NPO法人BIO de BIO (ビオ・デ・ビオ)  ~生物多様性のある循環の暮らしをめざして~

特定非営利活動法人BIO de BIO (ビオ・デ・ビオ)の活動レポートや情報をタイムリーに発信するためのブログです

6/14音羽田んぼの生き物調査

2009年06月17日 | ★田んぼの生き物調査
6月14日、梅雨入りしたというのに快晴、気温33℃。ただし田んぼに入ると
気温25℃。親子30人ほどの「田んぼの生きもの調査」の風景です。


教室では、田んぼの生きものについて、ほんの少し予備知識を得たり、田ん
ぼが、コメをつくる場所というだけではない、なくてはならないさまざまな役割
りを担っていることを学びました。
とても大事な指摘だと思いました。


午後から田んぼに出て、畦を歩きながら、畦の草花、畦から観察できるカエル
や虫たちを探しました。
一たび金魚網で、田んぼの泥と水をすくい始めたら、もう止まりません。
この小さい動き回っているモノは何 ?? このオタマジャクシは、おおきくなったら
何ガエルになるの ?? 質問攻めです。

そのうち待望の(??)ヘビ登場。最初の一匹が、攻撃的ではないけど猛毒のヤ
マカガシ、これは私たちの秘密兵器「田んぼの生きもの」が、難なくゲット。
続いて登場したのが、マムシ。田んぼに入ったのを見届けて、追っかけまわ
さなければ、しばらくそのままじっとしているはずだから、後で捕まえるからと
言うのに、村のおじさんたちは、もうマムシ酒を夢見たのか、捕まえなくては危
険だからと夢中。とうとう捕まえて、みんなこわごわ覗き込んで、ヘビの観察は
無事終わり。


みんなで掬った獲物の観察に、ひとしきり盛り上がっているうちに、あっと言う
間にもう1500時近く。
3箇所で採取した泥の中の生きものの定量調査に移行です。
はじめてのイトミミズ、ユスリカの幼虫に、最初は戸惑いながら、それでもだん
だん熱を帯びてきて、時が経つのも忘れるこども達でした。

おかあさんたちやおとうさんたちには、こんなに何かに集中する我が子を見た
のははじめて、という人もいて、新しい発見もあったようです。


生まれてはじめての田んぼ体験の人たちも多く、みなさんおつかれさまでした。
今日の経験を、毎日の暮らしに生かしてくださいね。
また来年も、田んぼで会いましょう。

(老体に鞭打って、アシスタントインストラクターのお役を買って出た レオンでした)


第二回 田んぼの生き物調査(ビオデビオ主催) レポート

2008年10月03日 | ★田んぼの生き物調査
くみこさんから、レポートが届きました!
9月28日(日)第三回 田んぼの生き物調査(ビオデビオ主催)
in 新城市福津農園(自然農法の師匠、松沢氏のお宅) です。

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 三回目の田んぼの生き物調査です。今回も松沢さんの福津農園で行いました。
稲刈り前の調査ということで、今回は、草花調査と虫見板での調査を行いました。
そして、なんと!松沢さんによる農園内の植生と草を活用した農作物の作り方のお話を農園を案内してもらいながら聞けるというスペシャルオプションがありました。今回参加された方は、ラッキーでした。
 日本は、ヨーロッパと比較して約10倍のスピードで、草が伸びるそうです。そのエネルギーを有効活用する農法。資源の枯渇を心配することがない農業。ほかの土地から持ち込まない、搾取しない、未来に不安を残すことのない農業がもっと広がっていけばいいですね。



今日であった生き物たち

<植物>

アゼトウガラシ、イヌビエ、イヌタデ、イボ草、エノコロ草、オヘビイチゴ、オオバコ、カナムグラ、カヤ釣り草、カラムシ、カヤ、カニ草、カタバミ、ギシギシ、キツネノ孫、クレソン、ゲンノショウコ、コナギ、シロツメクサ、数珠玉、スイバ、スギナ、ススキ、ショウブ、セリ、タチスズメノヒエ、高三郎、チカラシバ、丁子タデ、チジミザサ、血止め草、ツルボ、ツユクサ、野アザミ、ハキダメ菊、彼岸花、ヒナタイノコズチ、ヒデリコ、ヒメクグ、ヒヨドリバナ、蕗、ボタンヅル、松風草、三つ葉、三つ葉フウロ、ミゾカクシ、ミゾソバ、ミゾ萩、ヤブカラシ、藪豆、藪蔓小豆、蓬、吾亦紅、



