人気を博した作品だ。
このブログ名物「ソノシート紹介シリーズ」ネタで、タイガーマスクのソノシートを紹介したこともあるくらい、私にとって大好きだった作品でもある。
プロレスという格闘技は、私は元々さほど熱中してたわけではない。
とはいっても、決して嫌いだったわけではなく、「どちらかというと好き・・でも、自ら進んでプロレス番組を見るほどではない」・・そんなスポーツだった。
父が夕飯時にテレビのプロレス番組を見てれば、私も嫌がらずに見てた・・と思う。
だが、タイガーマスクがアニメ化された時は、その主題歌の素晴らしさや、絵柄の斬新さに私は惹かれ、熱中して見た。
私がアニメ版のタイガーマスクを見てた時、ふとしたことで父も画面を見るようになると、いつしか父もアニメ版タイガーマスクを気に入ったようだった。
しまいには、アニメ版のタイガーマスクを見てて、父が
「最近では大人が見ても面白い漫画(この場合、正確には「アニメ」だが)があるな」と言っていたのが忘れられないし、嬉しかったものだ。
さて。
かつてアニメのタイガーマスクに熱中しただんぞう少年は、いつしか十代の若者になった。
音楽に熱中し、気づけばアニメからも離れていくようになっていた。
ある日、新聞か雑誌かで、気になるニュースを見つけた。
なんでも、実際のプロレスのマットに、タイガーマスクとなのるプロレスラーが登場し、大人気を得ている・・という情報だった。
その情報を知った当初、正直、それはタイガーマスクの名前を借りただけの、漫画やアニメの中のタイガーマスクとは程遠い、まがいもののレスラーなんだろうな・・と思った。
でも、一度くらい冷やかしで、どんなレスラーか見てみたい・・・そう、「お手並み拝見」みたいな少し「引いた」関心だった。
で
ある時。
テレビのプロレス中継番組で、タイガーマスクが出ることを知り、チャンネルを合わせた。
テレビ画面には、プロレスのマットが映っていた。
そこに!
さっそうと、虎の覆面をかぶったプロレスラーが登場。
コスチュームは、まんまアニメのタイガーマスクそのものだった。
まがいものではないか・・・と意地悪な疑いと共に、心の中にワクワク感があふれてきたことも事実だった。
これが噂のタイガーマスクか。感じ出てるなあ。
でも、実際の戦いぶりはどうなの?
と、一抹の不安も持った。
頼むから、私が子どもの頃に大好きだった、あの漫画やアニメのタイガーを冒涜するようなことだけはやめてくれ・・と思ったから。
で、画面を凝視し続けた。
疑念を持ってるくせに、このワクワク感はなんだ。
さあ、リングにタイガーが降り立った。
と!
いきなり軽快に動き出す。
うわっ!!
wao!!
あれよ、あれよ・・
おお!!
おおお・・・・!
・・それは、まがいものでもなんでもなかった。
そのスピード感、身軽さ、技の切れ。
まるで、リング状を跳びはね、空中を舞うような試合運び。
ダンサーのように身軽なリズムで相手に対峙する、その身のこなし。
そう、踊るようにリングを跳びはね、目にもとまらぬ速さで、一瞬の隙を見逃さない華麗な空中殺法。
その身のこなしや、相手の攻撃に対する対応が、いちいちカッコイイ。
しかも、それは見せかけのカッコつけではなく、ちゃんとレスラーとしての実力に裏付けされていた。
で
強い!!
なんというか・・
強い、速い、かっこいい。・・の3拍子揃ったレスラーだった。
そして、アップになった時、マスクの目の部分から見えるそのレスラーの目は切れ長で、どこか優しそうな眼をしている。
もう、一発で私はノックアウトされた。
しびれた・・・というのは、ああいう状態の私を言うのだろう。
嬉しかった。
ほんのり目頭が熱くなってるくせに、私の顔は笑顔の表情を変えることができなかった。
これは・・・まさに、あのタイガーマスクだ!
まがいものでもなんでもない。
「タイガーは本当に居たのだ!」・・とまで思ってしまった。
漫画やアニメのタイガーが、画面から抜け出してきて、そこにいる感じ。
子どもの時に、アニメ「タイガーマスク」に熱中した自分が、帰ってきた。
初代タイガーのファイトを見たことがない方で、私のこの印象を「大げさだ」と思う方。
一度、初代タイガーのファイト映像を見てみてほしい。
ともかく、この後一体どうするんだ?と、目が離せない。
見ててワクワクする動きに試合運び。
で、爽快感。
見る者を魅了するファイトとは、あのことだ。
ともかく、カッコいいこと!
漫画やアニメが、現実化してそこにある・・そんな感じだ。
あの当時の初代タイガーと対戦した某レスラーが、当時のタイガーのことを、ゴムのように柔らかい相手・・と語っていたようだ。
それだけ身軽に跳びはね、体が柔らかく、アクロバティックな身のこなしだった・・ということなのかもしれない。
その後、時は流れ。
リングには、色んな「アニメや漫画出身(?)」のレスラーが登場した。
タイガーマスクはいつしか代替わりしていった。
だが・・
初めて、実在の初代タイガーマスクというプロレスラーを見た時の衝撃に勝る衝撃は・・・少なくても今のところは・・ない。
「四次元プロレス」とも評された華麗な「初代タイガー」があまりにも偉大だったために、
その後代替わりしたタイガーマスクを見るたびに
「タイガーマスクをつとめるのは、大変だろうなあ・・」
と、妙な気づかい(?)みたいなものを私は感じるように・・なっている。
実際、タイガーのあの空中殺法プロレスのスタイルは、体力的にもそんな長くは続けられないと思う。
体力の消耗は相当なものだろうし。
ともあれ
初代タイガーマスクは、見る者を魅了せずにはおかない、華麗でかっこいいスーパースターだった。
プロレスに興味がない人をも魅了してしまったと思う。
ジャイアント馬場やアントニオ猪木に並ぶ、プロレス界のスーパースターだったと思う。
今も、あの雄姿が、私は忘れられない。
そういえば、最近「伊達直人」と名乗って、児童施設にランドセルをプレゼントする動きが全国で見られた。
そういう意味では、タイガーマスクというキャラクターは、今も人々の間で現役なのかもしれない。
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