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絶望を希望に変える経済学

2024-06-05 22:00:00 | 読書
「絶望を希望に変える経済学」
アビジット・V・バナジー、エステル・デュフロ著、村井章子訳、日経ビジネス人文庫、2024年4月



ノーベル経済学賞を受賞した2人の経済学者が、経済学を通して人々に希望を持ってもらうために記した本。

不平等拡大の原因と対策について多くのページを割いており、
全体的にマイケル・サンデル著「実力も運のうち」に似ているように感じました。

ただ原書の出版時期を調べてみると本書は2019年。
「実力も運のうち」は2020年。
本書の方が先でした。

著者のアビジット・V・バナジーはインド出身、エステル・デュフロはフランス出身ということで、
アメリカだけでなく、インドなどアジア、及びヨーロッパの事例も多いです。

また反トランプの姿勢が鮮明です。

不平等を抑制する手段として、超高所得者の最高税率の引き上げを挙げつつ、
富裕層は移住の制約が低いため、他国が超高所得者を優遇する政策を取るとそちらに移住してしまうので、
最高税率の引き上げ簡単ではない、といったことも述べています。

その他、以下の記述が興味深かったです。

・低技能移民は受入国の労働需要を増やすが、高技能移民は受入国の賃金水準を押し下げる
・貧しい人々の大半は、経済的インセンティブだけでは移住しない
・富裕国では未熟練労働者が貿易の不利益を被る
・自分と同類とばかり一緒にいると、ちがう視点に立てなくなり、ちがう価値観を理解できなくなる。
 その結果として生まれるのが極端な二極化である
・アファーマティブ・アクションが二極化を助長するという見方も出てきた
・成長がGDPでのみ数値化されていることは大きな問題
・若者たちはもっといい仕事があるはずだと夢を見て、仕事に就かない
・他の大勢を犠牲にして富裕層を優遇しても、成長にはつながらない
・勝者総取り、グローバル化、硬直的な経済、金融業の発達等が不平等を拡大する原因
・アメリカでは社会階層の移動性が低下している

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