<水中>

コオイ虫、コガムシ、イモリ(幼生も)、ドジョウ、めだか、オタマジャクシ(ツチカエル)、ヤゴ(ヤンマ)、



<地上>

トビ虫(大量)、アブラムシ、ウンカ、夏アカネ、イナゴ、トノサマガエル、ツチガエル、ヌマガエル、蜘蛛、コカマキリ、ヒラタアブ、シリアゲ、オナガシジミ


第二回 田んぼの生き物調査(ビオデビオ主催)

2008年08月04日 | ★田んぼの生き物調査
くみこさんから、レポートが届きました!
7月20日(日)第二回 田んぼの生き物調査(ビオデビオ主催)
in 新城市福津農園(自然農法の師匠、松沢氏のお宅) です。

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2回目の松沢田んぼでの生きもの調査を7月20日(日)行いました。

快晴で熱中症の心配されるようないい天気でした。

今回は、新たに参加してくださった大府の戸田夫妻と

浜松の市川夫妻を加えて、14名で行いました。

 

アゾラが水面を覆っていたため水中を見ることができず

手探りでの探索となりました。


↑アゾラ(草を生えにくくするなどの効果があるため、
松沢田では、毎年田んぼに投入している)

けれど さすが松沢田んぼです。

無造作に金魚網ですくってみるだけでオタマジャクシや子負い虫が

わさわさとれました。

今回は前回より、子負い虫がたくさん見つかりました。

大中小いろいろなサイズのものをたくさん捕まえたので

トレイの中で共食いが始まってしまいました。

動くものは、なんでも餌なんですね。

水生昆虫は、肉食のものが多くみんな生きるために

どん欲な食欲を持っているようです。

そんな肉食昆虫の餌となることの多いオタマジャクシの

目つきが悪いのもうなずけることです。

その他目立ったものは、赤腹イモリの幼生が多数いたことです。

ウーパールーパーを思い出させるお茶目な姿です。

フワフワした頸飾りは、外鰓です。



今回もたくさんの生きものと出会えました。

アゾラの上を渡っていくアリやアマガエルを見れるのも

松沢田んぼならではですね。

そして肉食昆虫をたくさん見つけることができた松沢田んぼは、

餌となる生きものが無数にいる素敵な田んぼだと思いました。

次回の調査で、またより多くの出会いを楽しみにしています。



今回の調査で出会った生きもの
メダカ・ドジョウ・赤腹イモリ・ヒメダカ・マツモ虫・チビゲンゴロウ・子負い虫・トノサマガエル・ツチガエル・沼ガエル・各種オタマジャクシ・糸ミミズ・ユスリカ・カゲロウの幼虫・ケラ・姫アメンボ・菱バッタ・走りグモ・ヤゴ





オオバコ・蕗・血止め草・シロツメ草・キツネのボタン・ギシギシ・コナギ・イ・
シャジクモ・アオミドロ・タチスズメヒエ


特別参加で小川田んぼで見つけたイシガメの赤ちゃんも顔見せしました。

text by Kumiko



フォトギャラリーはこちら↓
http://pics.livedoor.com/u/biodebio/album/125501

田んぼの生き物調査 in 愛知

2008年06月27日 | ★田んぼの生き物調査
くみこさんから、レポートが届きました!
6月22日に開催した
愛知初の田んぼの生き物調査(ビオデビオ主催)
in 新城市福津農園(自然農法の師匠、松沢氏のお宅) です。

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松沢農園で田んぼの生きもの調査をしました。

時折雨がやむというような悪いコンデションの日でしたが、

何か見つけてやるぞと息込んだ人たちが

総勢17名(うち子供6人)集まりました。

午前中は、初級調査、午後からは、中級調査を行いました。

松沢さんも参加してくれて、松沢田んぼの生きものについて

語っていただきました。

なんといつもは、田植えとともに入れているアゾラ(浮草です。

これで水面を覆って草が生えるのを防ぎます。)を

田んぼ調査のために入れるのを待っていてくださった

ということで感謝感激です。

 説明の後、みんなは、どどっと田んぼに入りました。

畦草調査も忘れて(少しは、収集しました)

講習会では、子供はすぐ飽きてしまうので30分が限界と言われたのですが、

30分では、もの足りないようでした。

オタマジャクシを手ですくい取りし、イモリを何匹も捕まえて、

とても楽しそうでした。

やはり、生き物がたくさんいる田んぼは、すごい。

慣行農法の田んぼの田植えで、農薬を使っているので

苗に触った後は、よく手を洗うようにという注意がありましたが、

そんな心配しなくていい田んぼは、うれしいですね。

今回、雨のために飛行性の生きものに会えなかったのが残念でしたが、

いろいろ見つかりました。

みんなが見つけた生きものたちです。

トノサマガエル、沼ガエル、土ガエル、おたまじゃくし(各種)、ユスリ蚊、糸ミミズ、線虫、ミジンコ、丸タニシ、平巻水マイマイ、チビゲンゴロウ、灰色ゲンゴロウ、姫ガムシ、子負虫、姫アメンボ、ヤゴ(アカネ系)、稲水象虫、子守グモ類、走りグモ類、ヤマカガシ、赤腹イモリ、メダカ、ドジョウ、燕、ひきがえる、カゲロウの幼虫、ガムシ類の幼虫、ゲンゴロウ類の幼虫

午後からの調査でも、子供たちは張り切って土中生物を数えてくれました。

なかなか頼りになります。

そして、我が家では、今もって、子供たちの田んぼ調査が続行中です。

おかげで、うちの中は、ミニ水槽だらけになってしまいました。

みなさん時間があれば、晴れた日の松沢農園を見に行きがてら、草取りしましょう。

text by Kumiko


フォトギャラリーはこちら↓
http://pics.livedoor.com/u/biodebio/album/124685

田んぼの生き物調査 in 愛知 (生物多様性のある循環の暮らしをめざして)

2008年06月23日 | ★田んぼの生き物調査
~ 生物多様性のある循環の暮らしをめざして ~

6月22日新城市福津農園(自然農法の師匠、松沢氏のお宅)
において愛知県で初めての田んぼの生き物調査を
ビオデビオ主催で行いました。
詳しい報告はあらためてブログにのせますが、まずはホットな
画像をお届けします。
雨もものともせず、真剣なまなざしが田んぼに向けられました。
text and photo by ROSA

フォトギャラリー作成しました↓
http://pics.livedoor.com/u/biodebio/album/124685?sort_options=taken_asc

よくある質問コーナー

2008年06月17日 | ★田んぼの生き物調査
<質問>
研究者でもない私たちがなぜ「田んぼの生きもの調査」
をするのか、まだよく理解できないのですが・・・


<回答>
田んぼの生きもの調査は、あまりに世の中がケミカルになってしまって、
「生命が生命を養っている」ことを、ともすれば忘れがちですね、
田んぼは、土と水と農薬と肥料があれば、コメが実る「自然の工場」だ
と、考えがちになりました。
田んぼの生きもの調査は、田んぼは「数限りない生命が生きて活動す
る場であり、さまざまな生命体の活動の結果、それ自身生命を持った
コメに結実するよう、ひとが働きかける場」であることを、もう一度確か
め合う目的を持っています。

その生命活動を支えるのが「百姓」です。
百姓とは、生命と生命が相互に働きかけあうのを支えて、それ自身が
生命体である食物を産み出すことを生業とするひとびとのことです。
田んぼの生きもの調査の、もうひとつの目的は、百姓がただの職業で
はなく、生命と生命を結びつけて食べられる生命を生み出す特殊技能
者であると、想起することです。

生命が生命を養うことを、生業とするひとたちがいて、その生業の結果
としての食べ物があり、数々の生命の活動の場として、田んぼや畑が
あることを、全ての私たちが実感できるように、田んぼの生きもの調査
を提案しました。

何はともあれ、田んぼに行きましょう。
そして田んぼやその周りを、よく見てみましょう。
何か発見がありますか。生命がいっぱい見つかりましたか。
その生命体の役割りを知るには、もう少しよく見てみる必要があります。
田植えをした瞬間から、田んぼの生命たちの活動は変化を見せます。
新しい生命体であるイネが加わったからです。
その変化は、新しい生態系の循環が生じた結果です。
ここで私たちは、みんなで「有機」という言葉の意味を知ることになります。
「循環」の意味がわかります。
「生物多様性」とは何か、が理解できるきっかけです。

全ての生命体が、私たちが、健康でバランスよく、相互に依存しあいな
がら生きていくことが、私たちが継続して生命を維持する、たったひとつ
の保証だと、全てのひとにわかってほしいから、田んぼの生きもの調査
に取り組みます。

text by 黒田

田んぼの生きもの調査研修会 in 佐賀 レポート

2008年06月13日 | ★田んぼの生き物調査
くみこさんから6月2日(月)~3日(火)のレポートが届きました!!


西日本田んぼの生きもの調査研修会

 6月2日(月)、3日(火)の両日佐賀県で行われた田んぼの生きもの調査研修会
に参加してきました。

研修会ということで不勉強な私が参加してもよいものかと不安に感じながらの参加
だったのですが、熱意あふれる講師陣の話を聞くうちに楽しくなり、夢中のうちに2
日間の研修を終えることができました。

 参加者は、生協や農協の関係の方々や、営農者が多く、日本で一番早く田植えをす
る石垣島の仲新城さん(72歳)も参加されていました。9代目だそうですが、先祖
代々糸ミミズの大切さが言い伝えられてきたという方です。

 

2日間の研修は、1日目が座学で2日目が実際に田んぼに出ての実地研修でした。

今回は、田んぼの生きもの調査の初級・中級編の研修でした。田んぼの生きもの調査
においての初級と中級の違いは何かというと まず初級では、生き物とふれあい名前
を覚えることを中心としているのに対して、中級では、生きものの数を数え、土質や
水質を調べるといった科学的なことを主としています。

 一日目の座学は、まず原耕造さんの“生物多様性農業支援センターの考える生きも
の調査”というお話から始まりました。そして、宇根豊さんが“初級の考え方”を岩
渕成紀さんが“初級・初中級、上級編それぞれの関わりと実践の方法”を講演されま
した。その後調査方法と調査道具の説明を初級・中級の順に聞きました。続いて“田
の草調査について”を嶺田拓也さんより受けました。最後に水野葉子さんの指導で
“田んぼの生きもの調査指導者としてのコミュニケーション力”を行い一日目は、終
了しました。熱の入った講演が続き13時半よりはじまった講演は、予定時間をオー
バーして19時ころ終了となりました。

 

 2日目は実際に田んぼに入っての実習です。


宇根さんの田んぼが近いということで期待していたのですが田植えがまだということ
で別の田んぼでした。

裏作でブロッコリーを作っている5反もある広い田んぼでした。 生きものが暮らす
には、畦が少ないということで第一印象としては、静かな田んぼでした。その田んぼ
まで行く間で畦草調査もしたのですが、草刈り後ということであまり収集できません
でした。

調査は、4グループに分かれ2グループずつ初級・中級に分かれました。

私は、初級グループに入ったので、宇根さんの指導で初級調査を始めました。まず
は、田んぼの中を歩いて生きものを探すラインセンサスを行いました。そして生きも
のを金魚網ですくって小型の飼育ケースに収集するということだったのですが、、水
が非常に少なくて生き物の姿を探すのが大変でした。目立った生きものは、姫アメン
ボ、糸ミミズ、ユスリカの幼虫でした。カエルもいず、カエル調査はなし、コンク
リート水路のため水路調査もなしでした。



けれど後のワークショップでは、35種ほどの生きものの名前が挙がり手慣れた人々
の調査では、かなりの生きものが見つかるのだと感心しました。しかし、少し消化不
良の感も拭えず、今後ビオデビオで行う松沢田んぼの生きもの調査に期待がつのりま
した。

この田んぼ調査では、多数の糸ミミズが発見されたことから、除草剤の使用は不要で
はないかという話が出ました。このように田んぼの生きもの調査を行うことで不必要
な農薬使用が減らせるのなら、私たちの主食を生産する場としてだけでなく 多様な
生物が暮らす場としての田んぼの意義を広く知らしめることができれば私たちの暮ら
しもより豊かなものになるのではないかと思いました。


text by Kumiko


今回の「田んぼの生き物調査」
フォトギャラリー作りましたのでご覧ください↓
http://pics.livedoor.com/u/biodebio/album/124667

photo by ROSA, RIO

田んぼの生き物調査 報告会

2008年06月05日 | ★田んぼの生き物調査
6月2~3日 「田んぼの生き物調査」in 佐賀
(参加者)
黒田LEON、ROSA、くみこ、RIO

6月4日 「田んぼの生き物調査 報告会」in 作手
(参加者)
黒田LEON、ROSA、くみこ、RIO、
親分、長瀬、まっどY、今井、置田、松井、佐宗、鎌苅K、鎌苅ゆ、

全農の原さんを核として結成された新生NPO法人
生物多様性農業支援センター 
http://www.zennoh.or.jp
http://wehab.jp
↑が主催する「田んぼの生き物調査」へ、ビオデビオから4名が
はるばる佐賀県まで行ってまいりました。
報告会を6月4日夜、作手サローネ・デル・モンテ「ル・カフェ」にて
おこないました。


「田んぼの生き物調査」in 佐賀のフォトギャラリー↓
http://pics.livedoor.com/u/biodebio/album/124667

田んぼの生き物調査 by 小川くみこ

2008年02月13日 | ★田んぼの生き物調査
第3回田んぼの生きもの調査全国シンポジウム 報告
             BIO de BIO 小川くみこ

2008年2月2日『世界湿地の日』に東京で、第3回田んぼの生きもの調査全国シンポジウムが開催されました。
ビオ デ ビオより6名(黒田・山本・小川・黒田・小川・駒田)が参加しました。
以下は、私の主観をまじえた報告です。

400人収容のシンポジウム会場は、ほぼ満席状態の盛況で、ホワイエにも人がいっぱいでした。北海道から九州から、東北から四国から、スーツ姿の人、農家の人らしい一団、活動的な主婦らしき人たち、調査に参加している学生など、全国からさまざまな人たちが集まり、全国各地に注目と関心が拡がっていることが感じられました。

開会挨拶では、田んぼの生きもの調査プロジェクト代表の原耕造氏、パルシステム生活協同組合連合会会長の若森資朗氏、全国農業協同組合連合会代表理事専務加藤一郎氏、それから、農林水産省大臣官房環境バイオマス政策課長西郷正道氏、環境省自然環境局自然環境計画課長渡邉綱男氏からの熱いメッセージが寄せられました。その中でも、『これまでの政策が、生物多様性に対して配慮が足りなかったのではないか』という言葉が、中央官庁の責任ある立場の人の口から聞けたことに、新鮮な驚きを感じました。

記念講演は、農民作家の山下惣一氏でした。軽い雑談口調で話し出された氏は、生きもの調査は、手段であって、目的ではないと強調されました。同感です。そして、農に携わるものとして、作物の生産以外の仕事(畦草刈や、水路の手入れ等のお金にならない仕事の事を佐賀では、『よか仕事』というそうです。いい言葉ですね)を行う事にプライドを持つこと、そして農に携わらない人たちにも、そのような仕事の重要さを認識して欲しいと語られたのが、印象的でした。

活動報告は、1部・2部に分けて行われました。
第1部では、今回始めて発表された、田んぼの「生きもの指標」についての説明と、田んぼの生きものの今と題された発表と、実際に調査活動している現地農村からの報告がありました。
たんぼの生きもの指標は、生きもの調査を行う上での指標として今までの調査資料を総括して作られたものです。これが完成型だとして発表されたわけではなく、これから各地で『田んぼ毎』あるいは、『集落毎』の指標を作成するためのたたき台として提案されました。
田んぼの生きもの指標は、大きく2つのカテゴリーに分けられています。表1では、田んぼに生息する生物に着目した指標で、産卵場所、育成場所などと、文化や農法との関係にも触れています。表2では、仕事・技術・立地に着目した指標となっています。つまり、表1を反対側から見た、また農業の技術的側面から考えた指標となっています。わたしたちビオ デ ビオもゆくゆくは、これらの指標を元にビオ デ ビオらしい指標を作り出せればと思います。
活動現場からの報告は、福島、新潟、高知よりありました。
JA福島県青年部からは、「食育活動の一環としての田んぼの生きもの調査」」でした。以前から「田んぼで遊ぼう」というイベントをやっていたのだそうですが、その経験を生かして実施された「田んぼの生きもの調査」について、反省や今後の課題が報告されました。インストラクター不足や長時間子供たちの興味をつなぐことの難しさなど、私たちも同じ問題にぶつかるであろうことを教えられました。
佐渡トキの田んぼを守る会では、トキの野生復帰を目指して、環境保全型農業(減農薬・減化学肥料農業です)への転換の一助として生きもの調査に取り組んでいました。
やよいフィールドスタッフ(新潟県)では、冬季湛水・不耕起の圃場を調査して営農に生かす取り組みを行っていました。イトミミズ・ユスリカ等が増えると抑草作用が働くということを自分たちの目で確かめることができたのは、素晴らしいことだと思います。
四国ブロックプロジェクト(高知)では、市民連帯活動として生きもの調査を行っていました。鶴の飛来地としての環境つくりに力をいれていて、インストラクターやメッセンジャーの育成を行いたいとの報告がありました。

活動報告の2部では、稲葉光圀氏より営農のための生きもの調査の報告がありました。有機稲作を行う上で雑草(絶滅危惧種に指定されていることも多いとのことです)と呼ばれる生きものと稲とのかかわりを考える生きもの調査のお話でした。農法によって調査項目は変わるべきだということで、秋代冬水田んぼ(秋に代かきを行い冬に水を張る)での調査を中心に生物多様性を利用した防除についての報告と提案がありました。もっと詳しく、具体的に聞きたいと思う内容でした。

生きもの調査と市民連帯の報告では、市民と連帯することの意味を問い直す報告でした。生きもの調査は、市民(消費者)と田んぼ(生産者)の距離を近づけ、環境の保全・向上を、すべての人で考えていくために役立たせたいという報告でした。
私たちBIO de BIOは、市民を消費者としてだけ位置づけるのではなく、生産の一翼を担う存在として、市民の生産への参画と連携を考えていますが、まだまだ一般的には、生産者と消費者という二元論が大勢だと知りました。

最後に生物多様性農業を支援する環境直接支払い運動に参加しませんか。という提案がなされました。これまでは、商品代金に何らかの環境保全加算金が上乗せされ、その金額を消費者が支払うというのが環境税や環境支払いの考え方でしたが、今回の提案は、環境支払金は商品代金とは別に、自立した市民の自主的な判断で支払い、直接生産者に支払う方法です。その商品の産地の環境保全活動を評価しない場合は、環境支払いをしないという選択の余地が残されています。この直接支払いという方法により、一層生きもの調査等の環境を良くする活動が活発になればいいと思います。

以上がシンポジウムのあらましです。時間がなくなって田んぼの生きもの調査プロジェクト幹事の宇根豊氏のお話が詳しく聞けなかったことが残念でしたが、生きもの調査を初級編と上級編に分けたいというお話があり、上級編は今までの調査方法、初級編は数を数えるのではなく いるかいないかを調べることを行うということでこれなら小さな子供たちにもできるのではないかと思います。まず、田んぼに親しんでみる、遊んでみるというところから開始するのが長く続けていけることになるのではないかと思いました。

田んぼの生き物調査シンポジウム

2008年02月04日 | ★田んぼの生き物調査
2008年2月2日(土) 09:00~17:00
東京にて全農主催の
「田んぼの生き物調査シンポジウム」

BIO de BIO スタッフ6名が参加しました。
黒田(武)、黒田(理)、小川(友)、小川(く)、山本、駒田

朝から晩までみっちりの、濃~いシンポジウムだったようです。
この業界有名な 宇根豊さん、稲葉さんの講義もとても話題豊富で
実のあるものだったそうです。

最年少で参加の黒田りお(高校2年)の感想は・・・
"田んぼの生き物"というお題から、農業の話かと思っていたが、
実はとてもスケールの大きい生態系の勉強ができた、来て本当に良かった!!

次回は私も行きたい、という方、遠慮せず名乗りを上げてください。

また、宇根豊さんたちに愛知へ出向いていただき
指導いただくチャンスもありそうです!